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ルパン三世 ワルサーP38』(ルパンさんせい ワルサーピーさんじゅうはち)は、モンキー・パンチ原作のアニメ『ルパン三世』のTVスペシャルシリーズ第9作。1997年8月1日日本テレビ系の金曜ロードショーで放送された。視聴率は21.8%(ビデオリサーチ)。

目次

概要編集

ルパン三世生誕30周年記念作品であり、坂上みきによる冒頭の解説ではTVスペシャル史上最高額(1997年当時)の予算をかけて製作されたことが語られている。

この作品でのルパンの衣装のカラーリングは赤色ジャケット着用で、劇場映画第1作『ルパン三世 ルパンVS複製人間』と同じ黒いシャツに黄色のネクタイ、黒いズボンの組み合わせであった。一方で不二子のキャラクターデザインは前年に放送されたTVスペシャルシリーズ第8作『ルパン三世 トワイライト☆ジェミニの秘密』同様に金髪であった。

登場人物間のブラックユーモアも交えた軽妙な調子の会話は従来通りだが、コミカルなシーン自体は少なめで、終始緊張感のあるダークな作風と流血表現、暴力シーンが多めなのが特徴である。絵のタッチも従来のTVスペシャルとは大きく異なる。また、ゲストヒロインが死ぬ等バッドエンドとも解釈できる哀しげなエンディングとなっており、シリーズの中では異色の作品となっているが、逆にそれが多くの人気を集めてもいる。また、この作品から大野雄二が音楽担当に復帰している。この作品からルパン三世のテーマは'97バージョンに変更された。

あらすじ編集

自分の名を利用した偽の犯行予告状の差出人を確かめるべく、アメイタリア国副大統領の誕生パーティーに潜入したルパン。

待ち構えていた銭形警部率いる警官隊と大捕り物を繰り広げる最中、会場に乱入した謎の暗殺集団「タランチュラ」によって主催者であった副大統領が殺害される。混乱の中、ルパンを追いつめた銭形であったが、何者かが放った凶弾に倒れる。ルパンは銃撃した方向に目をやったが、驚愕する。窓から差し出ていたその人物の右手には、シルバーメタリックのワルサーP38が握られており、その右手の甲にはタランチュラの刺青が入っていた。

実はルパンは、そのシルバーメタリックの「ワルサーP38」を愛用していたこともあったが、ある者に奪われていた。銭形を撃った人物を探るべく、ルパンは次元と共に「タランチュラ」へと潜入し、「タランチュラ」が保有する金や「タランチュラ」からの脱走を望む者達等も巡って、ゴルドー率いる凶悪な殺し屋達と戦いながら目当ての人物を探し出す。

