ルーイカット(Rooikat)は南アフリカ製の8輪式装甲車である。

ルーイカット装甲車
ルーイカット 105(105mm砲装備型)
基礎データ
全長 7.1m
8.2m(砲口から計算)
全幅 2.9m
全高 2.8m
重量 28t
乗員数 4名
装甲・武装
主武装 GT4 62口径76mm対戦車砲(砲弾48発)
副武装 MG4 7.62mm機関銃x2丁(同軸1丁、対空1丁。弾丸3,600発)
81mmスモークディスチャージャーx8
機動力
整地速度 120km/h
不整地速度 50km/h
エンジン 10気筒水冷ディーゼル
563hp
懸架・駆動 8x8
行動距離 1,000km
出力重量比 20.1hp/t
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“ルーイカット(Rooikat)”とはアフリカーンス語カラカルの意であり、直接的には「紅い(Rooi)」「ネコ(Kat)」という意味である。なお、アフリカーンス語の発音をカタカナに転化した表記としては“ロイカット”がより近いため、日本では「ロイカット」と表記される例もある。

概要 編集

本車は、偵察火力支援、対戦車戦闘を主な任務とする大型の装輪装甲車両で、フランス製のAML装甲車とそのライセンス生産型であるエランド装甲車の後継車両として開発された。

フランスのAMX-10RCイタリアチェンタウロなどの類似車両は105mm砲を搭載しているが、ルーイカットの主砲は艦載用のオート・メラーラ 76 mm 砲と同系列のものとなっている。これは、小口径ではあるが、仮想敵であるアンゴラ軍主力戦車であるT-54T-55T-62装甲を貫通させられる程度の威力を有する高初速弾(76×900mm)であり、この選択により、車両に搭載可能な主砲の砲弾数を増加させている。

なお、イスラエルメルカバ戦車韓国K1戦車の初期型も、同様の理由で、同時期に開発された同クラスの西側の戦車よりも一回り小口径の105mm砲を採用・搭載しており、ルーイカットもこれらと共通した武装選定となっている。

装輪式自走対戦車砲の比較[要出典]
 16式機動戦闘車  11式装輪突撃車[注 1]  AMX-10RC  M1128 MGS[注 2]  チェンタウロ  ルーイカット
画像            
全長[注 3] 8.45 m 8.00 m 6.24 m 6.95 m 7.40 m 8.20 m
全幅 2.98 m 3.00 m 2.95 m 2.72 m 3.05 m 2.90m
全高 2.87 m 約3 m 2.60 m 2.64 m 2.73 m 2.80 m
重量 約26 t 20 t 17 t 18.77 t 26t 28.8 t
最高速度 100 km/h 85 km/h 100 km/h 108 km/h 120 km/h
乗員数 4名 3名 4名
主武装 52口径105mmライフル砲 105mmライフル砲 48口径105mmライフル砲 51口径105mmライフル砲 52口径105mmライフル砲 62口径76mmライフル砲
副武装 12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm重機関銃×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×1
12.7mm重機関銃M2×1
7.62mm機関銃×1
7.62mm機関銃×2 7.62mm機関銃×2

派生型 編集

2000年に主砲をGT7 105mm対戦車砲に換装し火器管制装置を近代化する改修が行われたルーイカット105が存在するが南アフリカ陸軍は採用していないため輸出用となっている。

また車体を共用し砲塔のみを変更した各種の派生型が構想され、レーダー火器管制装置付き連装35mm機関砲搭載の自走対空砲型であるルーイカットZA35、ZA35の機関砲をウムコント個艦防空ミサイルを転用した地対空ミサイルの発射装置(片側2基、計4基)に変更した自走地対空ミサイルであるルーイカットSAMZT3英語版対戦車ミサイルの発射装置(発射筒4基)および照準装置を装備した砲塔を搭載したルーイカット対戦車型(Rooikat anti-tank)といった各種派生型のモックアップ及び試験車(自走対空砲型は射撃試験も行われた)が作られたが、いずれも生産はされずに終わった。

実戦投入 編集

南アフリカ軍では、1993年アパルトヘイト政策廃止までアンゴラ侵攻やナミビアのSWAPO(南西アフリカ人民機構)掃討作戦にラーテル歩兵戦闘車などと共に従事した。

採用国 編集

  南アフリカ共和国

輸出は振るわず、採用は南アフリカのみにとどまっている。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 08式歩兵戦闘車の派生型。
  2. ^ アメリカ軍の運用思想上は、対戦車用途ではなく歩兵支援用である。
  3. ^ 車体長の場合も含まれる。

出典 編集

関連項目 編集