ランシド

アメリカ合衆国のパンクバンド

ランシドRancid)は、1991年アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー(通称イースト・ベイ)で結成されたパンクロックバンド

ランシド
Rancid
ランシド(2017年)
基本情報
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 カリフォルニア州バークレー
ジャンル パンク・ロックスカ・パンクハードコア・パンクポップ・パンク
活動期間 1991年 -
レーベル ヘルキャットエピタフ、Lookout、Pirates Press、ワーナー
公式サイト rancidrancid.com
メンバー ティム・アームストロング(Gt, Vo)
ラーズ・フレデリクセン(Gt, Vo)
マット・フリーマン(Ba, Vo)
ブランデン・スタインエッカート(Dr)
旧メンバー ブレット・リード(Dr)
2008年のライブ
マット・フリーマン

略歴 編集

1987年に、ティム・アームストロングマット・フリーマンが中心となり、ランシドの前身バンドであるオペレーション・アイヴィーが結成される。パンク・ロック・シーンの聖地ともいわれるギルマン・ストリートで活動していたが、「あまりにも人気が出すぎてしまった」ために、わずか3年でバンドは解散してしまう。

目標を失ったティム・アームストロングは、アルコールドラッグに溺れ、一時はホームレスにまで転落したが、故エリック・ホーガン(アメリカン・グラフィティー・タトゥー。「タイム・ボム」は彼のことを歌っている)や、マット・フリーマンの助けで何とか立ち直る。その後、ダンス・ホール・クラッシャーズを経て、1991年に、当時ルームメイトであったブレット・リードとマット・フリーマンの3人により、ランシドが結成される。

1992年に、シングルEP『Rancid』をルックアウト・レコードよりリリース、翌1993年には、エピタフ・レコードと契約し、ファースト・アルバム『ランシド』をリリースする。このデビュー・アルバムに伴うアメリカ&ヨーロッパ・ツアー後に、元U.K.サブスラーズ・フレデリクセンギタリストボーカリストとして加入する。またこの年には、NOFXファット・マイクが経営するファット・レック・コーズよりシングルEP『Radio Radio Radio』をリリースする。

1994年には、セカンド・アルバム『レッツ・ゴー』をリリースし、それに伴うワールドツアー後は多くのメジャー・レーベルからオファーが殺到するが、バンドはインディーズ・レーベルにとどまることを選択する。

1995年には、それまでレコーディングに1週間以上費やしたことのなかった彼らが、プロデューサーとしてグリーン・デイなどを手掛けたジェリー・フィンを、ミキサーとしてニルヴァーナソニック・ユースなどを手掛けたアンディ・ウォーラスらを迎え、1ヶ月以上をかけて制作したサード・アルバム『…アンド・アウト・カム・ジ・ウルブス』をリリース。シングルカットされた「タイム・ボム」の大ヒット、ワールドツアーの成功などにより、このアルバムはアメリカや日本など各国でゴールドディスクを獲得する。

1998年にリリースされた4枚目のアルバム『ライフ・ウォウント・ウェイト』では、ブジュ・バントンら多彩なゲストを迎えてニューオーリンズニューヨークロサンゼルスジャマイカなどの各地をまわり、1年以上かけてレコーディングされた。このアルバムではレゲエダブが積極的に取り入れられ、好評価を得た。

2000年には再度セルフタイトルを冠した5枚目のアルバム『ランシドV』をリリース。このアルバム以降は、ティム・アームストロングが主宰するエピタフ・レコード内のレーベル「ヘルキャット・レコード」からリリースされることとなり、さらにマネージメントからも離れ、まさしくDIYによるアルバム制作を行っていくこととなる。その後、ティム・アームストロングはトランスプランツ、ラーズ・フレデリクセンはラーズ・フレデリクセン・アンド・ザ・バスターズ、マット・フリーマンはデヴィルズ・ブリゲイドなど、各メンバーのソロ・プロジェクトを開始する。

そして、前作から約3年経った2003年に再びランシドとして復活した彼らはアルバム『インデストラクティブル』をリリースする。

2009年6月2日(日本6月3日)、アルバム『レット・ザ・ドミノズ・フォール』をリリース。

また、2014年10月27日には5年ぶり8枚目となるスタジオ・アルバム『…オナー・イズ・オール・ウィー・ノウ』を発売。

その後、2017年6月9日に、現時点での最新スタジオ・アルバムとなる『トラブル・メーカー』の世界同時リリースを行った。

交流 編集

  • 2002年にランシドとNOFXがお互いの曲をカヴァーし合ったアルバムをBYOレコードから発売。全12曲入り。ジャケットは緑とオレンジがある。緑はNOFXが先に収録されていて、オレンジはランシドが先に収録されている。順番が違うだけで中身は同じ。お互いのバンド色が出ており、まるで自分達の曲かの様に思える仕上がりになっている。
  • ラーズ・フレデリクセンの亡くなった兄が始めたグループ「SKUNX」のリーダーをラーズが現在つとめている。メンバーにはThe Forgottenのゴーディー・カーボーン、Mercy Killersのクレイグ・フェアボウ、ディスグラントルのTOKYO HIRO、ティム・ショウ、ビッグ・ジェイ、YOSHIYA(元SOBUT)などがいる。

メンバー 編集

現在のメンバー 編集

旧メンバー 編集

初期メンバーはティム・アームストロングマット・フリーマンブレット・リードの3人である。1994年に元U.K.サブスラーズ・フレデリクセンが加入(ラーズは古くからの友人であり、ファースト・アルバムのレコーディングには参加しなかったもののツアーには帯同)。しかし2006年11月3日にブレット・リードが脱退を表明。代わりにThe Usedのドラマーであったブランデン・スタインエッカートが加入。かつて、ランシドのギタリストとして現グリーン・デイのボーカルであるビリー・ジョー・アームストロングを誘っていたらしい。

ディスコグラフィ 編集

スタジオ・アルバム 編集

  • 『ランシド』 - Rancid (1993年)
  • 『レッツ・ゴー』 - Let's Go (1994年)
  • 『…アンド・アウト・カム・ジ・ウルブス』 - ...And Out Come The Wolves (1995年)
  • 『ライフ・ウォウント・ウェイト』 - Life Won't Wait (1998年)
  • 『ランシドV』 - Rancid (2000年)
  • 『インデストラクティブル』 - Indestructible (2003年)
本作のテーマは「死」と「喪失」である。
マット・フリーマンは祖母を、ラーズ・フレデリクセンは兄を亡くし、ティム・アームストロングは離婚を経験。さらには、ジョー・ストラマー(元ザ・クラッシュ)の死。それらの辛い経験を乗り越え、その先に見えた希望を込めた作品がこのアルバムである。
1曲目のインデストラクティブルは、ジョー・ストラマーとラモーンズジョーイ・ラモーンディー・ディー・ラモーンの追悼の曲でもある。
  • 『レット・ザ・ドミノズ・フォール』 - Let The Dominoes Fall (2009年)
  • 『…オナー・イズ・オール・ウィー・ノウ』 - ...Honor Is All We Know (2014年)
  • 『トラブル・メーカー』 - Trouble Maker (2017年)
  • 『トゥモロー・ネバー・カムズ』-Tomorrow Never Comes (2023年)

EP 編集

  • Rancid (1992年)
  • Radio Radio Radio (1993年)

コンピレーション・アルバム 編集

  • 『Bサイド・アンド・Cサイド』 - B Sides and C Sides (2008年)
  • Essentials (2012年) ※ボックスセット
  • All the Moon Stompers (2015年)

外部リンク 編集

  • (英語) Rancid.com - 公式ウェブサイト