リリーのおもかげ」(Pictures of Lily)は、イギリスロックバンドザ・フーの楽曲。1967年にシングルリリースされた[5]。作詞・作曲はピート・タウンゼントオリジナル・アルバム未収録曲。

リリーのおもかげ
ザ・フーシングル
B面 ドクター、ドクター
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 1967年4月 ロンドン,IBCスタジオ&パイ・スタジオ[2]
ジャンル ロック
時間
レーベル イギリスの旗トラック・レコード
アメリカ合衆国の旗デッカ・レコード
作詞・作曲 ピート・タウンゼント
プロデュース キット・ランバート
チャート最高順位
ザ・フー シングル 年表
ハッピー・ジャック
(1966年)
リリーのおもかげ
(1967年)
ラスト・タイム
(1967年)
ミュージックビデオ
「Pictures of Lily」 - YouTube
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解説 編集

1967年4月5日にロンドンIBCスタジオおよびパイ・スタジオにて、シングルB面に収録された「ドクター・ドクター」[注釈 1]と共に1日で録音ミキシングされた[2]

曲調はバラードだが、歌詞は「不眠症に悩む少年が父親に相談して、リリーという女性が写った写真をもらって元気を取り戻すが、同時にリリーに恋をしてしまう」という内容である。作者のタウンゼントは、この曲を書いたきっかけについて「ガールフレンド[注釈 2]の家の壁にヴォードヴィル界のスター、リリー・ベイリス(Lily Bayliss)[6][7][注釈 3]の古いポストカード写真が貼られているのを見て思いついた」と述べ、「少年が皆通り過ぎるピンナップ写真を持っていた時期を振り返った歌だ」としている[8]ジョン・エントウィッスル[注釈 4]は「これはマスターベーションの歌だ。タウンゼントがいつもしてきた事を歌にしているんだ」と説明している[9][注釈 5]

イギリスでは同年4月21日に、マネージャーのランバートとクリス・スタンプ英語版が前年に設立したトラック・レコード英語版に移籍後の第一弾シングルとして発表され、シングル・チャートの4位まで上昇した。アメリカでは同年6月24日にデッカ・レコードから発表されたが、最高位51位と奮わなかった。

ミュージック・ビデオ 編集

前作シングル曲「ハッピー・ジャック」と同様、本曲にもミュージック・ビデオが製作されている[10][注釈 6]。映像はモノクロVHS作品集『フーズ・ベター・フーズ・ベスト英語版』(1988年[注釈 7][11]、一部がドキュメンタリー映画『キッズ・アー・オールライト』(1979年)[注釈 7]に収録された。

カヴァー 編集

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ a b 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、325頁。
  2. ^ a b 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、141頁。
  3. ^ WHO | Artist | Official Charts
  4. ^ The Who - Awards : AllMusic
  5. ^ thewho.com”. 2023年11月5日閲覧。
  6. ^ Neill & Kent (2007), p. 145.
  7. ^ Townshend (2013), p. 110.
  8. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、132頁。
  9. ^ ベストアルバム『マイ・ジェネレーション~ザ・ヴェリー・ベスト・オブ・ザ・フー』付属のライナー・ノーツより。
  10. ^ Neill & Kent (2007), p. 160.
  11. ^ thewho.com”. 2023年12月9日閲覧。
  12. ^ Popservations

注釈 編集

  1. ^ 作詞・作曲ジョン・エントウィッスル。オリジナル・アルバム未収録。
  2. ^ 1968年にタウンゼントと結婚したカレン・アストリー。
  3. ^ タウンゼントの自伝には、リリー・ベイリスではなくリリー・ラングトリーの名前が記されている。
  4. ^ タウンゼントとは、10歳代前半の時からの付き合いだった。
  5. ^ ザ・フーのアルバム『四重人格』(1973年)を原作にした映画『さらば青春の光』(1979年)に、主人公の青年が広告写真の女性に情欲を抱いてしまうという、本曲とタウンゼント達の説明を思い起こさせる場面がある。但し、この映画では本曲は使用されていない。
  6. ^ 1967年4月19日、当時西ドイツブレーメンで、ダス・エルステのテレビ番組『ビート・クラブ』(Beat-Club)のスタジオで撮影された。
  7. ^ a b DVDで入手可能。

参考文献 編集

  • アンディ・ニール; マット・ケント (2008). エニウェイ・エニハウ・エニウェア. 佐藤幸恵、白井裕美子(訳). シンコーミュージック. ISBN 978-4-401-63255-8 
  • Neill, Andy; Kent, Matt (2007). Anyway Anyhow Anywhere: The Complete Chronicle of The Who 1958-1978. Virgin Books. ISBN 978-0-7535-1217-3 
  • Townshend, Pete (2013). Who I Am. HarperCollins. ISBN 978-0-00-747916-0