ロケットランチャー

ロケットランチャー: rocket launcher)は、ロケット弾を発射する兵器の総称である。ロケット弾の収納・保持のために用いる発射筒と、これに射角・方位角を与える機能を付与した発射機に分けられる[1]

ロケット発射筒編集

発射筒は、発射直前までロケット弾を保持することになるため、特に無誘導のロケット弾においては弾着精度に影響を及ぼす重要な構成品である[1]。また、ロケットモーターの火炎に炙られることから、耐熱性を考慮した設計・製造が求められる[1]

ロケット弾は、構造上、砲の薬室砲弾側に取り付けられたような状態となっていることから、ランチャー側の構造を簡略化し、重量も軽減できるという特徴がある[2]。また発射時の反動も軽いため、大砲のように強固・大重量の砲架を必要とすることもない[2]

例えばハイドラ70ロケット弾ヘリコプターに搭載するためのM261ランチャーでは、アルミニウム合金を用いて軽量化が図られている[1]。また個人携帯用のパンツァーファウスト3では、繊維強化プラスチック(FRP)を導入して軽量化を図るとともに、後方にカウンターマスを放出するデイビス式を採用して、発射時の反動の相殺も図っている[1]

ロケット発射機編集

大砲に準じて運用される場合はロケット砲と称される[2]。命中精度の低さを補うため、多連装ロケット砲とされる傾向が強い[3]。またロケット弾発射時に生じる白煙などで位置が暴露される危険を避けるため、ほとんどが車載化されているが[3]、これも、路外機動性を重視した装軌式と、路上機動性を重視した装輪式とがある[1]

従来、大型のロケット弾を発射する場合は発射直後の揺れなどを抑えるために発射機が大型化する傾向があったが、アクチュエータなどの高性能化・小型化に伴い、揺れなどを迅速に制御することができ、ロケット弾を高い発射速度で発射できるようになってきている[1]

従来は、ロケット弾は弾頭とロケットモータとを別々に収納し、運用者が発射前に組み立てて発射機に装填する方法をとっていた[4]。これに対し、近年では、保管時に使用する収納容器が発射機の機能の一部を兼ねるキャニスタの採用が広がっている[4]。キャニスタには、発射機への搭載の容易性、即応性の向上、点検の簡便化、耐環境性の向上、ロケット弾発射時のロケットモータ火炎の遮断など、メリットが多い[4]。また発射機への装填作業そのものも、ロケット弾の大型化に伴って機械化が進み、装填速度の向上が図られている[1]

脚注編集

出典編集

  1. ^ a b c d e f g h 弾道学研究会 2012, pp. 704–708.
  2. ^ a b c ワールドフォトプレス 1986, pp. 156–161.
  3. ^ a b ワールドフォトプレス 1986, pp. 170–172.
  4. ^ a b c 弾道学研究会 2012, pp. 702–703.

参考文献編集

  • 弾道学研究会 編『火器弾薬技術ハンドブック』防衛技術協会、2012年。 NCID BB10661098 
  • ワールドフォトプレス 編『世界の重火器』光文社〈ミリタリー・イラストレイテッド〉、1986年。ISBN 978-4334703738 

関連項目編集