リトル・ダンサー

リトル・ダンサー』(Billy Elliot)は、2000年イギリス青春ドラマ映画。監督はスティーブン・ダルドリー、出演はジェイミー・ベルジュリー・ウォルターズなど。製作・配給はBBCフィルムズ

リトル・ダンサー
Billy Elliot
監督 スティーブン・ダルドリー
脚本 リー・ホール英語版
製作 グレッグ・ブレンマン英語版
ジョン・フィン
製作総指揮 ナターシャ・ワートン
チャールズ・ブランド
テッサ・ロス
出演者 ジェイミー・ベル
ジュリー・ウォルターズ
ゲイリー・ルイス
ジェイミー・ドラヴェン英語版
アダム・クーパー
音楽 スティーヴン・ウォーベック
撮影 ブライアン・テュファーノ英語版
編集 ジョン・ウィルソン
製作会社 BBCフィルムズ
タイガー・アスペクト・ピクチャーズ英語版
スタジオカナル
WT2プロダクションズ
配給 イギリスの旗 BBCフィルムズ
日本の旗 角川ヘラルド映画
公開 イギリスの旗 2000年9月29日
日本の旗 2001年1月27日
上映時間 111分
製作国 イギリスの旗 イギリス
言語 英語
製作費 $5,000,000[1]
興行収入 イギリスの旗 $25,236,517[1]
世界の旗 $109,283,018[1]
テンプレートを表示

1984年イギリス北部の炭鉱町ダラムを舞台に、一人の少年が当時女性のためのものとされていたバレエに夢中になり、性差を超えてプロのバレエ・ダンサーを目指す過程を描いた作品である。キャッチコピーは、「僕がバレエ・ダンサーを夢見てはいけないの?」。映画のジャンルは主に音楽・青春・ドラマに大別される。

概要編集

ロンドンロイヤルコート劇場の芸術監督を経て、ブロードウェイなど100本を超える舞台のほか、BBCラジオドラマテレビドラマの製作および演出を手がけてきたスティーブン・ダルドリーの長編映画第1作である。舞台出身ならではの大胆かつ独特と言える演出方法を存分に生かした同作で、ダルドリーは第1作にして早くもオスカー候補に名を連ねた。

「イギリス北東部の訛りを持つ、ダンスが得意な少年」という出演条件を満たし、約2,000人の候補から選出されたジェイミー・ベルは6歳から始めたダンスを披露し、卓越した演技力と共に賞賛を受け、15歳で英国アカデミー賞とロンドン批評家協会賞の主演男優賞を受賞した。ベルがダンスをするシーンのBGMには日本でも知名度の高いT・レックスザ・ジャムといったイギリス出身のアーティストによる楽曲が使用され、さらに世界的バレエダンサーであるアダム・クーパーが特別出演したことも大きな話題を呼んだ。

ボクシングを習っている少年がふとしたきっかけでバレエの虜となり、少女に混じりプロを目指すストーリーと、コメディの様相を見せながらもそこで展開される親子愛を中心とした温かみのある人間ドラマは、全世界で高く評価され、日本においても第13回東京国際映画祭で特別招待作品として上映されるなどした。500万ドルという低予算の作品であったが、結果的にその20倍近い1億ドル超の興行収入を記録した。イギリス内外問わず、約50の映画賞で100部門に迫るノミネートを受け、50近い賞を受賞した。

ストーリー編集

1984年。イングランド北部・ダーラムの炭鉱町エヴァリントンに住むビリー・エリオットは、炭鉱夫である父・ジャッキーと兄のトニー、そして軽度の認知症を患う祖母と一緒に暮らしている。母・ジェニーはビリーが幼い頃に亡くなっていた。当時のイギリスは炭鉱不況の真っ只中で、父と兄は炭鉱ストライキ英語版に参加していた。父はボクシングの熱烈なファンであり、近所のジムにビリーを通わせている。しかしビリー自身は、殴り合うというボクシングの特性に馴染むことができなかった。

そんなある日、ボクシング・ジムの隅でバレエ教室が開かれることになった。もともと音楽が好きであったビリーは、音楽に合わせて優雅に踊るバレエに魅せられ、密かに教室に参加しコーチであるサンドラ・ウィルキンソンに師事し、彼女の指導を仰ぐ。ウィルキンソンはビリーにバレエの才能を見いだし、ビリーもそれに答えるかのようにみるみると上達していく。

