ファイザー

アメリカの製薬会社

ファイザー: Pfizer Inc.)は、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置く大手製薬会社。2021年の医薬品売上高は世界第1位である[1]ニューヨーク市マンハッタン区グランド・セントラル駅に程近いミッドタウン東部に、本社ビルを所有している。

ファイザー
Pfizer Inc.
種類 株式会社
市場情報 NYSEPFE
LSEPFZ
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューヨーク州ニューヨーク市
設立 1849年 (175年前) (1849)
業種 医薬品
事業内容 医薬品研究・開発・製造販売
代表者 アルバート・ブーラ CEO
資本金 82,190 Million US$
(2021年12月31日時点)[広報 1]
売上高 連結:67,425 Million US$
(2021年12月期)[広報 2]
営業利益 連結:12,762 Million US$
(2021年12月期)[広報 3]
純利益 連結:10,009 Million US$
(2021年12月期)[広報 4]
総資産 連結:188,002 Million US$
(2021年12月末時点)[広報 5]
従業員数 103,700人
(2021年12月末時点)[広報 6]
決算期 12月末日
関係する人物 チャールズ・ファイザー 創業者
外部リンク www.pfizer.com ウィキデータを編集
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企業目的(スローガン)は「Breakthroughs that change patients' lives」(患者さんの生活を大きく変えるブレークスルーを生みだす)[2]

沿革 編集

ファイザー公式サイトのアメリカ本社の歴史などによる[広報 7]

研究開発 編集

研究開発費に毎年9000億円近く使われているが、ファイザー本体からの新薬は1998年のバイアグラ以来登場しておらず、2006年には超大型新薬になると期待されたトルセトラピブの臨床試験も失敗した。稼ぎ頭であるリピトールが2011年特許が切れて、後発医薬品の登場によりブロックバスターが無くなり、経営体制の見直しを余儀なくされているのが現状である。これにより、日本法人を含めて世界規模でのリストラが進められている。

不祥事 編集

1996年ナイジェリアカノにおける臨床試験で、髄膜炎の治療に同社の薬剤「トロバン」が使用され、200人の子供が身体障害を受け、11人が死亡した。ナイジェリア政府は、インフォームド・コンセントを適切に得たかどうかについて疑わしいとしてファイザーを起訴した。ファイザーは、薬物検査に関するすべての規制を満たしていると法廷で主張した。最終的に、ファイザーが総額7500万ドルの損害賠償をカノ州に支払うことで和解した[9]

日本法人 編集

ファイザー株式会社
Pfizer Japan Inc.
 
 
日本法人本社の新宿文化クイントビル
種類 株式会社
市場情報 非上場
略称 ファイザー
本社所在地   日本
151-8566
東京都渋谷区代々木三丁目22番7号
新宿文化クイントビル
設立 1953年(昭和28年)8月1日
業種 医薬品
法人番号 5011001126167
事業内容 医療用医薬品の製造・販売・輸出入
代表者 原田 明久(代表取締役社長)
資本金 648億円
売上高 4,586億円(2021年度)
従業員数 約3,600名(2021年12月現在)
決算期 12月31日
主要株主 米国ファイザー(Pfizer Inc.) 100%
外部リンク www.pfizer.co.jp
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ファイザー株式会社(英:Pfizer Japan Inc.)は、米ファイザーの日本法人である。本社は、東京都渋谷区代々木三丁目22番7号(新宿文化クイントビル)に所在する。

日本法人の沿革 編集

ファイザー公式サイトの日本法人の歴史などによる[広報 9]

