ローエングリン (競走馬)

競走馬

ローエングリン英語: Lohengrin中国語: 天鵝騎士)は、日本競走馬種牡馬

ローエングリン
Lohengrin(horse) 20061029R2.jpg
2006年10月29日 東京競馬場
現役期間 2001 - 2007年
欧字表記 Lohengrin
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 1999年6月8日(21歳)
抹消日 2007年11月21日
Singspiel
カーリング
母の父 Garde Royale
生国 日本の旗 日本北海道千歳市
生産 社台ファーム
馬主 (有)社台レースホース
調教師 伊藤正徳美浦
競走成績
生涯成績 48戦10勝
内訳
中央競馬:45戦10勝
日本国外:3戦0勝
獲得賞金 5億7423万6000円(中央競馬)
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馬名の由来は、リヒャルト・ワーグナー作のオペラローエングリン』またはその主人公である騎士ローエングリンで、父馬・シングスピールの名が18 - 19世紀にかけてドイツ流行した庶民向けオペラ「ジングシュピール」を意味することからの連想である。

戦歴編集

競走馬時代編集

2歳 - 3歳編集

2001年10月14日東京競馬新馬戦で初出走、2戦目で勝ち上がる。翌2002年春のクラシックでは、皐月賞東京優駿はともに抽選で除外となり出走できなかった。しかし、宝塚記念に3歳馬、重賞未勝利ながら出走し3着に好走した。これは宝塚記念における3歳馬の最高着順でもある。クラシック最終戦の菊花賞[1]では果敢に逃げを打ったが、ハイペースでの逃げが祟って16着と大敗した。菊花賞以降は主にマイルから中距離路線で走ることになる。

4歳編集

鞍上に後藤浩輝を迎え、2月の東京新聞杯は2着となるが、続く中山記念マイラーズカップを連勝。そして春のマイル王決定戦の安田記念では1番人気に支持される。2番手で折り合うが、ゴール寸前でアグネスデジタルに交わされ3着と敗退。夏場は同馬主のテレグノシスとともにヨーロッパに遠征し、ジャック・ル・マロワ賞は10着、ムーラン・ド・ロンシャン賞は2着という成績を残した。帰国後は天皇賞(秋)に出走し、2番人気に支持される。しかしレースはゴーステディとの激しい逃げ争い。結果は自殺的なハイペースが祟り13着と大敗。人気馬らしからぬ騎乗に関係者・ファンからも鞍上の後藤への批判も強かったと言われている。この件が響き、暫く後藤への騎乗は遠退くこととなる。天皇賞後は香港マイル3着と成績を残した。

5歳 - 6歳編集

5歳時は安田記念で再び1番人気に支持されるが、5着と敗退。人気になるが、成績が振るわず、ジャパンカップダート平安ステークスとダート戦を試すが振るわず。6歳時はマイラーズカップで2勝目を上げたが、その後は二桁着順を繰り返していた。

7歳編集

2006年関屋記念では出遅れのため後方からの競馬となったものの4着に入線。続いての京成杯オータムハンデキャップでも同様に4着に追い込むなど、後方からのレースを行うようになった。そして毎日王冠ではGI馬6頭という強豪ぞろいのメンバーでありながら追い込んで3着に入り、かつての逃げ一辺倒から脚質を広げた。

8歳編集

2007年2月25日に行われた中山記念では、かつてのような逃げのレースを行い、見事に勝利した。鞍上の後藤はインタビューで師の伊藤正徳へ恩返しができたと、涙を流した。次のマイラーズカップでは、先行するも直線で伸びを欠き12着に敗れた。第48回宝塚記念では、調子があまり良くないなか出走。スタートからハイペースで逃げるものの、3コーナーで失速し18着に敗れた。休養後の第41回スプリンターズステークスでは、好スタートを決め、好位につけると最後までしぶとく伸び、6着入った。しかし続くスワンステークスでは13着に敗れた。なお、第1希望で香港マイル、第2希望で香港カップに予備登録を行っていたが回避し、第24回マイルチャンピオンシップに出走登録を行い、レース前にこのレースが引退レースとなり、2008年より社台スタリオンステーション種牡馬入りすることが明らかになった。そして迎えた引退レースは16番人気で出走するも、大差で最下位となる18着に敗れ、衰えて引退することを見せ付けるような結果でターフを去ることになった。レース後の11月21日付で競走馬登録を抹消された。

GI競走では、2002年の宝塚記念3着や、2003年のムーラン・ド・ロンシャン賞でのネブラスカトルネードの2着などの好走経験はあるものの優勝は出来なかった。晩年は重賞にも顔を出したが、大敗が続き上積みが厳しい状況で走っていた。