しかし、内緒のバレエ教室通いを知った父・ジャッキーは激怒し、親子には亀裂が走る。ビリーから亡き母・ジェニーの手紙を見せられたウィルキンソンは、彼女を偲ぶ。ストは長引き過激化し、首謀者のリーダー格の兄・トニーは警官に逮捕される。ウィルキンソンはビリーにオーディションを受けさせようとするが、家族の苦境を目の当たりにしたビリーはそれに従うことができない。ビリーの才能を訴えるウィルキンソンに対し、兄・トニーは「ビリーをあんたの暇つぶしのおもちゃにするな」と言い放ち、大喧嘩に発展する。

クリスマス、亡き妻・ジェニーの思い出から逃れようと形見のピアノを壊して燃やす父・ジャッキー。閉塞感に満ちた空気の中、外に出たビリーは無心に踊る。父はその姿に才能を確信し、ビリーの望みを叶えることを決意する。翌日、父はスト破りの列に加わる。兄は激怒するものの、事情を知った炭鉱仲間がカンパをし、ビリーはロンドンロイヤル・バレエ学校を受験し、合格する。

14年後、父とトニーが駆け付けた大劇場で、ビリーが「白鳥の湖」を踊り物語の幕が下りる。

キャスト編集

役名 俳優 日本語吹き替え
DVD BD
ビリー・エリオット ジェイミー・ベル 進藤一宏 矢島晶子
サンドラ・ウィルキンソン(ビリーのバレエの先生) ジュリー・ウォルターズ 立石涼子 火野カチ子
ジャッキー・エリオット(ビリーの父) ゲイリー・ルイス 池田勝 稲葉実
トニー・エリオット(ビリーの兄) ジェイミー・ドラヴェン英語版 竹若拓磨 川島得愛
ビリーの祖母 ジーン・ヘイウッド英語版 矢野陽子
マイケル・キャフリー ステュアート・ウェルズ英語版 小出達也 高乃麗
デビー・ウィルキンソン ニコラ・ブラックウェル 米丘ゆり
ジョージ・ワトソン マイク・エリオット英語版 天田益男
ジェニー・エリオット(ビリーの母) ジャニーン・バーケット 鈴木紀子
25歳のマイケル メリン・オーウェン 河野智之
25歳のビリー アダム・クーパー 川村拓央
その他 水原リン
仲野裕
田中完
三宅健太
斉藤瑞樹
出口佳代
城雅子
神谷和夫
北川勝博
  • BD版のパッケージ裏にはDVD版のキャストが誤表記されている。

作品の評価編集

映画批評家によるレビュー編集

Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「『リトル・ダンサー』は笑いと涙の両方を呼び起こすことができる魅力的な映画である。」であり、119件の評論のうち高評価は85%にあたる101件で、平均点は10点満点中7.3点となっている[2]Metacriticによれば、34件の評論のうち、高評価は28件、賛否混在は5件、低評価は1件で、平均点は100点満点中74点となっている[3]

受賞歴編集

日本国内で正規に販売されているDVD編集

  • 『リトル・ダンサー DTSエディション』(2005年3月25日発売)
  • 『リトル・ダンサー コレクターズ・エディション』(2005年12月22日発売)

ミュージカル編集

本作に基づいたエルトン・ジョン作曲のミュージカル (Billy Elliot the Musical) も製作され、高い評価を受けている。2005年、ウェスト・エンドヴィクトリア・パレス劇場英語版で上演が始まり、翌年のローレンス・オリヴィエ賞で最優秀新作ミュージカル賞・最優秀作曲賞・最優秀振付賞など主要な賞を総なめにした。ビリー役を演じた子役3人は最優秀主演賞を史上初の同時受賞し、ビリー役の一人で当時13歳だったリアム・モワー英語版は史上最年少での受賞になった。2008年にはブロードウェイでも上演開始され、第63回トニー賞ミュージカル作品賞をはじめ、主演男優賞・演出賞など10部門を独占し、この回の最多受賞となった。主演男優賞ではビリー役を演じた子役3人が演技部門で史上初同時受賞を果たした。ブロードウェイでは2012年に上演を終了したが、その後もツアー(全米巡業)での上演が続けられている。ロンドン、ウェスト・エンドでは2013年の段階で通算観客動員数は400万人を越えようというほどの好評を得たが、2016年4月に劇場の改修工事のため公演を終了した。

