三重県立紀南高等学校

三重県御浜町にある高等学校

三重県立紀南高等学校(みえけんりつ きなんこうとうがっこう)は、三重県南牟婁郡御浜町阿田和にある公立高等学校。三重県最南端の高等学校である[1]

三重県立紀南高等学校
三重県立紀南高校
三重県立紀南高校
地図北緯33度47分47.2秒 東経136度1分59.4秒 / 北緯33.796444度 東経136.033167度 / 33.796444; 136.033167座標: 北緯33度47分47.2秒 東経136度1分59.4秒 / 北緯33.796444度 東経136.033167度 / 33.796444; 136.033167
国公私立の別 公立学校
設置者 三重県の旗 三重県
学区 南部学区
全国募集枠 (5%)あり
理念 生徒には希望を
保護者には夢を
地域には信頼を
設立年月日 1962年4月1日
創立記念日 5月30日
共学・別学 男女共学
課程 全日制課程
単位制・学年制 単位制
設置学科 普通科
学期 3学期制
学校コード D124210050579 ウィキデータを編集
高校コード 24155F
所在地 519-5204
三重県南牟婁郡御浜町阿田和1960
外部リンク 公式ウェブサイト
ウィキポータル 教育
ウィキプロジェクト 学校
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三重県立紀南高等学校の位置(三重県内)
三重県立紀南高等学校

一時は廃校の危機にあったが、コミュニティ・スクールに指定されたことにより、活気を取り戻した[1]

設置学科 編集

沿革 編集

台風12号による被災 編集

2011年(平成23年)9月4日未明、日本列島に上陸した台風12号により、紀南高校の南縁を流れる尾呂志川(おろしがわ)が氾濫校舎1階の1.7mから2m浸水した[9]。(9月5日に引いた[8]。)これにより黒板教科書などの教具はほぼすべて流され[9]パーソナルコンピュータ70台が廃棄処分となった[10]。校舎や[10]校庭には堆積し、体育館は1年がかりの補修が必要な状況になった[9]9月13日からは生徒がボランティアで清掃作業を行ったが、学校再開は台風12号の被害を受けた高校の中で最も遅れ、9月20日に再開された[9]

しかし再開した9月20日の午後には台風15号に伴い大雨警報が発表され、翌9月21日には暴風警報も出され、生徒の3割が利用している紀勢本線代行バスが運休になったことから、再開から1日で再び休校となった[9]。また、台風15号で窓ガラスが割れたほか、再び尾呂志川が氾濫しそうになった[9]。2つの台風の被害により、10月に予定されていた創立50周年記念式典は翌2012年(平成24年)に延期、文化祭(紀南高祭)は中止が決定した[9]

特色 編集

教育面では特にキャリア教育の充実に努めており、1年生は「自己理解」、2年生は「コミュニケーション能力の育成」、3年生は「進路実現」と「社会人として生きる」を軸に教育活動を展開している[3]

インターンシップ 編集

紀南高校の卒業生の進路は、およそ就職6割、進学4割となっている[5]。地元には就職先・進学先が少ないことから、卒業生の多くは中京圏京阪神などへ出ていく[5]。こうした生徒の進路の多様性に応じるため紀南高校は教育課程を変えてきたが、1999年(平成11年)に文部省の「高等学校教育課程等研究指定校」となったことから職場体験学習を導入、2000年(平成12年)からは総合的な学習の時間を利用して科目名を「就労体験」として3単位を認定するインターンシップを開始した[5]。1999年の職場体験学習で生徒と受け入れ先事業所の双方から高い評価を得たことが翌年以降につながった[11]

紀南高校のインターンシップは、参加希望者だけを対象とする[11]。2000年に行われたインターンシップは毎週火曜日に半年間、8時から16時30分まで地元の老人ホームスーパーマーケットなど希望の職場で就労を体験する、というものであった[12]。このインターンシップは生徒らの進路意識を高め、社会人や人間として必要な素養を身につけるといった直接的な効果や、生徒がインターンシップでの体験談を家族に語ることで、家族間のコミュニケーションが生まれ、紀南高校の教育の取り組みが保護者に周知されるといった副次的な効果も生まれた[13]。なお、この科目の成績評価は、現場での取り組みの教員による視察、就労体験日誌の提出、教員との面談によって行われ、5段階などの数値ではなく文章で評価を記述する[14]

