軌条

レールから転送)
上写真の左右に見える棒状のものが軌条である。
レール(50Nレール)

軌条(きじょう)とは、鉄道線路軌道)を構成する要素のひとつで、鉄道車両車輪がその上を転がり重量を支えるとともに進路を誘導する案内路のことである。一般的にはレールと呼ばれる場合が多い。

鉄鋼分野では、棒鋼の一種に分類されている。

一般的には、断面が逆Tの字型をした棒状の鋼製品が用いられる。これを所定の間隔で2本平行に並べ、道床の上に並べられた枕木の上に締結装置犬釘など)を用いて固定する。枕木と軌条は垂直である。この様にして敷かれた線路上を走る鉄道を普通鉄道という。普通鉄道のほか、桁状の1本の案内路を使うモノレールや、特殊な案内路を用いる案内軌条式鉄道もあり、これらの軌道の材質は鋼に限られずコンクリートなども用いられる。

ここでは、普通鉄道に使われる鋼製の断面が逆T字型をした鉄道レールを中心に記述する。

目次

概要編集

レールは車両の重量を直接に支え、車輪からの1点荷重を枕木と道床に分布させるとともに、車両に円滑な走行面を与え、車輪が脱線しないように車両を案内する役割を持っている。また、車輪の軸重による垂直荷重のほかに、蛇行動や曲線での横圧荷重や水平荷重に十分に耐えられるものでなければならない。また、信号機の制御に使用される軌道回路の信号電流や、電気車の主電動機で使用された動力電流の帰線の回路としても使用されている。

形状編集

 
レールの断面形状による分類
1 橋型レール、2 双頭レール、3 牛頭レール
4 平底レール、5 溝付きレール

レールの断面の形状として望ましい条件としては次のことが上げられる

  • レール頭部の形状は車輪が脱線し難い
  • レールの磨耗前と磨耗後の形状の差が少ない
  • 垂直荷重に対しては高い方が望ましい
  • 上首・下首の半径の小さいものは傷が入りやすいので避ける
  • 底部の形状は設置が安定し易いように幅を広くする
  • 上下中間の幅は錆や腐食にも考慮する

レールの断面形状には、橋型レール、双頭レール、牛頭レール、平底レール、溝付きレールなどの種類がある。橋型レールは、底部から頭部にかけて同じ幅で垂直に上がっているのが特徴であり、最近では使用されていない。双頭レールは、「I」形断面で上下の両頭部が同形であり、転頭して上下を変えれば再利用ができる。牛頭レールは、双頭レールを改良したものである。両者はイギリスなどで使用されていたのを、日本では鉄道創業時にイギリスから購入して採用されていた。平底レールは、底部の形状が安定しやすいように幅を広げた形状となっており、列車走行の荷重に対する曲げ強度も高く、磨耗にも強い、横圧に対しても安定性があり、レールの基本形状として国内外共に使用されている。溝付きレールは路面電車で使用されている。

分類編集

普通レール編集

日本の営業用鉄道では、長さ1 mあたりの重量が60 kg, 50 kg, 40 kg, 37 kg, 30 kgの規格が使われており、普通レールと呼ばれる。重量の大きいものほど、乗り心地に優れ線路の狂いが生じにくく、重量のある列車が通る路線、列車が高速で走行する路線、運行頻度の高い路線に適している。また、その後の改良設計により、従来より高さを高くして、断面二次モーメントが大きいN型レールが在来線用として使用されている。

種類 断面寸法 (mm) 標準長さ
(m)
摘要
高さ 底部幅 頭部幅
60kgレール 174 145 65 25 or 50 現在の新幹線用、一部在来線にも使用
50Tレール 160 136 65 初期の東海道新幹線用(若返り工事で交換)
1 mあたりの重量53 kg
50kgNレール 153 127 65 25 or 50 在来線用(主に幹線
50kgレール 144.46 127.00 67.87 25 = 50kgPSレール = 100ポンドPSレール
40kgNレール 140 122 64 25 在来線用(主にローカル線
37kgレール 122.24 122.24 60.33 25 = 37kgASCEレール = 75ポンドASCEレール
30kgレール 107.95 107.95 60.33 10 = 30kgASCEレール = 60ポンドASCEレール

