フレイザー文字
(リス文字から転送)
フレイザー文字(Fraser alphabet)とは、文字を持たないリス語に対して、20世紀のはじめにイギリス宣教師のジェームズ・フレイザーによってラテン文字を基本としてつくり出された文字である。
傈僳文字 | |
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フレイザー文字で書かれた聖書(雲南民族博物館) | |
類型: | アルファベット |
言語: | リス語 |
発明者: | ジェームズ・フレイザー |
時期: | 1915年-現在 |
Unicode範囲: | U+A4D0-A4FF |
ISO 15924 コード: | Lisu |
注意: このページはUnicodeで書かれた国際音声記号 (IPA) を含む場合があります。 |
ラテン文字の大文字を元にした左から右へ書かれるアルファベットであり、不足する文字はラテン文字を180度回転することで新たに作り出している。声調は句読点に似た記号を後ろにつけることで表す。
歴史
編集リス語は彝語によく似た言語だが、彝語が独自の文字を持っているのに対し、リス語は20世紀以前は無文字言語だった。20世紀になると、リス語を表記するための4種類の文字が出現した。
文字一覧
編集音節ごとに分かち書きされる。ブラーフミー系文字と同じように、子音のあとに母音[ɑ]が続く場合は、母音は書かれない。したがって A ([ɑ]) の字は母音ではじまる音節にのみ使われる。
声調
編集声調はピリオドやカンマおよび、それらを組み合わせた記号で表す。記号がない場合には「中」と同じである。
. | 高 |
, | 中昇 |
., | 中 |
.. | 中(緊喉) |
: | 低 |
; | 低(声門閉鎖音を伴う) |
句読点
編集句読点のピリオドに相当する記号は「=」、カンマに相当する記号は「-.」と表す。
Unicode対応状況
編集2009年の Unicode 5.2 にて以下の文字が収録された[4]。対応フォントは少数で、「Quivira」「Noto Sans Lisu」などがある。
U+ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | A | B | C | D | E | F |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A4D0 | ꓐ | ꓑ | ꓒ | ꓓ | ꓔ | ꓕ | ꓖ | ꓗ | ꓘ | ꓙ | ꓚ | ꓛ | ꓜ | ꓝ | ꓞ | ꓟ |
A4E0 | ꓠ | ꓡ | ꓢ | ꓣ | ꓤ | ꓥ | ꓦ | ꓧ | ꓨ | ꓩ | ꓪ | ꓫ | ꓬ | ꓭ | ꓮ | ꓯ |
A4F0 | ꓰ | ꓱ | ꓲ | ꓳ | ꓴ | ꓵ | ꓶ | ꓷ | ꓸ | ꓹ | ꓺ | ꓻ | ꓼ | ꓽ | ꓾ | ꓿ |
その後、Unicode 13.0でナシ語の表記に使用される文字を収録した「Lisu Supplement」というブロックがU+11FB0からU+11FBFに新設された。 現在、このブロックには1文字しか収録されていない。
脚注
編集参考文献
編集- S.R.ラムゼイ『中国の諸言語』大修館書店、1990年。ISBN 446921163X。
- Daniels, Peter T (1990). “The Invention of Writing”. The World's Writing Systems. Oxford University Press. pp. 579-586. ISBN 0195079930
外部リンク
編集- 対応フォント「Quivira」
- Google Noto Fonts - 「Noto Sans Lisu」が対応。
- Lisu (LI-SU), Omniglot
- 『フレイザー文字』地球ことば村 。