コミュニティ・スクール 編集

紀南高校は高知県の県立高等学校2校に次ぎ、高等学校としては日本で3番目にコミュニティ・スクール(学校運営協議会を設置する学校)となった[15]。2011年4月1日現在、コミュニティ・スクールに指定されている高等学校は紀南高校、高知県立大方高等学校横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校岡山市立岡山後楽館高等学校の4校である[7]

これにより、学校の運営、具体的には学校教育の基本方針、教育課程、学校予算人材、学校や地域の課題解決に関してPTA同窓会、地域住民が助言と承認をすることができるようになった[16]。コミュニティ・スクールの取り組みは過疎化少子化により高校自体の存亡の危機にあって、創立当初に立ち返って文字通り「地域の学校」としての再生を狙ったものである[3]。実際の活動として、紀南高校の教員がサマースクール講師として小学校に出向く、町で不要になった照明設備を高校のグラウンドで再利用される、吹奏楽部が地域のイベントに参加する、などが挙げられる[17]。これらコミュニティ・スクールの取り組みは三重県の「率先実行大賞」ベストエール賞を2009年(平成21年)に受賞した[18]

部活動 編集

交通 編集

著名な出身者 編集

受賞 編集

脚注 編集

  1. ^ a b 岩間(2010):59ページ
  2. ^ 三重県総合教育センター 編(1979):281ページ
  3. ^ a b c 池上 亮"紀南高校における『キャリアノート』の活用と進路指導"実務教育出版(2011年10月11日閲覧。)
  4. ^ 三重県総合教育センター 編(1979):289ページ
  5. ^ a b c d e f g 三重県立紀南高等学校(2001):87ページ
  6. ^ 「阿田和地区で一斉清掃 2008年度小学・中学・高校合同奉仕作業」熊野新聞2008年10月29日付
  7. ^ a b 文部科学省初等中等教育局参事官付運営支援企画係"コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の指定状況(平成23年4月1日現在)"(2011年10月11日)
  8. ^ a b "公立小中高 11校で浸水被害"2011年9月6日付中日新聞朝刊、三重総合19ページ
  9. ^ a b c d e f g スポーツ報知(2011):20ページ
  10. ^ a b 河北彬光"水道復旧めど立たず 三重南部"2011年9月9日付中日新聞朝刊、10版広域33ページ
  11. ^ a b 三重県立紀南高等学校(2001):88ページ
  12. ^ 三重県立紀南高等学校(2001):88 - 89ページ
  13. ^ 三重県立紀南高等学校(2001):90ページ
  14. ^ 三重県立紀南高等学校(2001):89ページ
  15. ^ 東紀州ITコミュニティ"全国の公立高校で3校目!県立紀南高校がコミュニティ・スクールに指定されます"2007年5月17日(2011年10月11日閲覧。)
  16. ^ 千葉県"資料2 当面の課題II"(2011年10月11日閲覧。)
  17. ^ 川田竜也"魅力と活力のある学校づくり-「たくましく生きる力を育てる」ための地域と学校との連携-"
  18. ^ すくーるニュース"ベストエール大賞に選ばれました"(2011年10月11日閲覧。)
  19. ^ “三重県立高等学校案内-各高校案内-三重県立紀南高等学校”.www.mie-c.ed.jp.

参考文献 編集

  • 岩間知之(2010)"都道府県における高等学校教育改革の成果と今後の展望〜三重県の取組について〜"『第28回教育研究公開シンポジウム』(国立教育政策研究所、平成22年3月).56-72.
  • 三重県総合教育センター 編『三重県教育史 年表統計編』三重県教育委員会、1979年3月1日、455pp.
  • 三重県立紀南高等学校(2001)"指定校に学ぶ 学校外の学修活動・インターンシップ"中等教育資料(文部科学省大日本図書).50(6):87-91.
  • "19日ぶりに再開もまた休校 12号に続き…教頭「もう限界」三重県立紀南高校 窓ガラス割れ、敷地沿いの川も土のう30センチ肉薄"スポーツ報知2011年9月22日付、社会6版、20ページ

関連項目 編集

外部リンク 編集