ASCE米国土木学会が定めた規格。PSペンシルバニア鉄道規格 (Pennsylvania standard) の略。レールのポンド表示は長さ1ヤードあたりの重量ポンド。なお国際規格では、35 kg/m以上のレールを普通レールとしている(ISO 5003)。

異なる重量のレールの境界部には、中継レール異形継目板を用いる。

分岐器用特殊レール編集

分岐器用特殊レールには、以下の規格がある。

  • NE70Sレール
  • 80Sレール
  • 70Sレール
  • 50Sレール

軽レール編集

通常の鉄道用の普通レール以外に、工事用や鉱山用のトロッコなどで使う細いレールもあり、軽レールと呼称される。

種類 断面寸法 (mm) 標準
長さ
(m)
摘要
高さ 底部幅 頭部幅
22kgレール 93.66 93.66 50.80 10 1 mあたりの重量22 kg(以下同)
= 45ポンドレール(ASCE)
15kgレール 79.37 79.37 42.86 10
12kgレール 69.85. 69.85 38.10 10
10kgレール 66.67 66.67 34.13 5.5
9kgレール 63.50 63.50 32.10 5.5
6kgレール 50.80 50.80 25.40 5.5

熱処理レール編集

普通レールに磨耗の進行を抑えるために、焼き入れと呼ばれる熱処理を施して、強度硬さを増した熱処理レールと呼ばれるレールがある。これには、HH340レールとHH370レールがある。頭部全断面熱処理レールは、曲線部の外側レールなどに用いられる。端頭部熱処理レールは、レールに大きな負荷がかかるがロングレールが使用できず、継ぎ目を設けねばならないような箇所に用いるとされる。

継ぎ目編集

 
異形継目板(37kg-50Nレール)
 
中継レール(50T-50Nレール)
 
伸縮継目
 
ロングレールの溶接作業(テルミット法
 
斜め接着絶縁レールの継目部分

レールは端部同士の継ぎ目を繋いで用いる。この接続方法は左右のレールを対に接続する相対式継目方式と、左右のレールが対ではなく、それぞれをほぼ交互に接続する相互式継目方式の2種類がある。前者は、レールの下に設置された枕木の補強や信号回路の分断がやり易いが、継ぎ目の沈下が発生し易い。後者は、継ぎ目の沈下や走行中の列車の揺れは減るが、逆に列車のローリングが走行中に起こり易くなる。このため、21世紀における世界各国の鉄道では相互式継目を採用している事例は少なくなっている。

継ぎ目の観点から、レールの長さによる区分を以下に述べる。

定尺レール編集

レールの標準の長さは、日本の場合、1本25 mで、定尺レールと呼ぶ。線路では、これを、継ぎ目ではレール同士を突合せて突合せ継目とし継目板で繋いで連続させて用いている。レールの継ぎ目を繋ぐ継目板には、断面形状により短冊型・L型・I型が用いられており、I型はN型レールで使用されている。また、レールの継ぎ目の間では、適当な隙間を継目板の中間で設定している。これは、レールが気温日射の変化に応じて伸縮するためであり、レール自身の温度は、気温の他に直射日光が当たる所では相当高くなり、その温度差は60 - 80 となる。そのため、定尺レールでは、40 ℃において1 mm、0 ℃において13 mm程度としている。車輪がレールの継ぎ目を通過する際に発生するガタンゴトンという音はジョイント音と呼ばれる。

継ぎ目構造の望ましい条件としては次のことが上げられる。

  • 垂直及び横の荷重に対してレールと同等の強度を有する
  • 温度変化での伸縮に対して、最高温度でレールが座屈せず、最低温度において継目ボルトに過大な力がかからない
  • 取り付け取り外しが容易である

