司法警察職員(しほうけいさつしょくいん)とは、日本刑事訴訟法に規定された司法警察活動を行う職員の資格である[1]。代表的なものに警察官がある(一般司法警察職員、同法189条1項)。戦前は司法警察官吏と称した[2]

種類等 編集

司法警察職員は以下の種類に分かれる[3]特別司法警察職員の場合、捜査できる犯罪の種類、あるいは当該犯罪の発生地等に限定して権限が付与されているが、一般司法警察職員たる警察官には罪種や発生場所を問わず権限が付与されている[4]

司法警察職員は以下の役職に分かれる。

権限 編集

司法警察活動を行う権限を司法警察権と称するが、検察官が有する捜査権(検察庁法6条)と同質で極めて強力な権限であるため、特定の種類の公務員もしくは専門職の従事者のみに付与されている。司法警察権を有して司法警察活動に従事する者が、司法警察職員である。一般的な司法警察権を下記する。

司法警察職員のうち、警察官・皇宮護衛官海上保安官自衛隊警務官麻薬取締官麻薬取締員など、職務の内容からして他人の生命・身体の防護を必要とするもの、あるい危険を伴う場において職務を執行することが通常想定される者に、職務を安全かつ確実に執行させるため、一定の範囲で武器の携帯・使用権が付与されている[注釈 2]

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 刑事訴訟法222条3項の「押収」の文言は、2011年法改正で「差押」に改められた
  2. ^ 法令上、警務官でない自衛官入国審査官および入国警備官・司法警察職員としての指定を受けていない刑務官も武器の携帯使用権を有する(自衛隊法第87条・出入国管理及び難民認定法第61条の4・刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第80条)ほか、現実に所持しないが税関職員も法令上武器の携帯使用権が与えられている(関税法第104条)が、いずれも司法警察権を有しない。司法警察権を付与された者であっても労働基準監督官や旧郵政監察官のように武器の携帯使用権を持たないものもあり、検察庁法第6条で「いかなる犯罪についても捜査をすることができる」権限(検察官の捜査は実務上補充捜査を原則としているものの、検察庁法第6条および刑事訴訟法第191条第1項等により完全な捜査権を付与されている。各司法警察職員が分掌する司法警察権は、検察官の有する捜査権の全部または一部と同質である)を有する検察官も武器の携帯使用権を付与されていない。検察官が自ら捜査をする場合で必要と認めるときは、刑事訴訟法第193条第3項により司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができ、この場合において「司法警察職員は検察官の指示又は指揮に従わなければならない」(同条第4項)とされている。したがって、武器携帯・使用に関する権限の有無は、各々が本質的に担当すべき職務の内容に内包する危険度に由来するものであり、検察権・司法警察権の有無によるものではない。

出典 編集

  1. ^ 大辞林 第三版「司法警察職員」
  2. ^ 司法警察職員等指定応急措置法(昭和23年法律第234号)第2条
  3. ^ デジタル大辞泉 「司法警察職員」
  4. ^ 中野佳博 『わかりやすい実務法学シリーズ 刑事訴訟法 第7版』 2014年4月、P.40、ISBN 978-4-907849-03-0
  5. ^ 司法警察と行政警察とを併せていう。

外部リンク 編集