マスターMaster )は、ルノー車両総重量2.8-3.5トンクラスの商用車である。

2代目マスター(後期型)

プラットフォームシャシホイールベースにはショートとロングが、シャシ一体型のバンボディーには標準ルーフとハイルーフが用意され、その他に、はしご型フレームトラックもラインアップされている。

初代(1981年-1997年) 編集

ルノー・マスター
 
バン
 
 
救急車仕様
概要
製造国   フランス
販売期間 1980年 - 1997年
ボディ
駆動方式 FFFR
パワートレイン
エンジン 2,068cc 2.1D(ディーゼル)
2,445cc 2.5D(ディーゼル)
1,995cc 2.0(ガソリン)
2,165cc 2.2(ガソリン)
変速機 5速 MT
ダブルウイッシュボーン独立(前輪)
ダブルウイッシュボーン独立(前輪)
車両寸法
ホイールベース 3,200 mm(標準)
3,840 mm(ロング)
最大積載量 1,950 kg(FF)
1,890 kg(FR)
系譜
先代 ルノー・エスタフェット
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1980年夏にそれまでのエスタフェットを代替するモデルとしてマスターとそれより小型のトラフィックが市場に導入された。

マスターには前輪駆動(FF)の「トラクシオン」と後輪駆動(FR)の「プロピュルション」の2種類の駆動方式が用意されており、前輪車軸の後方に搭載されたエンジンの上にキャブが載るセミキャブオーバー形式であった。駆動方式により縦置きエンジンの向きが異なり、FFのトラクシオンはエンジンの前にクラッチ変速機を置く通常とは逆の配置を採っていた。

外観のスタイリングは直線を基調としたものとなり、初期型ではフィアット・リトモに似た円形のドアハンドルを採用していた。特徴的な外吊り式の荷室/客室側面ドアは、一般的な一旦外側に引き出す形式のスライドドアと異なり丈夫な鍛造製アームを不要としていた。跳ね上げ式のテールゲートを持つモデルではテールゲートが開くと共にその支点が天井に沿って前方へ移動することでテールゲートの後方への張り出し量を少なくする工夫が図られていた[1] 。 当初は2.5 L (2,445cc) のFiat-Sofimディーゼルエンジンを搭載していたが、1984年から2.1 L (2,068cc)版が追加され[2]、稀ではあったが2.0 Lか2.2 Lのルノー製ガソリンエンジン搭載車も販売された。

他社の製品とも競合したが、後のルノーのダッジイギリス工場獲得(クライスラープジョー買収時)後にルノー・50として売られるダッジ・50とも競合した。

1994年にマイナーチェンジ。

搭載されたエンジンは、自然吸気の2.5Lとターボ付きの2.8Lで、ともにディーゼルエンジンである。

日本への正規輸入は行われていないが、個人輸入のほか、三井物産オートモーティブが輸入していたキャンピングカーの中のひとつにもベースとして使われていたが、いずれも少数である。

2代目(1997年-2010年) 編集

 
2代目マスター(前期型)

1997年にモデルチェンジした2代目モデルは他社へもOEM供給されるようになり、オペルおよびボクスホールではモヴァノとして、2001年からはインタースターとして、提携先の日産自動車からも販売されている。

2002年には大幅なフェイスリフトが行われ、ヘッドランプ形状の変更や、フロントグリルの変更が行われた。それにより外観は2代目トラフィックに近いものになっている。 エンジンにも日産製ZD30DDTiが追加されている。

この世代も正規輸入はなく、架装済みキャンパーがインディアナRVによって輸入されている。

3代目(2010年-) 編集

ルノー・マスター (3代目)
 
2018年までのモデル
 
2019年以降のモデル
概要
別名 ルノー・マスター(3代目)
オペル・モヴァノB
製造国   フランス  ブラジル
販売期間   2010年 -
ボディ
乗車定員 2名 - 9名
ボディタイプ バン、ワゴン、トラック
エンジン位置 フロント
駆動方式 前輪駆動後輪駆動
サスペンション
擬似マクファーソン
スチール製スプリングサスペンション
車両寸法
ホイールベース 3,182 mm - 4,332 mm
全長 5,075 mm - 6,875 mm
全幅 2,070 mm - 2,095 mm
全高 2,307 mm - 2,815 mm
車両重量 2,140 kg
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2010年1月25日に発表され、4月に欧州で販売が開始された。同時にOEM供給しているオペル/ボクスホールモヴァノも新型に切り替わった。駆動方式はFFFRが用意され、ホイールベース長も3タイプ設定される。

エンジンは2.3L 直4 ターボディーゼルエンジンが搭載され、最高出力100PS, 125PS, 150PSの3タイプがラインアップされる。

日産自動車版は2010年のハノーファーモーターショーにてNV400として発表された。

2018年10月から、ルノーサムスン自動車を通じて韓国市場でも販売を開始した(前輪駆動版のみ)。

2019年、フロントマスクを大幅改良。

2022年10月17日、商用燃料電池車としてマスターH2-TECHの量産モデルをパリモーターショー2022で初公開[3]。 HYVIAはルノーグループと、水素燃料電池技術を手がけるプラグパワー社が出資して設立したHYVIAが開発し、ルノーのバチイイ工場で生産される予定。

寸法 編集

サイズは用途に合わせて幅広く用意されており、仕様ごとに対応する全高と全長の組み合わせが異なる。

NV400の寸法[4](長さ、単位は(mm))
外装[注釈 1] WB 内装[注釈 2]
L1[注釈 3] 5,075 3,182 2,583
L2[注釈 3] 5,575 3,682 3,083
L3(RWD) 6,225 3,733
L3(FWD) 4,332
L4[注釈 4] 6,875 4,383
NV400の寸法[4](高さ、単位は(mm))
外装 内装
H1 2,307 1,700
H2 2,488-2,557 1,894[注釈 3]
1,798[注釈 4]
H3 2,744-2,815 2,144[注釈 3]
2,048[注釈 4]
NV400の寸法[4](容量、単位は(m3))
L1[注釈 3] L2[注釈 3] L3 L4[注釈 4]
H1 8 N/A
H2 9 10.8 13 14.9
H3 N/A 12.3 14.8 17.0

関連項目 編集

注釈 編集

  1. ^ すべての仕様で全幅は2,070mm、ただしプラットフォームキャブのみ2,095mm[4]
  2. ^ すべての仕様で室内幅は1,765mm、内部ホイール アーチ間は1,380mm。
  3. ^ a b c d e f 前輪駆動のみ
  4. ^ a b c d 後輪駆動のみ

出典 編集

  1. ^ 『世界のトラック/バス』二玄社、1980年11月25日、pp. 110 - 114頁。 
  2. ^ HGV Parts Direct
  3. ^ ルノーの新型商用燃料電池車、量産モデル発表へ…パリモーターショー2022(レスポンス)”. LINE NEWS. 2022年10月16日閲覧。
  4. ^ a b c d Renault Master brochure” (英語). Renault UK (2022年11月1日). 2023年10月30日閲覧。

外部リンク 編集