ゲストキャラクター編集

エレン
声 - 篠原恵美
タランチュラに所属する幹部クラスの殺し屋で、(潜入した不二子を除けば)組織における紅一点の存在。亡くなった弟の形見のペンダントを持っている。格闘などの近接戦闘に秀でており、銃器や戦闘機をも扱えるが、無用な殺人は避ける傾向にある。気は強いが物腰は丁寧。子供の頃に父にたった一日の飲み代のカタとして弟のアレックスと共に組織に売られており、その過去もあってアレックス以外の他者には心を閉ざしていた。しかし、島に乗り込んできたルパンと共に過ごすうちに彼に惹かれていくようになる。
穏健派のメンバー共々組織から脱出して殺し屋稼業から足を洗おうと考えているが、実際はドクターに利用されているに過ぎず、過労死とされていたアレックスの死因もドクターによる殺害であった。自身もルパンをかばってドクターに撃たれてしまうが、共にドクターを倒す。しかし致命傷を負っており、ルパンに看取られる中、束の間の自由を与えてくれた事に感謝の言葉を述べて静かに息を引き取った。彼女の遺体はルパンによってアレックスの墓の隣に埋葬された。
ドクター
- 津嘉山正種
タランチュラのメンバー。医療担当であり、様々な薬品の扱いに精通、特に毒物の分析にも長けている。表向きは穏やかな人物を装うが、その実態はゴルドーさえも手玉にとる危険人物であり、冷酷・残忍かつ知略的。早くから正体に気づいていたルパンでさえも、自身に打たれた偽の解毒剤を見抜けず苦しめられるなど抜け目のない性格でもある。比較的に遠い距離から拳銃で銭形の左胸を撃ち[注釈 1]、接近戦においてもルパンやエレンとも互角に張り合えるほど長けているが、一方で窮地に陥ると行動の精彩が欠ける場面も少なくない[注釈 2]
その正体はかつて、ルパンが泥棒家業駆け出しの頃に最初に組んだ相棒。しかし、仕事に成功して逃亡しようとしたルパンに目眩ましをかけて、彼が当時愛用していたシルバーメタリックワルサーP38を奪い取り、銃撃して逃走する。
顔や姿を変えつつ身を隠し[注釈 3]、後にタランチュラに接触。穏健派のメンバーに潜り込み、彼らに逃亡計画を教唆するも、その裏ではゴルドーに通じ、アレックスを脅して脱出計画用のプログラムを書き直させた後、彼を過労死に見せかけて殺害している。
うまく立ち回り続け、アメイタリア国副大統領暗殺作戦の際に、偽の予告状でルパンを誘い出し、自分の姿を上手く隠しながら奪ったワルサーで銭形を銃撃するところをルパンに見せる、自分に恨みを持つルパンの復讐心を駆り立て、彼がタランチュラの島にまで来ることを計算しておびき寄せる。その後は双方を利用して共倒れさせていき、監視している政府側にはルパンの襲撃によるものと見せかけて、タランチュラの主要メンバーを次々と抹殺。さらには結託していたゴルドーが、最終的に自身を始末しようとしたのも予測し、逆に欺く形で射殺した後、すべての罪をルパン達に被せた上で莫大な金塊と共に行方を晦まそうとしていた。
エレンを人質に、金塊の積まれた飛行船での脱出を図り、乗り込んできたルパンと対決。細工を施した解毒剤の効果によって後一歩の所まで追い詰める。しかし、そこでエレンの邪魔が入って形勢を逆転され、自分が最初に投与した本物の解毒剤を使って取引をしようとするも、弟の仇討ちを望むエレンとその意を汲んだルパンは一切の躊躇を見せず、最後は見苦しく命乞いをしながらワルサーP38で額を撃ち抜かれて死亡。死体は金塊と共に海へと落ちて行った。
ゴルドー
声 - 内海賢二
タランチュラのボスで、スキンヘッドの額にタランチュラの刺青をした初老の大男。性格は冷酷そのもので、自分に忠誠を誓っている部下でさえも切り捨てる。自身も暗殺者として高い能力を備えており、組織のメンバー内でもかなりの巨漢であるにかかわらず、銃弾を避けれるほどの高速移動が得意。右腕の義手は指の部分が鋭利な棘状に変形可能で、任意に着脱もでき、中には長剣が内蔵されている。
世界各国の首脳達の依頼により顎でこき使われるも同然で、要人の暗殺などを請け負っている。組織の存在は地図にも載っていないなど厳重に秘匿され、さらには静止衛星レーザーで島周辺が厳重に守られていたが、逆にそのことがゴルドー自身の自由も奪うことになったため、首脳達のことも内心では「蛆虫共」と嫌悪している。