継目板とレールを締結しているボルト・ナットには、レールの温度による伸縮に対して支障が起きない条件が要求される緊締力で締結されており、ナットの緩みを防止するため、ナットと継目板の間にロックナットワッシャーを挿入している。また、レールは、電気車による電気運転において使用された動力電流を変電所に戻す帰線や、軌道回路により使用される電流を流すための電流回路としても利用されるため、継目板とレールとの間の接触面ではなどで電気抵抗が大きくなることを防ぐため、レールの継ぎ目の間にレールボンドや信号ボンドを繋いでおり、ハンダ合金によりレールに溶着されている。また軌道回路の境界などで絶縁が必要な場合には、継目板とレールの間に絶縁プレートを挟み、かつ、ボルトと継目板の間に絶縁チューブを挿入して軌道回路のための絶縁を確保している。

ロングレール編集

一方、定尺レール(工場出荷時の標準で25 m)を溶接して繋いだレールもある。このうち、全長200 m以上のレールをロングレールという。継ぎ目を減らすことで安定走行、騒音の低減、乗り心地の改善が図れる。2014年(平成26年)には新日鐵住金八幡製鉄所が長さ150 mのレールを出荷する体制を整えており、溶接する労力の低減やロングレール化した際の精度の向上を目指す動きも見られる[1]

ロングレールの中央部(不動区間)は枕木に固く締結し、枕木の周囲にバラストを十分に敷き詰めることで気温変化によるレール方向の伸縮は抑え込まれており、常にレール内部には応力軸力という)が発生している。しかし、端部(可動区間)は、温度変化により定尺レールよりも大きく伸縮するため、通常の突合せ継目ではなく、伸縮継目が用いられる。 枕木への締結力や枕木の周囲に敷き詰められたバラストの量、レール温度の管理などが十分でないと、猛暑時のレールがぐにゃりと曲がる事故(張り出し、座屈ともいう)や、極寒時の収縮によりレールが破断する事故が発生することもある。これらは前述のロングレールの不動区間が温度変化によりレール方向に伸縮する軸力に耐えきれなくなった時に発生する。

ロングレール区間では、レールの間に合成樹脂製の絶縁物を挟んで接着した接着絶縁レールを用いて軌道回路のための絶縁を確保している(これを用いない方法も開発されている)。

日本でのロングレールは東海道新幹線で本格的に採用され、その後在来線私鉄幹線にも導入が進んでいる。

なお、溶接後の処理が甘いか長期間使用していると、もともと継ぎ目だった部分からジョイント音が聞こえてくる。また、ロングレールの長さには限度があるため、継ぎ目を全くなくすことは出来ない。半径300 m未満のカーブ区間では、レール自身の弾性で反発が強くなるため使用には適さず、定尺レールが使用される。ロングレールを積載した貨車はこの程度のカーブを苦もなく通過するが、このことと安定した軌道を構成できることは全く別の問題である。  

区分編集

種類 摘要
ロングレール 200m以上
長尺レール 25m以上 200m未満
定尺レール 25m(30kgレールは20m)
(一部では、24mなどの寸詰まりなレールも存在する)
短尺レール 5m~25m(調整用レールに使われているほか、
ごく一部の地方のローカル線の古い規格のレールがそれである)

軽レールの長さは数メートルのものが多い。

製造編集

 
レールの刻印 製造情報が記載される

製造方法編集

高温で熱した鋼塊(オレンジ~黄くらいの色温度)を、ローラーを組み合わせて作られた圧延機に通して、圧延熱延)する。圧延機は段階に合わせて数台あり、そこを複数回往復させる複雑な行程を経て製造される。不純物は両端にたまりやすいので、日本では長く作ってから両端を切断する方法がとられている。また、製造時では、レールに対して各種試験[2]を行い、レールの品質の確保を行っている。

