一般競争入札(いっぱんきょうそうにゅうさつ)とは、競争入札のうち入札情報を公告して参加申込を募り、希望者同士で競争に付して契約者を決める方式。日本の官庁発注案件においては会計法第29条の3に規定されている。各省各庁の長は参加資格を定めることが出来(予算決算及び会計令第72条)、参加資格を定めた場合は、随時申請を受け付けて審査して名簿に登録しなければならない。また、契約担当官等(地方事務所の所長など)は、各省各庁の長が定めた参加資格の他に、さらに必要な資格を定めることが出来る(予算決算及び会計令第73条)。

概要編集

物品の製造・販売、役務の提供、物品の買受け(詳細は営業品目一覧による)については、総務省主務で全省庁統一資格審査が行われている。それ以外の契約については、各省庁独自の資格審査が行われている。審査に通ると、企業規模等に応じて等級付がなされ、営業品目別、地域別に名簿登録される。入札公告時に予定価格に応じて契約の等級が決定され、それと同じ等級で登録されていなければ、入札に参加できない。これにより、契約の規模と企業規模等とバランスが取れるように配慮されている。

コンクリート加水問題や、山陽新幹線コンクリート落下問題などを受けて制定された公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)を受け、単純な価格競争から価格以外の要素も考慮した総合評価方式も2005年度から行われている。

手続きの流れ編集

公告に先立って、入札の方法や審査基準等について、審査会を開いて事前に決定する。その際、透明性を高めるため、外部の有識者を招聘する場合もある。

公告方法については、法律に具体的規定がなく、各官庁の掲示板への掲示だけで済ませる事例もあるが、新聞や官報を用いて広報性を高めるよう財務省通達で指導されている[1]。昨今では、Webページも活用されている。

公告を見て応募する場合は、まず、入札公告に記載された方法で入札説明書その他の資料(図面、仕様書等)を入手する必要がある。入札説明書に記載された要領に則り、入札参加資格確認申請書類を提出する。

申請書の提出期限の後、再び、審査会を開いて入札参加資格確認申請書類を審査する。入札参加資格確認申請書類に技術資料(同種工事の実績、配置予定技術者の資格、その他、業務遂行能力を審査する資料)が含まれる場合は、この時に、事前に決めた配点基準に従って技術資料を審査し、評価点を決定する。事前の審査に外部の有識者を招聘した場合は、この時点でも外部の有識者を招聘することが多い。以上の審査結果に基づいて、申込者に対して、入札参加の可否を通知する。入札参加を拒否された業者は、異議申し立てを行うことが出来る。

以前は、入札に先立って参加者が一堂に会した現場説明会が開かれていたが、現在は、談合防止のため、現場説明会を開かないことが多い。現場説明会を開かない場合、仕様書等に不明点があれば、参加者が発注官庁に対して個別に問い合わせることになる。

入札参加を認められた者は、入札期限までに、入札書を郵送または持参するか、電子入札の手続きを行う。以前は、参加者が一堂に会して入札を行っていたが、現在は、談合防止のため、このような手続きを行う。

契約担当官等は、開札日(通常は入札期限の翌日)に、複数の職員立ち会いのもと、入札書の開札を行う。総合評価方式の場合は予定価格以内で評価値(評価点を入札金額で除した値)の最も高い入札書を、価格評価方式の場合は予定価格内最廉価格の入札書を、落札として決定する。同点の場合は、くじ引き等で落札者を決定する。

