リチャード・トルマン

アメリカの 数理物理学者、物理化学者

リチャード・チェイス・トルマン(Richard Chace Tolman、1881年3月4日 - 1948年9月5日)は、アメリカ数理物理学者物理化学者統計力学に多大な貢献をした[1]。また、アインシュタインが一般相対性理論を発見した後の数年間に理論学的宇宙論に重要な貢献をした。カリフォルニア工科大学物理化学数理物理学の教授を務めていた。

リチャード・C・トルマン
Richard C. Tolman.jpg
リチャード・C・トルマン(1945年)
生誕 (1881-03-04) 1881年3月4日
アメリカ合衆国、マサチューセッツ州、ウェストニュートン
死没 1948年9月5日(1948-09-05)(67歳)
アメリカ合衆国、カリフォルニア州、パサデナ
研究分野 物理化学
統計力学
宇宙論
研究機関 カリフォルニア工科大学
出身校 マサチューセッツ工科大学
論文 The Electromotive Force Produced in Solutions by Centrifugal Action (1910)
博士課程
指導教員
en:Arthur Amos Noyes
博士課程
指導学生
en:Allan C. G. Mitchell
ライナス・ポーリング
プロジェクト:人物伝
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経歴編集

現代宇宙論
 


宇宙
ビッグバンブラックホール
宇宙の年齢
宇宙の年表
 
カルテックでのリチャード・トルマンとアルベルト・アインシュタイン(1932年)

マサチューセッツ州ウェストニュートンで生まれ、マサチューセッツ工科大学化学工学を学び、1903年に学士を、1910年にA. A. Noyesの下でPh.D.を取得した[2]

1924年にRuth Sherman Tolmanと結婚した。

1912年に相対論的質量の概念を考案し、「運動する物体の質量には式  が最適である」と述べた[3]

Thomas Dale Stewartと行った1916年の実験で、電気金属導体を通って流れる電子で構成されていることを実証した。この実験の副産物は、電子の質量の測定値であった[4]。ただし全体としては主に理論家として知られていた。

1919年にテクノクラシー運動英語版の前身であるTechnical Allianceの一員であり、科学を社会的および産業的問題に適用する可能性を分析するエネルギー調査の実施を支援した[5][6][7]

1922年にアメリカ芸術科学アカデミーのフェローに選出された[8]。同年、カリフォルニア工科大学に入り物理化学と数理物理学の教授になり、後に大学院の長になった。カリフォルニア工科大学での初期に指導した学生にライナス・ポーリングがおり、トルマンは前期量子論を教えた。

1927年、マックス・プランクニールス・ボーアアルノルト・ゾンマーフェルトの前期量子論を背景とした統計力学に関するテキストを発表した[9]。1938年、古典および量子系への統計力学の応用をカバーする新たに詳細な研究を発表した[10][11]。これは長年この主題に関する標準的な研究であり、今日でも関心を集める。

キャリアの後半では、相対論的システム宇宙論への熱力学の適用にますます興味を持つようになった。1934年に発表したRelativity, Thermodynamics, and Cosmology(『相対論、熱力学、宇宙論』)[12]と題した重要なモノグラフで膨張宇宙の黒体放射がどのように冷え、それでいてを保つかを示した。これは宇宙マイクロ波背景放射の性質の重要な指針である[13]。また、このモノグラフにおいてトルマンは初めて閉じた宇宙がゼロエネルギーに等しくなる方法を文書にして説明した。彼はすべての質量エネルギーが正であり、全ての重力エネルギーが負であり、それらが相殺しゼロエネルギーの宇宙につながることを説明した[13]アレクサンドル・フリードマンが1922年に提案した振動宇宙仮説に関するトルマンの研究は、エントロピーに関する困難に注意を向け、1960年代後半までのその消滅をもたらした。

第二次世界大戦中はマンハッタン計画レズリー・グローヴス大将の科学顧問を務めた。パサデナで亡くなったとき、UNAEC(en:United Nations Atomic Energy Commission)の米国代表であるバーナード・バルークの主任顧問であった。

毎年、アメリカ化学会南カリフォルニアセクションは、「化学への卓越した貢献を表彰し」Tolman Medalを授与している。

家族編集

弟に行動心理学者エドワード・トールマンがいる。

出典編集

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  1. ^ Gale, George (2014), Tolman, Richard Chace, New York, NY: Springer New York, pp. 2164–2165, doi:10.1007/978-1-4419-9917-7_1388, ISBN 978-1-4419-9916-0 
  2. ^ リチャード・トルマン - Mathematics Genealogy Project
  3. ^ Tolman, R. C. (1912). “Non-Newtonian Mechanics, The Mass of a Moving Body”. Philosophical Magazine 23 (135): 375–381. doi:10.1080/14786440308637231. https://archive.org/stream/londonedinburg6231912lond#page/374/mode/2up/search/tolman. 
  4. ^ Tolman, R. C.; Stewart, T. D. (1916). “The electromotive force produced by the acceleration of metals”. Physical Review 8 (2): 97–116. Bibcode1916PhRv....8...97T. doi:10.1103/PhysRev.8.97. PMC: 1090978. PMID 16576140. https://babel.hathitrust.org/cgi/pt?id=pst.000050421268;view=1up;seq=115. 
  5. ^ Archived copy”. 2012年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月16日閲覧。 Retrieved March-16-13
  6. ^ Anderson, Larry (2002). Benton MacKaye: Conservationist, planner, and creator of the Appalachian Trail. JHU Press. p. 136. ISBN 9780801869020. https://books.google.com/books?id=I1hayhB0DEYC&pg=PA136 2013年7月12日閲覧。 
  7. ^ Anderson, Larry (2002). Benton MacKaye: Conservationist, planner, and creator of the Appalachian Trail. JHU Press. p. 48. ISBN 9780226465838. https://books.google.com/books?id=pQxy2PRHWrwC&pg=PA48 2013年7月13日閲覧。 
  8. ^ Book of Members, 1780-2010: Chapter T”. American Academy of Arts and Sciences. 2011年4月20日閲覧。
  9. ^ Bartky, W. (1927). “Review: Statistical Mechanics with Applications to Physics and Chemistry by Richard C. Tolman”. Astrophysical Journal 66: 143–144. Bibcode1927ApJ....66..143B. doi:10.1086/143076. 
  10. ^ Sterne, Theodore E. (1941). “Review: The Principles of Statistical Mechanics by Richard C. Tolman”. Astrophysical Journal 93: 513. Bibcode1941ApJ....93..513.. doi:10.1086/144301. 
  11. ^ Infeld, L. (July 1939). “Review: The Principles of Statistical Mechanics by Richard C. Tolman”. Philosophy of Science 6 (3): 381. doi:10.1086/286579. 
  12. ^ Chant, C. A. (1934). “Review: Relativity, Thermodynamics, and Cosmology by Richard C. Tolman”. Journal of the Royal Astronomical Society of Canada 28: 324–325. Bibcode1934JRASC..28Q.324C. 
  13. ^ a b Why Isn't Edward P. Tryon A World-famous Physicist?”. Huffington Post (2016年3月16日). 2016年3月22日閲覧。 (See Edward Tryon.)

著作編集

関連項目編集

外部リンク編集