ローレライ=ラインの調べ
『ローレライ=ラインの調べ』(ローレライ=ラインのしらべ、ドイツ語: Loreley-Rhein-Klänge)作品154は、ヨハン・シュトラウス1世が作曲したウィンナ・ワルツ。
『ローレライ=ラインの調べ』 | |
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ドイツ語: Loreley-Rhein-Klänge | |
ジャンル | ウィンナ・ワルツ |
作曲者 | ヨハン・シュトラウス1世 |
作品番号 | op.154 |
初演 | 1843年 |
『ラデツキー行進曲』発表まではシュトラウス1世の随一の傑作とされ、今なお作曲者の最も著名なワルツ作品である。
楽曲解説
編集曲名にある「ローレライ=ライン」とは、ライン川とその岸にそびえる岩山『ローレライ』を指す。この岩山には、ローレライという同名の水の精が棲むと伝承され、その歌声は漁師を魅了して破滅に導くとされる。ヨハン・シュトラウス1世は、このライン川のローレライ伝説を題材として『ローレライ=ラインの調べ』を作曲した。
作曲者の息子ヨハン・シュトラウス2世は、1844年10月15日に念願の音楽家デビューを果たした際、自身による作品などとともにこの曲もデビューコンサートで演奏している[1][2]。父シュトラウス1世の傑作とされていたこのワルツを演奏することで、シュトラウス2世は父に敬意を払い、そのライバルとなる意思はないと表明したのだとされる[2][3](逆に、聴衆の反応から自身の楽曲に自信を得て、わざわざ父の代表作を演奏したともいわれる[3])。
父親の非常にポピュラーな『ルールライ・ワルツ』(原文ママ)を息子が演奏したとき、とても望ましい感化が見受けられたので、親孝行になったばかりか、父親が維持した腕の冴えを、彼が手本にしているところを見せたのだった。このワルツも三回も繰り返すはめになった[4]。 — 『ウィーナー・アルゲマイネ・テアターツァイトゥング』紙、1844年10月17日付
今日、シュトラウス1世の楽曲としては『ラデツキー行進曲』が突出して有名であり、この行進曲の陰にシュトラウス1世のあらゆる楽曲が隠れてしまった。代表作とみなされていたこの『ローレライ=ラインの調べ』も例外ではなく、今日ではすっかり埋没してしまっている。しかし、『ラデツキー行進曲』は死去するわずか一年前に作曲されたものであり、生前のシュトラウス1世はもっぱら『ローレライ=ラインの調べ』の作曲者として知られていた。
また、往時の名声は失われたとはいえ、シュトラウス1世のワルツとしては今なお最も演奏頻度が高い作品であり、20世紀に入って作られたオペレッタ『ウィンナ・ワルツ』にも劇中音楽のひとつとして登場している[5]。このオペレッタは、シュトラウス親子の音楽を集めてひとつの劇を構成したものである[5]。1954年のオーストリア映画『女王さまはお若い』では、主要な劇中音楽のひとつとして使われている。後述するニューイヤーコンサートへの登場回数も、シュトラウス1世のワルツ作品としては最も多い。
構成
編集序奏、5つの小ワルツ、コーダからなる。
- 第1ワルツ
Aパート
Bパート
- 第2ワルツ
Aパート
ニューイヤーコンサート
編集ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団によるニューイヤーコンサートへの登場は以下の通りである。
- 1965年 - ヴィリー・ボスコフスキー指揮
- 1979年 - ヴィリー・ボスコフスキー指揮
出典
編集参考文献
編集- ピーター・ケンプ 著、木村英二 訳『シュトラウス・ファミリー:ある音楽王朝の肖像』音楽之友社、1987年10月。ISBN 4276-224241。
- 増田芳雄「ウイーンのオペレッタ-1.ヨハン・シュトラウスの"こうもり"(Die Fledermaus)について」『人間環境科学』第7号、1998年、75-129頁、NAID 120005571700。
- 小宮正安『ヨハン・シュトラウス ワルツ王と落日のウィーン』中央公論新社〈中公新書〉、2000年12月。ISBN 4-12-101567-3。
- 加藤雅彦『ウィンナ・ワルツ ハプスブルク帝国の遺産』日本放送出版協会〈NHKブックス〉、2003年12月20日。ISBN 4-14-001985-9。
- ジャック・ルシューズ 著、岡田朋子 訳『オペレッタ』白水社、2013年10月30日。ISBN 978-4-560-50984-5。
外部リンク
編集音楽・音声外部リンク | |
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全曲を試聴する | |
Johann Strauss - Loreley-Rhein-Klänge, Waltz - ズービン・メータ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による演奏。EuroArts公式YouTube「EuroArtsChannel」。 |