ルイボス
ルイボス(Aspalathus linearis、アフリカーンス語:rooibos)はマメ亜科のアスパラトゥス属の一種。
ルイボス | |||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
![]() 栽培されるルイボス(上)
その花と葉(下) (南アフリカ共和国クランウィリアム) | |||||||||||||||||||||||||||
分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Aspalathus linearis (Burm.f.) R.Dahlgren | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Rooibos |
針葉樹様の葉を持ち、落葉するときに葉は赤褐色になる。南アフリカ共和国は西ケープ州ケープタウンの北に広がるセダルバーグ山脈一帯にのみ自生する。乾燥した30度以上の温度差の高い場所を好むため、セダルバーグ山脈以外での栽培は失敗に終わっている[1]。
呼称編集
属名 Aspalathus はヒトツバエニシダ類などいくつかのマメ科植物を指して用いられていた古代ギリシア語: ασπαλαθος (aspalathos) を転用したもの。 種小名 linearis はラテン語で「線でできた、線形の」の意。
通用名ルイボス(rooibos)はアフリカーンス語で「赤い潅木」の意。ただし、アフリカーンス語とオランダ語では「ローイボス」[ˈrɔːibɔs]、英語でも「ロイボス」[ˈrɔɪbɒs] のように発音する。
利用編集
乾燥させた葉は、茶(ルイボス茶)として利用されるほか、リキュール(ルイボスリキュール)としても楽しまれている。
ルイボス茶編集
葉を乾燥させて作る飲み物は「ルイボス茶(ルイボスティー)」と呼ばれる健康茶の一種である。南アフリカで年間12,000トンが生産され、半分が輸出されている[1]。ルイボス茶は、現地では rooibos tea もしくは bush tea の名で、また、イギリスでは redbush tea、South African red tea、red tea などの名で呼ばれている。
茶は紅茶のように赤く、ほのかに甘みがある。カフェインを含まず、タンニン濃度もごく低いが、ハーブティー同様ピロリジジンアルカロイドを含んでいる。
ルイボスの作用編集
ルイボスは、フラボノールやフラボンやジヒドロカルコンやビテキシンなどのフラボノイドを含めた多数のフェノール系化合物を含んでおり、抗酸化作用があるとされている。フラボノールとしてクェルセチンを、フラボンとしてルテオリンも含んでいる。ルイボス茶は試験管内でキサンチンオキシダーゼを阻害することが知られているが、生体内での阻害についてははっきりしない。キサンチンオキシダーゼはプリン塩基を尿酸に変換する役割を果たしており、キサンチンオキシダーゼ活性の減少は尿酸の生産量の減少に繋がるため痛風治療の手助けになる。試験管内実験における濃度依存検定実験においてルイボス抽出物は、痛風治療においてキサンチンオキシダーゼ活性阻害に典型的に用いられる薬剤であるアロプリノールの半分以下の阻害効率であった。また、血糖調整作用をもつピニトールも僅かに含む。ビテキシンにはヨード吸収阻害作用があり、多飲するとヨード欠乏症状が発現するおそれがあることがラット実験で証明されている。
ケープ地方の先住民コイサン人(かつて西欧人からブッシュマンと呼ばれた種族)は古くからルイボス茶の効能を知っており、薬草として採集していた。ケープ地方に入植したオランダ移民はルイボス茶を紅茶の代用品として用いた。南アフリカ共和国では牛や山羊の乳と砂糖を入れてミルクティーにして飲むのが一般的であるが、世界のその他の地域ではそのまま飲むことが多い。南アフリカのカフェでは、ルイボスのエスプレッソやカフェ・ラッテ、カプチーノも人気がある。
厚生労働省による、「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」に掲載されている[2]。
ルイボス入りのリキュール(左)と、ルイボス茶のティーバッグ(右)
脚注編集
- ^ a b “ルイボスティーが飲めなくなる?気候変動でルイボス消滅の危機 南ア”. AFPBB News (2012年2月29日). 2015年2月9日閲覧。
- ^ “医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト”. 厚生労働省. 2019年4月11日閲覧。
関連項目編集
外部リンク編集
- ルイボス - 「健康食品」の安全性・有効性情報(国立健康・栄養研究所)
- ルイボス - 日本新薬 山科植物資料館(日本で唯一栽培を試みている。最初の株は枯死したため現在2本目の苗を栽培中。2010年、初の開花に成功した)