種牡馬時代編集

引退後は社台スタリオンステーション種牡馬となり、2010年から2018年まではレックススタッドで繋養されていた。2012年朝日杯フューチュリティステークスロゴタイプが優勝し産駒の重賞初制覇。またローエングリン自身の現役時代も含めこれがG1初勝利となった。同馬は後に皐月賞も制覇し、さらに自身が4回出走し、うち2回は1番人気に支持されながら勝利を挙げられなかった安田記念も制覇した。

2018年9月、社台ブルーグラスファームへ移動し同地で余生を送ることになった。

競走成績編集

年月日 競馬場 競走名


オッズ
(人気)
着順 騎手 斤量
kg
距離馬場 タイム
上がり3F
着差 勝ち馬/(2着馬)
2001. 10. 14 東京 2歳新馬 10 5 5 1.80(1人) 2着 福永祐一 53 芝1800m(良) 1.50.4 (34.8) 0.0 コスモパトリック
10. 28 東京 2歳新馬 9 7 7 1.70(1人) 1着 武豊 53 芝2000m(稍) 2.02.6 (36.8) 1.0 (マルターズワールド)
11. 17 東京 東京スポーツ杯2歳S GIII 18 8 17 2.60(1人) 13着 武豊 55 芝1800m(良) 1.49.5 (37.7) 1.3 アドマイヤマックス
2002. 2. 17 東京 3歳500万下 16 6 11 1.50(1人) 1着 武豊 55 ダ1600m(良) 1.38.3 (37.2) -0.6 (ボーディングパス)
3. 17 中山 スプリングS GII 16 5 9 9.00(2人) 6着 横山典弘 56 芝1800m(良) 1.47.6 (36.2) 0.7 タニノギムレット
4. 13 阪神 若草S OP 12 7 9 2.60(1人) 1着 横山典弘 55 芝2200m(良) 2.13.2 (36.2) -0.4 (マイネルアンブル)
5. 26 東京 駒草賞 OP 12 3 3 1.80(1人) 1着 横山典弘 56 芝2000m(良) 2.00.3 (35.4) -0.3 (トウカイアロー)
6. 23 阪神 宝塚記念 GI 12 1 1 8.90(3人) 3着 横山典弘 53 芝2200m(良) 2.13.1 (35.4) 0.2 ダンツフレーム
9. 22 阪神 神戸新聞杯 GII 16 8 16 6.70(3人) 14着 武幸四郎 56 芝2000m(良) 2.01.4 (37.8) 2.3 シンボリクリスエス
10. 20 京都 菊花賞 GI 18 6 12 9.10(4人) 16着 岡部幸雄 57 芝3000m(良) 3.13.8 (43.3) 7.9 ヒシミラクル
11. 24 中山 キャピタルS OP 13 5 6 4.20(2人) 1着 岡部幸雄 55 芝1600m(良) 1.33.5 (35.3) -0.2 (サードニックス)
12. 14 中山 ディセンバーS OP 10 3 3 1.50(1人) 1着 岡部幸雄 56 芝1800m(良) 1.46.8 (35.0) -0.3 プレジオ
2003. 2. 2 中山 東京新聞杯 GIII 14 6 9 2.10(1人) 2着 後藤浩輝 57 芝1600m(良) 1.32.3 (35.2) 0.0 ボールドブライアン
3. 2 中山 中山記念 GII 12 2 2 1.80(1人) 1着 後藤浩輝 57 芝1800m(重) 1.47.6 (36.3) -0.3 バランスオブゲーム
4 19 阪神 マイラーズC GII 13 6 8 2.00(1人) 1着 後藤浩輝 58 芝1600m(良) R1.31.9 (35.1) -0.2 キスミーテンダー
6. 8 東京 安田記念 GI 18 4 8 3.20(1人) 3着 後藤浩輝 58 芝1600m(良) 1.32.2 (34.3) 0.1 アグネスデジタル
8. 17 ドーヴィル ジャック・ル・マロワ賞 GI 12 - 7 - 10着 後藤浩輝 59 芝1600m(稍) 1.41.0(計不) 2.7 Six Perfections
9. 7 ロンシャン ムーラン・ド・ロンシャン賞 GI 14 - 5 - 2着 後藤浩輝 58 芝1600m(稍) 1.38.8(計不) 0.1 Nebraska Tornado
11. 2 東京 天皇賞(秋) GI 18 3 5 5.60(2人) 13着 後藤浩輝 58 芝2000m(良) 1.59.7 (38.8) 1.7 シンボリクリスエス
12. 12 沙田 香港マイル GI 14 - 1 - 3着 K.デザーモ 57 芝1600m(良) 1.34.5(計不) 0.2 Lucky Owners
2004. 2. 29 中山 中山記念 GII 14 8 15 3.50(2人) 3着 岡部幸雄 58 芝1800m(良) 1.45.3 (35.7) 0.4 サクラプレジデント
4. 17 阪神 マイラーズC GII 9 6 6 1.40(1人) 2着 岡部幸雄 58 芝1600m(良) 1.33.0 (34.5) 0.1 マイソールサウンド
6. 6 東京 安田記念 GI 18 4 7 4.10(1人) 5着 横山典弘 58 芝1600m(稍) 1.33.0 (35.2) 0.4 ツルマルボーイ
