ロイス・レイン: Lois Lane)は、DCコミックスの出版するアメリカン・コミックススーパーマン』に登場する架空の人物。ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターによって創造され、1938年のアクション・コミックス誌第1号で初登場した[1]スーパーマンの妻であり、ジョナサン・サミュエル・ケントの母親。

ロイス・レイン
出版の情報
出版者DCコミックス
初登場Action Comics #1 (1938年6月)
クリエイタージェリー・シーゲル
ジョー・シャスター
作中の情報
種族人間
所属チームデイリー・プラネット
パートナークラーク・ケント
ジミー・オルセン
著名な別名スーパーウーマン
レッドトルネード英語版

概要 編集

ロイス・レインのキャラクターは、モデルのジョアン・カーター英語版、女優のグレンダ・ファレル英語版が演じた1930年代の映画『Torchy Blane』に登場する女性記者から影響を受け、名前は女優のローラ・レイン英語版から取られた[2]。また、実在した女性ジャーナリスト、ネリー・ブライの影響も受けているという[3]

アメリカン・コミックスのシルバー・エイジと呼ばれる1950年代から1970年代にはロイス・レインを主人公としたスピンオフ作品『Superman's Girl Friend, Lois Lane』が出版された。1970年代から1980年代にはスーパーマンの関連キャラクターを主役にしたオムニバス作品『スーパーマン・ファミリー』のシリーズに登場した。2015年からはロイス・レインを主人公にしたヤングアダルト小説が刊行されている[4]

長年にわたり様々な作家によってクラーク・ケントの同僚記者、スーパーマンの恋人や夫婦という関係性で描かれてきた。1960年代にマルチバースの概念が導入されると作品によって設定が異なり、「アース2」では1978年にスーパーマン(クラーク・ケント)と結婚[5]、「アース3」や『スーパーマン: レッド・サン』ではレックス・ルーサーと結婚している。

人物 編集

本名:ロイス・ジョアンヌ・レイン゠ケント (Lois Joanne Lane-Kent)

軍人である父サム・レイン英語版と母エラ・レインの間に生まれ、ルーシー・レインという名前の妹がいる。気の強い行動的な女性で、その行動力と運からデイリー・プラネット新聞社の記者の中でもスクープを手にする事が多い[6]

ある日、ロイスは飛行機事故に巻き込まれたところを偶然居合わせたクラークに助けられ、その時の様子を記事にして空を飛ぶ謎の人物を「スーパーマン」と名付ける[7]。クラークがメトロポリスに移住しスーパーマンとして活動を始めてからは、その活躍をペリー・ホワイトジミー・オルセンと共に追い続ける。

その一方で、デイリー・プラネット新聞社へ入社した「クラーク・ケント」と徐々に親しくなり付き合い始め、紆余曲折を経てクラークからのプロポーズを受け入れた[8]。その後、クラークからスーパーマンと同一人物であることを明かされる[9]。『デス・オブ・スーパーマン』でスーパーマンが死と復活を果たした後、ロイスとクラークは改めて交際を再開し『スーパーマン: ウェディング・アルバム』で結婚した。

ジョン・ケントを出産後はカリフォルニア州へ移住し、その時期を描いた『スーパーマン: ロイス&クラーク』では子育てをしながら匿名作家として生計を立てる[10]。ジョンの成長後、ケント一家はニューヨーク州ハミルトンへ移住し、ロイスはデイリー・プラネット新聞社へ記者として復帰する[11]

他のバージョン 編集

アース2 編集

「アース2」のロイス・レーンはピッツデールと呼ばれる町の農家の娘で[12]、アース2のスーパーマン(クラーク・ケント)と結婚し幸せな時を過ごしていた。しかし1985年の『クライシス・オン・インフィニット・アース』で、アンチモニターによってアース2が消滅してしまい、アース2のスーパーマンとともに、アース3のアレクサンダー・ルーサーに救われる[13][6]。2005年の『インフィニット・クライシス』で、アレクサンダー・ルーサーとスーパーボーイ・プライムによってアース2は復活するが、ロイスは死亡してしまう。その死は、アース2のスーパーマンがアース1のスーパーマンに襲い掛かるという事態にまで発展する。2009年の『ブラッケストナイト』ではブラックランタン隊として復活する。アース2のスーパーマンとともにスーパーボーイに襲い掛かるという活躍を見せる[14]

