ロックイン効果
ロックイン効果(ロックインこうか)とは、経済学用語のひとつである。例えば、消費者があるメーカーの商品を購入した場合に、商品を買い換える場合にも引き続いて同じメーカーの商品を購入するようになり顧客との関係が維持される効果をいう。このようになる要因としては、買い換えるときのメーカーを変更したならば、そのときに必要となる費用(スイッチングコスト)が多くかかってしまうことが存在しており、コスト削減のために同じメーカーの商品を買い続けるというわけである。(技術的ロックイン)
このような(技術的)ロックイン効果が多く見られた商品としてはコンピュータ関連商品が典型的である。 コンピュータの場合はメーカーや製品が異なることで操作方法も異なるということから、違うメーカーに買い換えれば異なった操作をマスターするまでに時間や費用を要することになるため、このようなコストをかけないためにも引き続いて同様の商品に買い換えてきたわけである。
制度的ロックインの形成編集
大規模インフラのプロジェクトにおける意思決定に関しても「ロックイン」は生じ、例えば経路依存性理論の結論のように、たとえより良い選択肢が存在していても次善のポリシーが適用させるときに生じる[1]。 このとき「ロックイン」は、「意志決定者の約束が無駄を生じる行動の方向にエスカレートすること(「技術的ロックイン」と対比される「制度的ロックイン」)」の意味で用いられる。この約束のエスカレートとは、義理を断ることができないことについての心理的な対処のスタイルを言う[2]。
設備投資が巨額にのぼるメガプロジェクトにおいて収益性の悪化から撤退を検討する際に、将来の収益性とは関連のないはずの埋没費用についてもその額が大きいと、心理的に撤退を意思決定しにくくなり、関連取引を継続させてしまうことがある。
関連項目編集
脚注編集
発展文献編集
- 吉本佳生『出社が楽しい経済学 2』日本放送出版協会、2009年、9頁。ISBN 4140813954。