材質と性質編集

材料としては強度・耐磨耗性・耐食性などから高炭素鋼が用いられる。この材質は、刃物ほど硬くはないが、相当の靭性と耐接触疲労性があり、溶接が可能である条件を元に成分が決められている[3]腐蝕に対しては無塗装でも比較的良好な状態を保つ。海岸部では、錆の進行を抑える酸化皮膜が塩化物イオンにより破れるので、錆の進行が早くなる。地下水で湿潤なトンネルの中での錆の進行は意外に遅いが、廃線または線路の使用中止により、列車が上を通過しなくなった軌条は、錆の進行が進みやすくなる。これは列車の通過により巻き起こされる風の効果であることが判明している。十分な酸素の供給により不動態化するという説がある。また、車両からのオイルなどが表面を覆って、結果的に腐食を防いでいることもある[要出典]

損傷・摩耗と寿命編集

レールは、列車の通過により繰り返し荷重を受けており、車輪の走行により磨耗変形疲労損傷が起こり、経年により腐食電食が発生する。曲線部では車輪の横圧によりレール頭部の磨耗が多くなり、レールを締結する枕木の下の道床がコンクリート道床の場合では、レールの頭部表面に斑状摩耗が発生して車両に異常振動が発生することがある。また、湿度の高いトンネル海岸に近い路線では、レールの腐食が進むこともある。そのためレールには寿命があり、レールを取替えることでレールの性能を維持させる。50 Kgレールでの摩耗によるレールの取替えは、高さで約15 mm、断面積で約20 %を許容限度としている。普通は10年 - 25年を標準として取替えているが、急曲線かつ輸送密度の高い区間では1年足らずで取替える場合がある。また、通過トン数では、2 - 5億トン位がレール交換の目安とされている。

歴史編集

編集

車輪またはソリが発明されて、重量のある物体の輸送が行われるようになると、地面が柔らかい場所では次第に深い轍(わだち)が刻み込まれて、それに沿って輸送されるようになった。轍は、雨が降って泥沼化した場合に輸送の障害となり、また轍と異なる方向へ向きを変える時にも大きな障害となるため、これに対処するために地面側での工夫を必要とした。路面全体に石を敷き詰めて舗装した場合は道路へと発展するが、車輪の間隔が一定のものに統一されている場合には、車輪の下に当たる部分にだけ板や石を敷き詰めるという対処も行われた。これは軌条(レール)の原始的なものと見ることができる。

軌条の登場編集

原始的なレール(軌条)を使って動物や人に荷車をひかせる方法は紀元前から行われていたとされ、ドイツ・フライブルクにあるフライブルク大聖堂のステンドグラス(1350年製作)にもその光景は残されている。16世紀のイギリスには無数の馬車軌道(ワゴンウェイ、Wagonway)があったとされている[4]

その後レールは鉱山地帯における輸送に広く用いられ、次第に改良が進められていった。当初はが貴重品であったための木が用いられていたが、磨耗が激しく保守担当者の悩みの種となっていた。1738年、カンバーランドにおいて初めて鋳鉄を利用したレールが登場したが、これは木材の基盤の上に薄い帯状の鉄を貼り付けただけのもので[5]、しかもカーブなど磨耗しやすい場所にだけ用いられていた。1750年代頃になると、カーブだけではなく全ての区間で鋳鉄の板を取り付けることが一般化した。しかし鋳鉄は曲げに弱く、脱線事故も多発し続けた。

1767年、コールブルックデールの製鉄所技師、リチャード・レイノルズは、生産量が増加して余剰気味になってきた鋳鉄の使い道として、トロッコに使う目的のレールの生産を開始し、この時にレールにフランジが取り付けられた。レールの両側につばが取り付けられて、車輪の脱落を防ぐ仕組みとなっていた。しかしレールと車輪がきしみあってうまく走れず、また雨水や落ち葉などが溝に溜まるという問題があった。

1776年ベンジャミン・カーがこの欠点を解消するために片方のつばを取り除いた、L字形のレールを発明した。これにより車両の走行は格段に容易となった。

フランジ付きの車輪編集

1789年、土木技師のウィリアム・ジェソップは、車輪側にフランジを取り付けて、レールの上面は平らにする方式を発明した。魚腹形と呼ばれる下側が膨れたレールを使用している。これにより大幅に脱線の確率が減少し、安定的に鉄道輸送を行うことが可能になった。このためジェソップは「鉄道軌道の父」と呼ばれている。

