一般意志2.0(いっぱんいしにーてんぜろ)は2011年講談社から発行された、東浩紀のエッセイ。講談社の月刊情報誌『本』において連載されたのち2011年12月に同社から出版された。

概要 編集

本書はジャン=ジャック・ルソーの古典である社会契約論、特にそこで提示される一般意志の概念を、現代の情報技術環境において実装可能なものとして読み直すこと、またその結果提案される一般意志と共に現代のメディアや民主主義の可能性について論じた本である。

存在論的、郵便的』を発表して以降、東浩紀は日本の学者的な現代思想とは距離を取りつつ、『動物化するポストモダン』などを発表し、いずれデリダ論を更新することを予告しつつ、文芸誌に寄稿したりテレビに出演したり若手批評家を育成することに、10年近く活動の力点をおいていた。

その間にweb世界ではニコニコ動画Twitterを使って、東はデリダの起源であるジャン=ジャック・ルソー一般意志を、新しいメディアを活用し表現し直した。ただし、実際の人間の生き死にがかかわる政治的問題を、ニコニコ動画のようなおふざけメディアを通して論ずるのはやめてほしいなどの批判もあった(日本政策学校第2回開学前記念シンポジウムにおいて)。

2020年には当時を振り返って

ぼくは『文藝』2019年夏季号に寄せたエッセイで、平成の30年間を振り返り、インターネットの登場を含め、日本社会に生まれたさまざまな期待が、最終的に裏切られたのが平成という時代だったと書いています。民主党政権の誕生は2009年で、そこまではITを含めて世の中が変わると期待されていた。その時期には、ぼくもインターネットが集める新しい人民の意志について本を書いたことがありました(『一般意志2.0』)。しかしその矢先に東日本大震災が起き、ネットは最終的に現在のような状況になってしまった。いまとなってはほとんどなにも期待できない[1]

と述べている。

参考 編集

関連項目 編集

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脚注 編集

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