6. 27 阪神 宝塚記念 GI 15 3 4 12.10(7人) 10着 横山典弘 58 芝2200m(良) 2.12.7 (37.4) 1.6 タップダンスシチー
8. 22 札幌 札幌記念 GII 11 8 11 4.40(3人) 3着 横山典弘 57 芝2000m(良) 2.00.8 (36.5) 0.4 ファインモーション
10. 10 東京 毎日王冠 GII 11 8 10 5.20(3人) 2着 横山典弘 57 芝1800m(稍) 1.46.1 (34.5) 0.1 テレグノシス
10. 31 東京 天皇賞(秋) GI 18 5 10 10.70(6人) 5着 横山典弘 58 芝2000m(稍) 1.59.5 (35.7) 0.6 ゼンノロブロイ
11. 28 東京 ジャパンCダート GI 16 8 16 8.90(3人) 13着 横山典弘 57 ダ2100m(良) 2.15.4 (44.3) 6.7 タイムパラドックス
2005. 1. 23 京都 平安S GIII 16 1 2 6.40(3人) 14着 安藤勝己 58 ダ1800m(良) 1.52.1 (38.4) 1.8 ヒシアトラス
4. 16 阪神 マイラーズC GII 16 5 9 6.00(3人) 1着 横山典弘 57 芝1600m(良) 1.33.5 (34.2) 0.0 プリサイスマシーン
6. 5 東京 安田記念 GI 18 3 6 17.30(9人) 17着 後藤浩輝 58 芝1600m(良) 1.34.1 (36.7) 1.8 アサクサデンエン
11. 20 京都 マイルCS GI 17 2 4 51.20(9人) 17着 横山典弘 57 芝1600m(良) 1.34.3 (37.2) 2.2 ハットトリック
12. 24 中京 CBC賞 GII 14 8 16 14.40(6人) 14着 武幸四郎 58 芝1200m(良) 1.09.8 (36.0) 1.1 シンボリグラン
2006. 2. 26 阪神 阪急杯 GIII 15 1 1 11.70(5人) 5着 四位洋文 58 芝1400m(不) 1.23.2 (36.9) 0.7 ブルーショットガン
4. 15 阪神 マイラーズC GII 11 8 10 13.20(5人) 8着 四位洋文 58 芝1600m(稍) 1.37.2 (35.9) 1.0 ダイワメジャー
5. 13 東京 京王杯SC GII 14 4 5 33.70(9人) 7着 四位洋文 57 芝1400m(稍) 1.22.6 (35.1) 0.8 オレハマッテルゼ
6. 4 東京 安田記念 GI 18 5 9 132.5(17人) 18着 四位洋文 58 芝1600m(良) 1.35.5 (37.3) 2.9 ブリッシュラック
8. 6 新潟 関屋記念 GIII 18 4 8 35.2(12人) 4着 田中勝春 59 芝1600m(良) 1.32.9 (32.9) 0.4 カンファーベスト
9. 10 中山 京成杯AH GIII 15 1 1 7.70(3人) 4着 田中勝春 58 芝1600m(良) 1.32.3 (34.3) 0.3 ステキシンスケクン
10. 8 東京 毎日王冠 GII 16 7 13 16.70(9人) 3着 田中勝春 57 芝1800m(良) 1.45.7 (34.4) 0.2 ダイワメジャー
10. 29 東京 天皇賞(秋) GI 16 3 5 34.5(11人) 10着 柴田善臣 58 芝2000m(良) 2.00.0 (36.0) 1.2 ダイワメジャー
12. 9 阪神 鳴尾記念 GIII 17 6 12 14.40(6人) 4着 田中勝春 59 芝1800m(良) 1.47.6 (34.2) 0.7 サクラメガワンダー
2007. 2. 25 中山 中山記念 GII 16 1 2 17.00(6人) 1着 後藤浩輝 58 芝1800m(良) 1.47.2 (36.0) -0.2 エアシェイディ
4. 14 阪神 マイラーズC GII 15 3 5 10.60(7人) 12着 後藤浩輝 58 芝1600m(良) 1.33.8 (34.9) 1.6 コンゴウリキシオー
6. 24 阪神 宝塚記念 GI 18 8 18 119.4(15人) 18着 後藤浩輝 58 芝2200m(稍) 2.20.6 (45.1) 8.2 アドマイヤムーン
9. 30 中山 スプリンターズS GI 16 6 12 49.6(13人) 6着 四位洋文 57 芝1200m(不) 1.09.8 (36.2) 0.4 アストンマーチャン
10. 27 京都 スワンS GII 18 8 18 54.4(15人) 13着 武幸四郎 58 芝1400m(稍) 1.22.1 (35.2) 1.4 スーパーホーネット
11. 18 京都 マイルCS GI 18 3 5 79.8(16人) 18着 武幸四郎 57 芝1600m(良) 1.38.0 (39.7) 5.3 ダイワメジャー
  • タイム欄のRはレコード勝ちを示す。
  • フランス遠征時の公式な馬場状態は2戦とも「Good to Soft」。
  • 香港遠征時の公式な負担重量は126ポンド(約57.2kg)で、馬場状態は「Good to Firm」。

