ランプ関数: ramp function)とは、一変数の実関数であり、独立変数とその絶対値の平均として容易に求められる。区分線形関数

ランプ関数のグラフ

この関数は工学において(DSPの理論など)応用を持つ。"ramp function"の名は、グラフの形状が傾斜路: ramp)に似ていることに由来する。

定義 編集

ランプ関数 R(x) : RR には幾つかの同値な定義が存在する。

  • 場合分け
     
  • 指数 1 の切断冪関数
     
  • 最大値関数
     
  • 傾きが1の直線とその絶対値との平均[1]
     
  • 傾きが1の直線とヘビサイド関数との積
     
  • ヘビサイド関数とそれ自身の畳み込み
     
  • ヘビサイド関数の積分
     
  • マコーレーの括弧
     

解析的性質 編集

非負性 編集

ランプ関数は定義域全体で非負となる。

 

そのため、関数の値はその絶対値に等しい。

 

導関数 編集

ランプ関数の導関数はヘビサイド関数に等しい。

 

二階導関数 編集

ランプ関数は次の微分方程式を満たす。但し δ(x)ディラックのデルタ関数である。

 

これは、R(x) が二階微分作用素のグリーン関数であることを意味する。これにより、可積分な二階導関数 f′′(x) を持つ任意の関数 f(x) は、a < x < b のとき次の方程式を満たす。

 

フーリエ変換 編集

ランプ関数のフーリエ変換は次の通りとなる。

         

ここで δ(x)ディラックのデルタ関数(式中では導関数が使用されていることに注意)。

ラプラス変換 編集

ランプ関数の片側ラプラス変換は次の通りとなる。

 

代数的性質 編集

冪等性 編集

ランプ関数の任意の反復合成はランプ関数に等しい。[2]

 

脚注 編集

  1. ^ これは max(a,b) が次のように定義できることによる。
     
    これを最大値関数による定義 R(x) := max(x,0) に代入すればよい。
  2. ^ 次の証明には非負性が用いられている。
     

外部リンク 編集

Weisstein, Eric W. "Ramp Function". mathworld.wolfram.com (英語).