一般競争入札をめぐる刑事事件編集

2017年
  • 10月30日 - 埼玉県上尾市長の島村穰と市議会議長の田中守が官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕された。また、さいたま市の設備管理会社社長と従業員も逮捕された。田中は2016年12月~2017年1月、同市西貝塚の「西貝塚環境センター」のペットボトル結束機運転管理業務の一般競争入札に関して、非公表の予定価格や最低制限価格を漏らすよう島村に依頼。島村は電話などで設備管理会社側に最低制限価格などを漏らした疑いがある[2]
2018年
  • 7月10日 - 宮城県栗原市の市役所建設部次長が官製談合防止法違反で逮捕された。2018年2月7日に行われた、複合施設「くりはら交流プラザ」の改修工事の制限付き一般競争入札をめぐり、建設部次長は最低制限価格を算定する基準となる設計価格(約2億9千万円)を漏らし、市内の建設会社に最低制限価格で落札させた疑いがある。予定価格は約2億6千万円で、同社が同額で落札した[3]
2019年
  • 2月15日 - 京都府精華町の町役場職員が官製談合防止法違反で逮捕された。町役場職員は2018年10月に町が発注した排水路の整備工事の一般競争入札をめぐり、地元の建設会社に非公表の工事価格に関する情報を漏らして落札させた疑いがある。同社は最低制限価格1,567万6千円を3千円だけ上回る額で落札した[4]
  • 5月13日 - 滋賀県湖南市の市役所の元建設経済部長が官製談合防止法違反で逮捕された。元建設経済部長は、2019年4月4日に行われた湖南市立菩提寺北小学校の空調設備工事の一般競争入札をめぐり、工事のおおまかな設計金額を市内の管工事会社に漏らして同社に落札させた疑いがある。最低制限価格は約7,318万円で、同社が7,550万円で落札した[5]
  • 5月14日 - 宮城県登米市の市役所の石越総合支所市民課長が加重収賄などの容疑で逮捕された。市民課長は2018年2月15日に行われた児童館新築工事の条件付き一般競争入札に関し、最低制限価格を算出する基準となる設計価格を地元の建設会社社長に教え、最低制限価格と同額で仙台市の建設会社に落札させた上、地元の建設会社社長から現金50万円を受け取ったとされている[6]
2020年
  • 7月15日 - 兵庫県上郡町の町役場職員が官製談合防止法違反で逮捕された。町役場職員は2018年3月、兵庫県西播磨県民局発注のため池改修工事の一般競争入札で、町内の工務店社長に設計金額を教え、別の建設会社に最低制限価格に近い5,808万円で落札させた疑いがある[7]
  • 9月29日 - 北海道上川総合振興局整備課の職員が官製談合防止法違反で逮捕された。同職員は同局農村振興課に勤務していた2016年4月、農業土木工事の一般競争入札をめぐり、管内の建設会社社員に対し、工事価格が記載された設計書の写しを事前提供。公正な入札を妨げた疑いがある。工事は約2億円で落札された[8]
  • 12月8日 - 京都府宇治田原町の町理事が官製談合防止法違反で逮捕された。町理事は健康福祉部長だった2017年5月に行われた保育施設建設の一般競争入札で、同町の建設業者に工事の設計金額を漏らし、2,950万円で落札させた疑いがある[9]
  • 12月9日 - 千葉県南房総市の市教育委員会副主査が官製談合防止法違反で、市内の土木会社社長が公契約関係競売入札妨害容疑で逮捕された。教育委員会副主査は2019年5月に行われた同市立小中学校の門扉などの改修工事計4件の一般競争入札に絡み、予定価格など非公開の情報を土木会社社長に漏らした疑いがある。工事4件は予定価格(税込み)が172万8千円~680万4千円で、いずれも同社が落札。予定価格に対する落札率はいずれも約99%だった[10]
2021年
  • 1月6日 - 三重大学医学部附属病院の元臨床麻酔部長で元教授の亀井政孝と部下の医師が第三者供賄容疑で逮捕された。また、日本光電工業の従業員3人が贈賄容疑で逮捕された。亀井と部下の医師は2019年8月、同病院の医療機器納入の一般競争入札をめぐり、日本光電工業側が確実に受注できるように便宜を図る見返りとして、津市の一般社団法人「BAMエンカレッジメント」の口座に現金200万円を振り込ませた疑いがある[11]
  • 1月23日 - 兵庫県赤穂市の市役所水道課の職員が収賄容疑で、岐阜県本巣市の建設設備製造会社の従業員3人が贈賄容疑で逮捕された。市職員は、2020年6月に行われた条件付き一般競争入札にかかる配水池整備工事を巡り、同社製のタンクを納入しやすくするよう特記仕様書を策定するなど便宜を図る見返りと知りながら、同年3月下旬、市の浄水場事務所で同社従業員から手渡しで現金を受け取った疑いがある[12]
  • 2月10日 - 愛媛県四国中央市の市職員二人が官製談合防止法違反で逮捕された。二人は2020年6月に市が発注した二名漁港の防波堤改良工事の一般競争入札を巡り、非公表の価格に関する情報を業者に事前にもらした疑いがある。6,508万6千円の予定価格に対して、市内の建設業者は6,480万円で落札した[13]
  • 2月12日 - 京都府南丹市の市役所の土木建築部次長と上水道課長補佐が官製談合防止法違反容疑で逮捕された。二人は共謀し、2019年12月25日に行われた船岡浄水場整備工事の一般競争入札で、同月上旬ごろに直接工事費など4項目の非公表情報を業者に事前に教え、最低制限価格と同額の2,177万1,000円で落札させた疑いがある[14]
  • 3月3日 - 茨城県龍ケ崎市の副市長の川村光男と、市社会福祉協議会理事の川北恵一郎が官製談合防止法違反容疑で逮捕された。2020年12月上旬、市立中学校のプール改修や道路整備などの工事6件の一般競争入札について、川村が未公表だった参加申請業者名を複数の市職員に指示して川北に漏えいさせ、公正な入札を妨げた疑いがある[15]