種牡馬成績編集

主な産駒編集

太字はGI級競走

特徴編集

スタートが非常に上手なことで有名。2007年の中山記念では、スタート直後の1完歩で既に他馬を1馬身以上離すほどの絶妙なスタートを決め、そのまま逃げ切り勝ちを収めている。

同名の競走馬編集

過去に遡ると、1965年生まれの同名の競走馬がいる。そのローエングリンは父タリアートス、母トサモアーという血統で1968年金鯱賞中京ダート1800m)を勝つなど中央競馬で通算5勝。後に地方競馬に転じてオーナーズチエスという馬名になり、地方競馬でも1970年の東海菊花賞を含めて地方競馬で通算8勝。

2003年の天皇賞・秋の暴走について編集

ムーラン・ド・ロンシャン賞2着という輝かしい海外実績を引き下げての凱旋レースとなった天皇賞(秋)ではシンボリクリスエスに続く2番人気に推された。レースでは後藤騎手を背にいつも通りに先行策を取り、先頭でレースを引っ張ったが2コーナーで外から吉田豊騎手騎乗のゴーステディが競りかけるように並んできた。どちらかが退くかと思われたが両者まったく譲らずどんどん後続を突き放し、1000メートル通過ラップは56秒9という驚異の数字を出した(1998年の同レースにてサイレンススズカが出した数字は57秒4)。結局両者は競り合った結果、ゴーステディは4コーナーで脱落し(最下位18着)、ローエングリンも直線半ばで力尽きた。レース後、吉田騎手は「逃げたのは調教師の指示だった。」と説明したが後藤騎手は「調教師の指示なら仕方がないが競りかけてローエングリンを潰しにきたような乗り方だった。」との見解を示す。後藤騎手は前走の安田記念で、1番人気でローエングリンに騎乗して、吉田騎手騎乗の16番人気のミデオンビットにハナを譲り3着に敗れている、また両者は以前から険悪な仲[2]だったため、競り合ってもお互いに退くわけにいかず、結果としてこの暴走となってしまったのではないかと言われた。

血統表編集

ローエングリン血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サドラーズウェルズ系
[§ 2]

Singspiel
1992 鹿毛
父の父
In the Wings
1986 鹿毛
Sadler's Wells Northern Dancer
Fairy Bridge
High Hawk Shirley Heights
Sunbittern
父の母
Glorious Song
1976 鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Ballade Herbager
Miss Swapsco

*カーリング
1992 鹿毛
Garde Royale
1980 青鹿毛
Mill Reef Never Bend
Milan Mill
Royal Way Sicambre
Right Away
母の母
Corraleja
1982 鹿毛
Carvin * Marino
Coraline
Darling Dale Tyrant
Treat
母系(F-No.) 4号族(FN:4-p) [§ 3]
5代内の近親交配 Mill Reef 5×3=15.63% [§ 4]
出典
  1. ^ JBISサーチ ローエングリン 5代血統表2017年9月5日閲覧。
  2. ^ netkeiba.com ローエングリン 5代血統表2017年9月5日閲覧。
  3. ^ JBISサーチ ローエングリン 5代血統表2017年9月5日閲覧。
  4. ^ netkeiba.com ローエングリン 5代血統表2017年9月5日閲覧。


半弟に2014年の京都金杯を制したエキストラエンド(父ディープインパクト)がいる。

脚注編集

  1. ^ 1番人気のノーリーズンがスタート直後に落馬競走中止となったことで知られるレース。
  2. ^ 1999年に後藤が吉田を木刀で殴打し、4カ月の騎乗停止処分を受ける不祥事が発生している。

外部リンク編集