依然として鋳鉄によって製造されていたレールの折損が問題となっており、1803年にニクソンが錬鉄のレールを発明したが、技術面、コスト面の問題から使用されなかった。

蒸気機関車の登場編集

それまでは鉱山における資材輸送用のトロッコに用いられていただけであったレールは、蒸気機関車が登場することによって近代的な交通機関の一翼を担うことになった。初期には、平らなレールの上を鉄製の車輪を持った機関車で牽引しようとすると車輪が空転すると考えられており、1812年ジョン・ブレンキンソップによってラックレールが考案されたが、実験の結果、よほどの急勾配でない限りラックは不要であることが判明した。

初めての実用的な蒸気機関車を利用した鉄道である、リバプール・アンド・マンチェスター鉄道は、1830年に鋳鉄製のレールを使用して開業した。このため磨耗によりレールは頻繁に交換する必要があった。

様々なレールの発明編集

1831年アメリカロバート・スティーブンスが平底の現在用いられているのと同じようなレールを発明した。これは犬釘を用いることで簡単に枕木に固定することができるという長所があり、世界中に普及して現在のレールの原形となった。

1837年、イギリスのジョセフ・ロックが双頭レールを発明した。これは上下が同じ形をしていて、ひっくり返すことでどちらも走行用に使用することができるというものであったが、軌道に固定する方法に難があり、実際にひっくり返して再利用した例は少なかった。このため、日本を含め、イギリスの技術的影響を受けた国で一時期使用されただけで、あまり普及しなかった。

鋼鉄製レール編集

1856年、イギリスのヘンリー・ベッセマー転炉に空気を吹き込むことで鉄から炭素分を除去して鋼鉄を生産する方法を発明した。同年シーメンス兄弟が平炉を発明し、さらに1864年フランスピエール・マルタンが改良して工業化に成功し、シーメンス・マルタン法による鋼鉄の生産が可能となった。1877年、イギリスのシドニー・トーマスベッセマー製鋼法を改良してリンを取り除くことができるようになった。これらの鋼鉄の生産に関する技術進歩を受けて、鋼鉄製のレールが一般に普及していった。

最初に鋼鉄製のレールが使用されたのは、イギリスのミッドランド鉄道ダービー地区で、ベッセマー製鋼法が発明されたすぐ翌年の1857年のことであった。それまで3ヶ月ごとに交換を必要としていた区間で、16年間交換なしに使用することができたとの記録がある。

現在のレールはスティーブンスの平底レールを鋼鉄を用いて作っているもので、材質や重量の増大などの点での進歩はあるが、基本的には19世紀に完成された技術で成り立っている。

日本での歴史編集

輸入編集

日本初の営業用鉄道の開業1872年明治5年)のことであるが、最初に使われたのは、イギリス DARLINGTON IRON 社の1870年製の双頭レールである。双頭レールとは、レール底部の平らな部分がなく、上下とも走行用に使用可能なI字形の形状をしていた。

日本では1927年昭和2年)頃まで、イギリスドイツアメリカ合衆国などから輸入したレールを使用していたが、国内生産品でまかなえるようになったことから、レールの輸入は原則として終焉を迎えた。

ただし路面電車用の特殊形状のレール(みぞレール護輪みぞレールなど)は、わずかではあるが後年まで輸入品が使用された。近年になって、保守の軽減性から溝レール類が再輸入され、富山ライトレール土佐電気鉄道熊本市交通局路面電車などで使用されている。

国産化編集

1901年(明治34年)の官営八幡製鐵所の開所に伴い、日本国内でもレールの圧延が開始された。1926年大正15/昭和元年)頃までは生産が追い付かず輸入品と併用されたが、この頃より生産体制が整い、レールの国産化が完了した。八幡製鐵所では、富士製鐵との合併により新日本製鐵(新日鉄)となりさらに住友金属工業(住金)との合併により新日鐵住金となった現在でも、八幡地区でレールの生産が行なわれている。