脚注編集

  1. ^ 財務省通達『契約事務の適正な執行について』(昭和53年4月1日付蔵計第875号)
  2. ^ “埼玉・上尾市長と議長を逮捕 入札情報漏らした疑い”. 朝日新聞. (2017年10月30日). https://www.asahi.com/articles/ASKBZ5G65KBZUTIL048.html 2021年2月14日閲覧。 
  3. ^ “官製談合容疑などで栗原市幹部と業者ら逮捕 宮城”. 産経新聞. (2018年7月10日). https://www.sankei.com/affairs/news/180710/afr1807100048-n1.html 2021年2月14日閲覧。 
  4. ^ NHK、2019年2月16日、「精華町職員を逮捕 官製談合疑い」。
  5. ^ “小学校工事の入札情報漏らした疑い、湖南市元部長ら逮捕 滋賀”. 産経新聞. (2019年5月13日). https://www.sankei.com/west/news/190513/wst1905130042-n1.html 2021年2月14日閲覧。 
  6. ^ “加重収賄容疑で市職員逮捕 50万円受領か、宮城・登米”. 産経新聞. (2019年5月15日). https://www.sankei.com/affairs/news/190515/afr1905150003-n1.html 2021年2月14日閲覧。 
  7. ^ “入札情報漏えい疑いで逮捕 町職員、ため池工事で―兵庫県警”. 時事通信. (2020年7月15日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2020071501059 2021年2月14日閲覧。 
  8. ^ “官製談合、道庁主査を逮捕 入札情報漏えい容疑―北海道警”. 時事通信. (2020年9月29日). https://www.jiji.com/jc/article?k=2020092900394 2021年2月14日閲覧。 
  9. ^ “官製談合疑いで町幹部逮捕、京都・宇治田原町”. 産経新聞. (2020年12月8日). https://www.sankei.com/affairs/news/201208/afr2012080033-n1.html 2021年2月14日閲覧。 
  10. ^ “小中改修の情報漏らす 市教委職員を官製談合容疑で逮捕”. 朝日新聞. (2020年12月9日). https://www.asahi.com/articles/ASND93GXDND8UDCB016.html 2021年2月14日閲覧。 
  11. ^ 村上友里、山下寛久、柏樹利弘 (2021年1月6日). “三重大病院元教授ら逮捕 機器納入めぐり贈賄させた疑い”. 朝日新聞. https://www.asahi.com/articles/ASP167313P16OIPE011.html 2021年2月14日閲覧。 
  12. ^ “収賄容疑で赤穂市職員逮捕 配水池工事巡り210万円”. 日本経済新聞. (2021年1月23日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHC232Z10T20C21A1000000/ 2021年2月14日閲覧。 
  13. ^ “防波堤改良工事巡り官製談合の疑い 四国中央市職員ら逮捕【愛媛】”. FNNプライムオンライン. (2021年2月10日). https://www.fnn.jp/articles/-/142550 2021年2月14日閲覧。 
  14. ^ “京都・南丹市次長ら2人逮捕、市発注工事めぐり入札情報漏えい疑い 会社社長も”. 京都新聞. (2021年2月12日). https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/506680 2021年2月14日閲覧。 
  15. ^ “副市長らを入札妨害容疑で逮捕 茨城・龍ケ崎”. 毎日新聞. (2021年3月3日). https://mainichi.jp/articles/20210303/k00/00m/040/225000c 2021年3月3日閲覧。 

関連項目編集

外部リンク編集