レナンテラ属Renanthera)はラン科植物の1群。硬い葉を互生して、多数の赤から橙の鮮やかな色の花をつける。

レナンテラ属
Renanthera matutina
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: レナンテラ属 Renanthera
学名
Renanthera
図版・R. coccinea

特徴 編集

中型から大型になる着生植物のラン[1]。茎は立つか、あるいは這い上がって伸び、多数の葉を互生する。葉は幅が狭くて肉厚で硬い。

花茎は葉腋から出て普通は長く伸び、分枝して多数の花を円錐状につける。花は平らに大きく開き、弁は肉厚で赤から橙色の派手な色をしている。背萼片と側花弁は倒披針形をなし、互いに離れる。側萼片はより幅広くなっている。唇弁はとても小さくて3裂し、側裂片は立ち、中列片は舌型で後ろに反り返る。またその基部は距になるかあるいは袋状になる。カルスは枝状。花粉塊は4個あって2対、ロウ質。

学名はラテン語のrenes(腎臓)とギリシャ語のanthera(葯)からなり、花粉塊が腎臓型をしていることによる。火焔蘭の名も有する[2]。 なお本属の和名としてジンヤクラン属が用いられたことがある[3]が、これは石垣島に産するジンヤクラン Arachnis labrosa が本属のものとされていたためである。

分布など 編集

約15種が東南アジアフィリピンからニューギニアにかけて分布する。

分類 編集

ヒスイラン属 Vanda に似ているが普通は節間がより長く、葉はより短い[4]

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代表的なものを挙げる。

  • Renanthera
    • R. coccinea
    • R. imschootiana
    • R. matutina
    • R. monachica
    • R. storiei

利用 編集

洋ランとして栽培される。略称は Ren. である。その鮮やかな色は強烈で熱帯らしさを感じさせるとの評もある[4]。栽培はほぼヒスイラン属に準ずる。

交配品種も作出されており、また属間交配も行われている。以下のようなものがある[4][2]

  • ×Renancentrum レナンケントルム:アスコケントルム属 Ascocentrum との交配
  • ×Renanetia レナネチア:フウラン属 Neofinetia との交配(→renantanda
  • ×Renantanda レナンタンダ:ヒスイラン属 Vanda との交配
  • ×Renanthopsis レナントプシス:コチョウラン属 Phalaenopsis との交配
  • ×Renanstylis レナンスティリス:リンコスティリス属 Rhynchostylis との交配
  • ×kagawara カガワラ:アスコケントルム属 Ascocentrum とヒスイラン属と

出典 編集

  1. ^ 以下、主として唐沢監修(1996),p.566
  2. ^ a b 園芸植物大事典,p.2754
  3. ^ 例えば土橋(1993),p.229
  4. ^ a b c 唐沢(1997),p.153

参考文献 編集

  • 『園芸植物大事典 2』、(1994)、小学館
  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院
  • 唐沢耕司、「バンダ」:『朝日百科 植物の世界 9』、(1997)、朝日新聞社:p.151-153