ドクターと手を組んでいたことでルパンと結託した穏健派の逃亡計画を察知しており、それを利用して各国首脳を欺くことを画策。各国首脳が見ている前で自らがルパンに殺されたと見せかけ、静止衛星レーザー砲を破壊して組織の金塊を島から持ち出し、さらにはドクターも始末して自分一人だけ自由と莫大な富を手に入れようとした。しかし、そのプロットはドクターに見透かされており、いざドクターを始末しようとした際に、芝居に利用した血糊に仕込まれていた毒に苦しみ出し、最期はドクターにワルサーで額を撃ち抜かれて死亡する。
ジャック
声 - 速水奨
タランチュラの幹部クラスの殺し屋で、色白の肌と長い銀髪が特徴のナイフ使い。幹部格だけあって殺し屋として組織内でも上位の実力を持っているが、ルパンや次元相手では殺しの腕前は別として精神面の強さでは遠く及ばず、ルパンに決闘を挑んだ際もあっさり敗れている。
好戦的で残忍非道であるが「臆病」に近いまでの猜疑心や警戒心が強い部分もあるため、痛烈な皮肉を言われる事が多い。ルパンを「コソ泥」と言っているが、「鎖につながれた殺しの飼い犬」と言い返され、志願入隊という形で潜入し関係を持っていた不二子からもその精神的脆弱性を見抜かれ、「そんなにそのルパンが怖いの?」と言い負かされた。対峙する次元から自由を望んでいないかと聞かれた際も「殺しが好きだ」と虚勢を張っており、次元曰く「自由になるのが怖い」に過ぎない模様。
穏健派が逃亡に使った船に乗り込み激突する最中、静止衛星レーザーにより穏健派やホーク共々死亡した。
ホーク
声 - 天田益男
タランチュラの幹部クラスの殺し屋で、モヒカンにグラサンと特徴的な外見をした巨漢。ルパンのワルサーを「時代遅れのおもちゃ」と馬鹿にしているが、そのルパン本人からは「図体だけのデクノボウよりよっぽどいい」と逆に馬鹿にされた。巨漢ながら身のこなしは軽く、重火器を縦横無尽に駆使し、攻撃力と機動力の両方を兼ね揃えている。
穏健派が逃亡に使った船に乗り込んで激突するも、ボマーに重火器を破壊される。その後、サブマシンガンや拳銃に替えて穏健派を相手に応戦するも、静止衛星レーザーにより穏健派やジャック共々死亡した。
ボマー
声 - 緒方賢一
タランチュラの幹部クラスの殺し屋で、頭に黄色いバンダナをまいた爆弾使い。太っているが動きはかなり素早く、ルパンへ一瞬にして無数の爆弾を設置するほどで、相当な手練(次元が「お前ほどの腕なら、一人でやっていけるだろう」と評するほど)。
エレンやアレックスが加入する前から組織に所属していたが、周りの人間が殺しを楽しんでいる生活に嫌気が差し、他の穏健派と共に暗殺稼業を止めるべく脱出計画を実行する。一方で、自由になった後の生き方について思い悩んでおり、その事実を次元に打ち明けている。裏社会から抜けて自由に生きるのが難しいとしても、せめて卑劣な殺し屋生活ではなく、漠然としつつも次元と組んで何か目的を持った生き方をしたいと思案していた。
エレンやドクター達と共に組織からの脱出を試みるも、逃亡に使った船での戦闘でゴルドーにより致命傷を負わされる。せめてゴルドーだけでも道連れにと自爆を試みたが、次元の前で逃げられてしまい自身だけが爆死してしまう事になった。
アレックス
声 - 岩永哲哉
エレンの弟で、唯一の身内であった青年。エレンと共に父に組織に売られてしまったが、エレンやボマーの存在のおかげで素直な心の持ち主に育っていき、エレンにはオルゴールつきのペンダントを贈っている。組織内でも屈指のプログラマーとして、エレクトロニクスの担当をしていた経緯から穏健派脱出計画用の静止衛星自爆プログラムを作成していた。プログラム完成後に過労によって死亡したとドクターによって説明されていたが、実際は完成後にドクターとゴルドーにエレンの命を盾に脅されて止むなくプログラムの書き直しをさせられてしまい、その後にドクターによって殺害されていた。
ビッキー・フラナガン
声 - 岩永哲哉
本作の銭形の助手だが、長官から療養中の銭形を見張るよう命令されている。まだまだ若い上にドジで、療養中の銭形の足を二度にもわたって階段を転がり落ちた挙句に骨折させてしまう。その後、銭形と共に田舎町へ島流しにされて真実を話すも、最初から気付いていた銭形は一向に自らの信念を曲げようとはしなかった。その姿に共感したのか、銭形がルパンの密告によってタランチュラの島へ大勢の報道記者を連れて乗り込んだ際は、止めようとしなかった。
ICPO長官
声 - 阪脩
本作の銭形の上司。タランチュラが各国政府の首脳陣に操られている事実を知っていたらしく、ビッキーにタランチュラを追跡しようとした銭形の監視を命じる。しかし、ルパンからタランチュラの情報を得た銭形は、最終的に大勢の報道記者達を引き連れてタランチュラの島に乗り込んでしまい、すぐ戻るように命令するが無視される結末となった。

