ロース
食肉の肩から腰にかけての背肉の部分
語源
編集日本語の「ロース」は英語の roast(ロースト)から転訛した語であり、「ローストに適した肉の部位」という意味を表している[2][4]。英語では loin(ロイン)や sirloin(サーロイン)がロースに相当するとされることがあるが[5]、loin は「肋骨と骨盤の間の、背骨の両側の肉」[6]つまり「腰肉」[7]を指し、さらに sirloin は loin の一部分を指す言葉であり[8]、肩から腰までを指す日本語のロースとは必ずしも一致しない。
種類
編集牛肉
編集- 牛かたロース
- かたロースは、背骨の両側にそって前後についているロースの最も頭に近い部分とそれに接するばら肉に近い部分などの周辺の筋肉を含む。
- 人を乗せる鞍を牛や馬に乗せたときに、その下の部分の肉であるためクラシタ(鞍下)、鞍下肉とも呼ばれる[9]。
- 牛リブロース
- リブロースは、かたロースに続くロースとその周辺の筋肉を含む。最も厚みのあるロース部分で、霜降りになりやすい部位。きめが細かく肉質も良い。
なお、肋骨が付いた状態で切り分けられた肉はチョップという。
日本の食肉小売品質基準において定められている牛肉の部位表示では、牛かたロースと牛リブロースは異なる部位である[1]。小売店で販売する際には、牛かたロース、牛リブロース、サーロイン、牛ヒレの混合肉を「牛ロース」と表示できる[1]。
豚肉
編集- かたロース
- アメリカ合衆国の部位ではバット(butt)に相当する[10]。
- 脂肪は粗い網状に混ざっており、濃厚でコクのある味の部位[10]。
- ロース
- アメリカ合衆国、イギリス、オセアニアの部位でローイン(loin)に相当する[10]。
- 豚ヒレにならぶ最上級の部位であり、肉質はきめ細かく、適度に脂肪が乗っている[10]。
羊肉
編集ロース表記問題
編集日本の焼肉業界では第二次世界大戦後から定着してきた慣行として、もも(腿)やランプなどの赤身肉を「ロース」、リブロースやサーロインなど本来ロースに当たる部位を「上ロース」と表示していたが、2010年10月7日に消費者庁はこれが景品表示法違反であるとして全国焼肉協会、日本フードサービス協会等の業界全体に対し表記見直しを求めた[12]。
出典
編集- ^ a b c “食肉小売品質基準(牛肉及び豚肉)” (PDF). 全国食肉事業協同組合連合会 (2005年3月1日). 2024年1月5日閲覧。
- ^ a b "ロース". 大辞林. 三省堂. 2013年2月17日閲覧。
- ^ 旭屋書店・料理と食シリーズ『とんかつ・コロッケ・揚げ物料理』102頁
- ^ "ロース". デジタル大辞泉. 小学館. 2013年2月14日閲覧。
- ^ "ロース". 新和英中辞典. 研究社. 2013年2月14日閲覧。
- ^ "loin". The Random House Dictionary (英語). Random House. 2013年2月14日閲覧。
- ^ "loin". 新英和中辞典. 研究社. 2013年2月14日閲覧。
- ^ "sirloin". The Random House Dictionary (英語). Random House. 2013年2月14日閲覧。
- ^ “牛肩ロースの選び方と栄養素|買い物で役立つ基本の「き」”. クラシル (2023年3月30日). 2024年1月5日閲覧。
- ^ a b c d “豚の部位図鑑” (PDF). 農林水産省. 2023年1月5日閲覧。
- ^ a b c “羊肉の基礎知識”. 日本ハム. 2023年1月5日閲覧。
- ^ “焼肉業者における焼肉メニュー表示の適正化について”. 消費者庁 (2010年10月7日). 2022年3月23日閲覧。