  • 1953年 - 田辺製薬(現・田辺三菱製薬)との合弁により、ファイザー田邊株式会社を設立し、日本へ進出した。当時の主力製品「テラマイシン」(抗生物質)などの販売を開始するも、テラマイシン国産品の増産ができず、当時の厚生省の方針によって合弁契約の解消を迫られた。
  • 1955年6月 - 台糖ファイザー株式会社を設立。台湾製糖は独自の培養技術でペニシリンを販売していたが、パートナーとして海外医薬品メーカーと提携を模索しており、当時のファイザーと利害が一致した。1955年にファイザー田邊の株式のうち、田辺製薬の持ち分を台糖へ譲渡し、台糖ファイザーが誕生(実際は後に社名変更を実施)した。会長に武智勝(ロバート・アーウィンの妻の弟)、社長に益田克信(益田孝の孫)が就任。
  • 1950年から1970年代 - 当時は外為法の規制によって、外国の製薬会社は日本の大手製薬会社との合弁会社を通して、自社製品を合弁先である日本の製薬会社によって販売していたが、台糖ファイザーは当初から独自にMR(医薬情報担当者)を多く雇用し、自社で納入・販売先を開拓してきた。そのため多くのMRを擁していることが特徴である。また、合併や自社開発により扱う製品数が多くなったこともあり、現在では全国に約2,400人のMR(国内最大級)がいる。
  • 1983年 - 米ファイザーの完全子会社となった。
  • 1989年 - 日本法人の社名をファイザー製薬株式会社に変更した。
  • 2003年 - 米ファイザー (Pfizer Inc.) が2000年に米ワーナー・ランバート2003年に米ファルマシア を買収したのに併せて、日本法人もそれぞれ事業を統合した。ファルマシア日本法人との事業統合を機に、現在のファイザー株式会社へ社名を変更した。
  • 2007年7月 - 医薬営業部門を対象とした先着電話受付リストラを実施し、本社・MRを含む約700名が早期退職した。
  • 2008年 - 日本法人設立55周年を記念してCMが制作され、楽曲には中孝介の「風よ」が起用された。
  • 2010年6月1日 - 2009年10月の米ファイザーの米ワイス社買収に伴い、日本法人もワイス社日本法人と統合した。
  • 2015年9月1日 - 重篤な副作用症例を定められた期限内に医薬品医療機器総合機構(PMDA)へ報告していなかったため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法、旧薬事法)第72条の4第1項の規定に基づき、厚生労働省より業務改善命令を受けた[4][広報 10]
  • 2019年1月 - アップジョン事業部門を新設し、エスタブリッシュ医薬品事業部門を専門とする。上海に本部を置き、日本でも非感染性疾患領域の治療薬を中心に展開する。
  • 2020年11月16日 - 米本社がアップジョン事業部門を分社化してマイランと統合させて新会社VIATRIS(ヴィアトリス)を設立したことに合わせ、日本法人はアップジョン事業部門をヴィアトリス製薬に社名変更し、マイランEPD合同会社、マイラン製薬とともにヴィアトリスグループとして事業開始すると発表[10]

主要商品 編集

 
バイアグラ 50mg
合併後に承認された製品
かつて取り扱っていた製品
  • アリセプト(ドネペジル) - エーザイが開発・発売しているアルツハイマー病治療薬で、提携によりファイザーが日本も含めて世界的に共同販売を行っていたが、2012年12月末をもって販売提携が終了した。
  • イブランス(パルボシクリブ) - 乳がん治療薬 サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害剤

自主回収 編集

アムバロ配合錠「ファイザー」
2019年2月8日、海外原薬製造所(インド)で製造された当該製品の原薬バルサルタンから、世界保健機関(WHO)においてヒトに対して発がん性があるとされるN-ニトロソジエチルアミンが、許容限度値の0.166ppmを超えて最大0.23ppmが検出され、N-ニトロソジメチルアミンが許容限度値0.599ppm以下であるものの、最大0.10ppmが検出されたとの情報を入手した。そのため、当該医薬品の4商品、763,820錠を自主回収することとした。現在までに国内外において重篤な健康被害が発生したとの報告はない[11]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 実際は楕円形のマークに傾斜が掛かり、アルファベットのファイザーの文字の書体が変更された程度であった。

出典 編集

  1. ^ 製薬会社世界ランキング ファイザー、コロナワクチンで5年ぶり首位…ロシュは2位後退 3位はアッヴィ”. AnswersNews (2022年5月18日). 2022年5月25日閲覧。
  2. ^ 企業目的・Values & Behaviors・事業概要”. ファイザー株式会社. 2022年9月27日閲覧。
  3. ^ 英アストラゼネカ、買収の最終提案も拒否 日本経済新聞 2014年5月19日配信 2021年6月3日閲覧。
  4. ^ a b “ファイザーに業務改善命令 副作用報告漏れ”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 37. (2015年9月2日) 
  5. ^ 畑中徹 (2015年11月24日). “ファイザーが巨額買収 19兆円、製薬最大手に 租税回避と批判も”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 4 
  6. ^ 畑中徹 (2016年4月7日). “米、税逃れ規制次々 ファイザー、17兆円買収を断念 低率の国へ移転急増”. 朝日新聞 (朝日新聞社): p. 朝刊 7 
  7. ^ “米ファイザー、アラガン買収計画を撤回 政府の税逃れ規制強化で” (日本語). ロイター (トムソン・ロイター). (2016年4月6日). https://jp.reuters.com/article/allergan-m-a-pfizer-idJPKCN0X31AW 2017年5月22日閲覧。 
  8. ^ BioNTech Signs Collaboration Agreement with Pfizer to Develop mRNA-based Vaccines for Prevention of Influenza | BioNTech” (英語). biontechse.gcs-web.com. 2022年5月24日閲覧。
  9. ^ 米ファイザーによるナイジェリアでの裏工作 ウィキリークスに掲載 | ニュース | ミクスOnline”. www.mixonline.jp. 2021年5月22日閲覧。
  10. ^ “【速報】米ファイザー アップジョン事業部門と米マイラン社を統合 新会社「ヴィアトリス」を設立”. ミクスonline. (2020年11月17日). https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=70176 2020年12月2日閲覧。 
  11. ^ 医薬品自主回収のお知らせ” (PDF). 厚生労働省 (2019年2月8日). 2019年2月8日閲覧。

広報資料・プレスリリースなど一次資料 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集