用語編集

銀のワルサーP38
ルパンが以前使用していた拳銃。当時組んでいた相棒と大金を盗み出すが、相棒に裏切られ、この銃を奪われた上で撃たれる。
以降、相棒も銀のワルサーも行方不明となっていたが、劇中冒頭のタランチュラ襲撃時、ルパンの目前で銭形を撃った何者かが、この銃を使用していた事から、かつて裏切った相棒がタランチュラのメンバーの中にいる事に気付いたルパンは、復讐のためにタランチュラに潜入した。
戦い終わった後、銀のワルサーを取り戻したルパンだったが、飛行船から投げ捨てている。
タランチュラ
詳細不明の世界最大の暗殺組織。バミューダトライアングル内のとある孤島にある要塞(元ナチスの秘密軍事施設)を拠点としている。歴史に残るような要人暗殺事件には必ず絡んでおり、陰から歴史を操ってきた。構成員は国籍は様々で、多くが残虐非道な罪で極刑を宣告された凶悪犯たち。また、構成員は全員が毒を体に投与されており、手の甲にタランチュラの刺青がある。殺人者として使えなくなった者は、「人間狩り」と称して他の構成員たちに惨殺される。
各国警察から追われながらも、実は世界各国の首脳から公認されており、これまでの暗殺も彼らの依頼で実行してきたものであった。要塞のある島は世界地図から削除されており、実態について知っていたICPOの上層部でも組織の事はトップシークレットになっている。また、島の周囲の海は静止衛星レーザー砲に守られており、島に近づいた船や飛行機は一瞬にしてレーザー砲で消されてしまう(これがバミューダトライアングルの船などの消失の真相)。この衛星レーザー砲と構成員に投与されている毒によって、首領であるゴルドーを含めた構成員の脱出や任務失敗による情報の露呈を完全に防いでいる。
暗殺の報酬は前金として金塊で受け取っており、作中では首脳から依頼を受け標的のデータをゴルドーが受け取り、部下に命令して島に金塊が届いてから暗殺が実行されるという順序になっている。秘密の部屋には今までの報酬で得た大量の金塊が隠されている。
終盤で首脳陣が、島内の原子炉を爆発させ、証拠を隠滅しようとするが、次元・五右衛門・不二子の活躍で失敗。さらに静止衛星レーザー砲が自爆したことで外部からの侵入を防げなくなり、ルパンから情報を得た銭形や報道記者たちによって遂に全貌を暴露された。
穏健派
タランチュラに所属する構成員の中で、殺しを楽しんでいる周囲や島での閉ざされた生活に嫌気が差した者たちの集団。表向き他の構成員と同様に暗殺を実行する傍ら、毒蜘蛛の群生地で島の人間が近づかない場所の極秘アジトで脱出計画に向け活動している。しかし、ゴルドーと通じていたドクターがメンバーにいた結果、彼らの計画に躍らされてしまう事となり、最終的にはゴルドー派と共に静止衛星レーザー砲で抹殺されてしまう事となった。
静止衛星レーザー砲
タランチュラの本拠地の孤島周辺の海域を警備する強力な衛星レーザー砲。その海域に侵入者があったときはそこに向けて宇宙からレーザーを放ち、一瞬で破壊する。ただし、ランダムナビゲーションに従って移動する船には攻撃しない。最終的にはルパンとエレンによって行われたプログラミングにより、自爆する形で消失。これによってタランチュラへの要塞は容易に出入りが出来るようになった。
ランダムナビゲーション
タランチュラの本拠地の島と外界を往来する船だけに送られてくる特殊な信号。この信号に従って航海する船は、静止衛星レーザー砲に攻撃されない。
ゴルドーが組織の構成員全員に投与している出血毒の一種である猛毒。元は要塞に残されていた未完成の毒薬で、これを研究し完成させたものである。特殊な装置で手の甲にタランチュラの刺青として投与する。この紋章は毒の回りを示す役割があり、普段は青色だが毒が体に回ると赤色に変化する。またこの毒は、島から自然発生しているガスを吸っていれば覚醒しない(ガスに含まれる特殊な亜硫酸が毒性を抑えるため)。そのため、島の外で活動する際は必ず島のガスを入れたボンベ付きガスマスク(1つで24時間分)を着用する必要がある。毒が覚醒した際は、毒が体に回れば回るほどに紋章が赤みを増していき、最終的に全身の穴という穴から血が噴き出し、死に至る。そのため、過去に構成員が捕えられた事は何度かあるものの、マスクを外された際に覚醒した毒の影響で手の刺青のみを残し全員が死亡している。なお、冒頭でルパンが語ったところ、こうして死んだ構成員は謎の死(変死)という扱いになっており、この事から司法解剖でも検出されない毒と思われる。
ゴルドーが脱出の為に用意していた飛行船にも大量のガスと毒の原液が保有されており、ゴルドーは脱出した後、自身の為の解毒剤も作成しようとしていたようである。
解毒剤
タランチュラ構成員が投与されている毒の治療薬。これまでは解毒剤は存在しなかったが、ルパンが盗み出した毒の成分表などを元にドクターが開発した。しかし、ドクター本人が投与したもの以外は毒を一時的に消すだけの偽物であった。

声の出演編集

スタッフ編集

注釈編集

  1. ^ 左胸のポケットにあった警察手帳により、深手を負いながらも、心臓に達する傷とはならなかった。
  2. ^ 大量のガスボンベがある場所で銃撃しようとする等。
  3. ^ ルパンと組んでいたころは、赤髪で癖っ毛のある髪型だった。

関連項目編集