スーパーウーマン 編集

1943年に初登場し、スーパーマンの血を輸血された事でスーパーマン(クラーク・ケント)と同じ能力を得ている。スーパーマンはロイス・レーンの活躍を陰ながら支えていくが、能力は物語の進行とともに次第に消えていった[15][16]。この一件は、ロイスがスーパーマンの正体を知るきっかけの1つとなっている。

善悪が逆転した並行世界「アース3」では、アース1のワンダーウーマンやアース2のスーパーウーマンに対応する形で登場する[17]。このスーパーウーマンも名前がロイス・レーンであるものの、ヴィランという立場となっている[17]。魔法の金色の投げ縄を使用し、相手を束縛することができるほか、真実を話させる自白剤的な役割も持ち[17][18]、さらに彼女が思い描く形に投げ縄を変化させることができる[17]

レッドトルネード 編集

DCユニバースが52個の宇宙に分裂した「アース2」でも、ダークサイドの部下によりやはり死亡してしまう[19]。死後、記憶と人格を移植されたレッドトルネードとして起動する。風を操る能力があり、弟のような存在の二代目スーパーマン(ヴァル゠ゾッド)に飛行方法などを教える[20]

書誌情報 編集

漫画 編集

  • Superman's Girlfriend Lois Lane Archives Vol.1
2012年1月3日発売[21]ISBN 978-1401233150
  • Lois Lane A Celebration of 75 Years
2013年11月27日発売[22]ISBN 978-1401247034

小説 編集

グウェンダ・ボンドによるロイス・レインのノベルシリーズ。

  • Fallout (Lois Lane)[23]
ハードカバー - ISBN 978-1630790059
ソフトカバー - ISBN 978-1630790066
  • Double Down (Lois Lane)[24]
ハードカバー - ISBN 978-1630790387
ソフトカバー - ISBN 978-1630790394
  • Triple Threat (Lois Lane)[25]
ハードカバー - ISBN 978-1630790820
ソフトカバー - ISBN 978-1630790844

スピンオフ 編集

DCコミックス・ボムシェルズ
17歳の新聞の立ち売り「エロイザ・"ロイス"・レイン」として登場している。
スーパーマン・ファミリー・アドベンチャーズ
アート・バルタザールとフランコによる絵本風にアレンジしたシリーズ。

映画 編集

スーパーマン (1940年代のアニメ映画) (1941年-1943年)
声 - ジョアン・アレクサンダー英語版
スーパーマン (1948年の映画)英語版 (1948年)
演 - ノエル・ニール英語版
アトムマン vs スーパーマン英語版 (1950年)
演 - ノエル・ニール英語版
スーパーマン (1978年の映画) (1978年)
演 - マーゴット・キダー
スーパーマンII/冒険篇 (1981年)
演 - マーゴット・キダー
スーパーマンIII/電子の要塞 (1983年)
演 - マーゴット・キダー
スーパーマンIV/最強の敵 (1987年)
演 - マーゴット・キダー
スーパーマン リターンズ (2006年)
演 - ケイト・ボスワース、日本語吹き替え - 安藤麻吹

DCEU 編集

世界観が同じDCエクステンデッド・ユニバースでは、一貫して、エイミー・アダムスが演じ、日本語吹き替えを中村千絵が担当している。

マン・オブ・スティール (2013年)
バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生 (2016年)
ジャスティス・リーグ (2017年)
ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年)

DCU 編集

新たに製作されたDCユニバースでは、一貫して、レイチェル・ブロズナハンが演じている。

Superman: Legacy (2025年)

ドラマ 編集

スーパーマン (テレビドラマ) (1952年-1958年)
演 - フィリス・コーツ英語版/ノエル・ニール英語版
LOIS&CLARK/新スーパーマン (1993年-1997年)
演 - テリー・ハッチャー、日本語吹き替え - 日野由利加
ヤング・スーパーマン (2001年-2011年)
演 - エリカ・デュランス、日本語吹き替え - 園崎未恵
SUPERGIRL/スーパーガール (2015年-現在)
演 - ビッツィー・トゥロック