1952年(昭和27年)からは、富士製鐵釜石製鐵所でもレールの生産が開始された。1970年(昭和45年)の八幡製鐵と富士製鐵の合併の際、日本国内のレール生産が合併後の新日本製鐵1社のみとなり、独占禁止法に抵触する可能性が高くなったため、この釜石の設備を日本鋼管福山製鉄所に売却、移設を行った。日本鋼管は2003年平成15年)に川崎製鉄と合併し、JFEスチールと名前を変えたが、現在もレールの生産を行っている。

以後、現在にいたるまで、レールのほとんどが国産品でまかなわれている。また、日本で製造されたレールは海外にも輸出され、高い評価を得ている。

再利用編集

使用後のレールは、駅のプラットホームの屋根や跨線橋などの骨組み、線路際のなどの部材としてよく再利用され、鉄道黎明期の輸入レールの製造所銘も残っていることから、鉄道ファンなどの研究対象になっている(白金桟道橋など)。現在は、建築基準法などの改正や、レール自体がよりレールとしての使用に特化した素材組成へと変化しているため、建築資材には使われなくなった。また、古いレールを再利用したホームの屋根なども、高架化地下化バリアフリー対応などに伴う駅の改築で、徐々に姿を消しつつある。

現状は、鉄道関連イベントなどで、1 cm程度に薄くスライスしてメッキ等を施したものが、文鎮などの記念品として販売されることがあるほかは、屑鉄として回収され、製鋼原料として再利用されている。屑鉄としては高品位であるため、廃線跡に残されたレールが盗難に遭う事件も発生している。

規格編集

日本で使用するレール類は日本工業規格により、規格が定められている。レールに関する規格と継目板に関する規格は以下の通り。

番号 名称
JIS E 1001 鉄道-線路用語
JIS E 1101 普通レール及び分岐器用特殊レール
JIS E 1102 レール用継目板
JIS E 1103 軽レール
JIS E 1104 軽レール用継目板
JIS E 1105 路面電車用HTレール(廃止)
JIS E 1105 路面電車用HTレール継目板(廃止)
JIS E 1116 レール用異形継目板
JIS E 1120 熱処理レール
JIS E 1122 中継レール
JIS E 1123 端部熱処理レール
JIS E 1124 スラッククエンチ式熱処理レール(JIS E 1120 に統合)
JIS E 1125 接着絶縁レール
JIS E 1126 伸縮継目

製造メーカー編集

日本での普通レールの製造メーカー

日本での軽レールの製造メーカー

ほか

脚注編集

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  1. ^ 世界最長となる鉄道用-150mレールの製造・出荷体制を整備(新日鐵住金株式会社プレスリリース)2014/04/16(2014/04/20閲覧)
  2. ^ 引っ張り試験、荷重試験、破断面試験、曲げ試験、硬度試験、磨耗試験、腐食試験、顕微鏡試験を行う。
  3. ^ 成分は、C 0.60-0.75%、Si 0.10-0.30% Mn 0.7-1.1% P≦0.035% S≦0.040% 引っ張り強さ≧80Kgf/mm2 伸び≧8%である。
  4. ^ クリスティアン・ウォルマー著 安原和見・須川綾子訳『世界鉄道史』河出書房新社、2012年、p.28-29
  5. ^ 日本においても茅沼炭鉱軌道木道社藤枝焼津間軌道で木道が使用された

参考文献編集

  • 江崎 昭「輸送の安全から見た鉄道史」グランプリ出版 1998年
  • 久保田 博 「鉄道工学ハンドブック」グランプリ出版 1995年

関連文献編集

  • 西野保行、小西純一、淵上龍雄「日本における鉄道用レールの変遷 -残存する現物の確認による追跡-」、『日本土木史研究発表会論文集』第2巻、土木学会、1982年、 30-37頁、 doi:10.11532/journalhs1981.2.30

関連項目編集

軌条に関連する項目

軌条を含む用語

外部リンク編集