日本では『ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー』のタイトルで、現地時間2014年9月28日のロンドン公演が字幕付きでTOHOシネマズ日劇を皮切りに順次上映された。この公演では、現在のビリー役の他、歴代のビリー役を務めた全27人が共演しており、このバージョン向けの特別フィナーレも行われた[4]

このほか、オーストラリア(初演2007年)、アメリカ合衆国(2008年)、韓国(2010年)、ノルウェイ(2014年)、オランダ(2014年)、デンマーク(2015年)など多くの国で各国キャストによるローカル版が製作された。

日本での上演編集

ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』(ビリーエリオット リトルダンサー)のタイトルで、2017年に赤坂ACTシアター梅田芸術劇場メインホールにて上演。キャストはオーディションを経て選出され、主役となるビリー役はクラシック・バレエ、タップダンス、アクロバット、歌など、約1年間のトレーニングとオーディションを経て決定。クラシック・バレエはKバレエスクールタップダンスHIDEBOHが主宰するHiguchi Dance Studioが、アクロバットをコナミスポーツが全面協力した[5][6]。オーディションの様子は、TBS系『アカデミーナイトG』の2016年12月22日(21日深夜)放送で特集された[7]

2016年12月18日、記者会見で応募総数1,346人の中から選出された主人公のビリー役のキャスト4名が発表され[8]、翌年5月に1名の追加が発表された[9]

キャスト(日本版舞台)編集

ミュージカル版受賞歴編集

  • トニー賞
    • ミュージカル作品賞
    • 脚本賞(リー・ホール)
    • 主演男優賞(David Alvarez、Trent Kowalik、Kiril Kulish)
    • 助演男優優賞(Gregory Jbara)
    • 演出賞(スティーブン・ダルドリー
    • 振付賞(ピーター・ダーリング)
    • 編曲賞(Martin Koch)
    • 装置デザイン賞(イアン・マクニール)
    • 照明デザイン賞(リック・フィッシャ)
    • 音響デザイン賞(Paul Arditti)

出典編集

  1. ^ a b c Billy Elliot” (英語). Box Office Mojo. 2021年10月20日閲覧。
  2. ^ Billy Elliot” (英語). Rotten Tomatoes. 2021年10月20日閲覧。
  3. ^ "Billy Elliot" (英語). Metacritic. 2021年10月20日閲覧。
  4. ^ “ミュージカル版『リトル・ダンサー』がついに日本上陸!”. シネマトゥデイ. (2014年9月22日). http://www.cinematoday.jp/page/N0066549 2021年10月20日閲覧。 
  5. ^ “ミュージカル『ビリー・エリオット』が17年に日本初演 主人公ビリー役は1年間のトレーニング&オーディションで決定”. シアターガイド. (2015年11月16日). オリジナルの2018年6月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180612151257/http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2015/11/16_04.php 2015年11月16日閲覧。 
  6. ^ “「ビリー・エリオット」主演の4名「実感ない、でも僕がビリーをやれるんだ」”. ステージナタリー. (2016年12月18日). https://natalie.mu/stage/news/213728 2016年12月19日閲覧。 
  7. ^ “「ビリー・エリオット」主役オーディション&記者会見に潜入、本日深夜TBSで”. ステージナタリー. (2016年12月21日). http://natalie.mu/stage/news/214251 2016年12月22日閲覧。 
  8. ^ a b c d “1346名から選ばれた4人のビリー役が本日お披露目!「ビリー・エリオット」”. ステージナタリー. (2016年12月18日). http://natalie.mu/stage/news/213723 2016年12月19日閲覧。 
  9. ^ a b “『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』に5人目のビリー役として山城力が追加決定!”. @BUTAKOME (サンケイリビング新聞社). (2017年5月21日). オリジナルの2017年8月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170805100917/http://ent.living.jp/tokushu/billy2017/72911/ 

関連項目編集

外部リンク編集

映画編集

オンラインデータベース編集

配信サイト編集

ミュージカル編集