アニメ 編集

テレビアニメ 編集

スーパーマン新冒険 (1966年-1970年)
声 - ジョアン・アレクサンダー英語版
スーパーマン (アニメ) (1996年-2000年)
声 - ダナ・デラニー、日本語吹き替え - 佐藤ゆうこ
ジャスティス・リーグ (2001年-2004年)
声 - ダナ・デラニー、日本語吹き替え - 佐藤ゆうこ
ジャスティス・リーグ・アンリミテッド (2004年-2006年)
声 - ダナ・デラニー
ザ・バットマン (2004年-2008年)
声 - ダナ・デラニー、日本語吹き替え - 佐藤ゆうこ
バットマン:ブレイブ&ボールド (2008年-2011年)
声 - シリーナ・アーウィン英語版
Tales of Metropolis (2013年)
声 - マリア・バンフォード
短編アニメのオムニバス『DC Nation Shorts』のエピソード。現在は公式サイトで無料公開されている[26]
  1. 『Tales of Metropolis - "Lois" (full)』 - YouTube
  2. 『Tales of Metropolis - "Bizarro" (full)』 - YouTube
DCスーパーヒーロー・ガールズ (2015年-現在)
声 - アレクシス・G・ザル英語版
ジャスティス・リーグ・アクション (2016年-2018年)
声 - タラ・ストロング

長編アニメ 編集

スーパーマン:ブレイニアック・アタック (2006年)
声 - ダナ・デラニー
スーパーマン:ドゥームズデイ (2007年)
声 - アン・ヘッシュ
オールスター・スーパーマン (2011年)
声 - クリスティーナ・ヘンドリックス
ジャスティス・リーグ:ドゥーム (2012年)
声 - グレイ・デリスル
スーパーマン VS. エリート (2012年)
声 - ポーリー・ペレット
スーパーマン:アンバウンド (2013年)
声 - スタナ・カティック
ジャスティス・リーグ:アトランティスの進撃 (2015年)
声 - ジュリエット・ランドー
デス・オブ・スーパーマン (アニメ) (2018年)
声 - レベッカ・ローミン
レイン・オブ・ザ・スーパーメン (アニメ) (2019年)
声 - レベッカ・ローミン

脚注 編集

  1. ^ ロイス・レイン キャラクター”. 2017年7月31日閲覧。
  2. ^ The True Inspiration for Lois Lane”. Joanne Siegel. 2015年7月19日閲覧。
  3. ^ Farghaly, Nadine (2013). Examining Lois Lane: The Scoop on Superman's Sweetheart. p. 44. ISBN 978-0810892361 
  4. ^ Switch Press - Gwenda Bond”. 2017年9月4日閲覧。
  5. ^ Action Comics #484
  6. ^ a b Justice League of America #73
  7. ^ The Man of Steel #1
  8. ^ Superman vol.2 #50
  9. ^ Action Comics #662
  10. ^ Action Comics #978
  11. ^ Superman #965
  12. ^ Superman's Girl Friend, Lois Lane#13 (1959年11月)
  13. ^ Superman Takes a Wife!
  14. ^ Blackest night:Black lantern corps vol.1
  15. ^ Issue #156
  16. ^ Issue #207
  17. ^ a b c d Justice League of America"#29
  18. ^ Forever Evil #7
  19. ^ Worlds Finest v3, 32
  20. ^ "The Dark Age, Part3" Earth 2 #19
  21. ^ SUPERMAN'S GIRL FRIEND LOIS LANE ARCHIVES VOL.1”. 2017年7月31日閲覧。
  22. ^ LOIS LANE: A CELEBRATION OF 75 YEARS”. 2017年7月31日閲覧。
  23. ^ Fallout by Gwenda Bond”. 2017年7月31日閲覧。
  24. ^ Double Down by Gwenda Bond”. 2017年7月31日閲覧。
  25. ^ Triple Threat by Gwenda Bond”. 2017年7月31日閲覧。
  26. ^ DC Nation - Tales of Metropolis - "Lois"”. 2017年9月4日閲覧。

外部リンク 編集