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概要編集

「連邦国」と「同盟国」の2大勢力間で勃発した世界最終戦争を、市井に生きる人々の姿を通して描く反戦映画である。『私は貝になりたい』のテレビドラマ版と映画版の両方に主演したフランキー堺が、本作でも理不尽な運命に翻弄される平凡な小市民を熱演している。製作当時は、本作の公開直前に起きたベルリンの壁構築や翌年のキューバ危機に代表されるように東西冷戦の危機感が強く、それを反映した人間ドラマである。兵器や軍服のデザインや国章から、連邦国は資本主義陣営、同盟国は社会主義陣営を意識して描かれているが、劇中の台詞には両陣営とも英語が用いられている。準備稿の段階では、アメリカやソビエトといった実在の国名で書かれていた[3]

僧侶でもある松林監督は、本作の根底を流れるテーマとして、仏教の「無常」観を挙げている。

製作経緯編集

東宝プロデューサーの田中友幸は、当時の世界情勢から第三次世界大戦を題材とした映画の製作を構想し、橋本忍による脚本で製作準備を行なっていた。しかし、東映でも同様の題材を扱った映画『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』を製作していることが判明したため、東宝側も監督に堀川弘通を立てて『第三次世界大戦 東京最後の日』の製作を急ぎ決定し、両社は競い合う形で製作を進めていった。マスコミもこの競合を報道するが、東宝側の脚本が先に完成していた東映側との類似を指摘され、東宝側は脚本の改稿を余儀なくされるも十分な解消には至らず、製作の中止を決定した。その後、内容を一新して製作が再開され、本作の完成に至った[3]

特撮編集

ストーリー編集

戦後16年が経過し、急速な復興を遂げた日本。主人公・田村茂吉は家族の幸せを願いながら、外国人記者の集まるプレスセンターの運転手として日々働いていた。そんな中、田村の長女・冴子は下宿している青年・高野と恋仲になっており、長い航海を終えて帰還した彼との久々の再会を喜ぶ。そんな2人はついに茂吉に対して結婚の決意を語り、驚く彼に反して妻のお由も賛同し、とうとう2人は結ばれることになる。

一方、世界は連邦国と同盟国の2大陣営に分かれ、両陣営はお互いに核兵器を持って対峙たいじしていた。まもなく、北大西洋で行われた同盟国陣営の軍事演習エリアに連邦国陣営の潜水艦が侵入したことをきっかけに、両者の関係は緊迫する。田村が担当する記者・ワトキンスもその状況を危惧し始めた。日本政府も国民の間に動揺が広がりつつあることを考慮し、両国の関係改善の道を探ろうとする。だが、ワトキンスが緊迫した朝鮮半島・北緯38度線の情勢を取材に向かったその数日後、小型ながらも実戦で核兵器が使われるという事態が発生し、ついに連邦国・同盟国陣営双方で命令により発射装置のボタンが押されれば、弾道ミサイルが発射される状況となっていた。

日本では総理が病身を押して公務を行い、両国の緊張をこれ以上高めまいと懸命の努力を行う。現場にいる軍人たちも最悪の事態だけは避けたいという思いを胸に、想定外の事故や発射装置の故障により戦争へ突入する状況を阻止していた。やがて、南北朝鮮間で停戦協定が結ばれたことにより緊張が解け始めるが、北極海上で発生した軍用機同士の戦闘をきっかけに再び悪化し、幾多の人々の努力もすべて水泡と帰してしまう。そして、日本でもミサイルへの警戒が始まり、人々の不安は頂点へ達する。

大都市から避難しようとする人々の大混乱の中、田村一家は自宅に残り、最後の晩餐を開く。冴子は数日前に再び長い航海に出た高野へ向け、覚えたてのアマチュア無線で最後のモールス通信を行い、洋上の高野もそれに応える。「サエコ・サエコ・コウフクダッタネ」「タカノサン・アリガトウ」。また、夕陽を前にして茂吉は叫ぶ。「母ちゃんには別荘を建ててやるんだ! 冴子には凄い婚礼をさせてやるんだ! 春江はスチュワーデスになるんだ! 一郎は大学に行かせてやるんだ! 俺の行けなかった大学に……!!」

その夜、東京は核の閃光に包まれ、溶解する。翌朝、洋上の高野たちは自分たちにも残留放射能による死が訪れることを覚悟のうえで、東京へ帰ることを決意するのだった。

キャスト編集

※以下ノンクレジット出演者

登場兵器編集

連邦国側編集

連邦国ミサイル戦車
装軌式の車体に、8連装の戦術核搭載ミサイル発射台を装備する。また、回転式のマストがあり、V-107ヘリコプターから遠隔操作される。38度線で同盟国側の砲台を攻撃するが、同盟国側の攻撃機の反撃によって指揮ヘリコプターもろとも全滅する。
攻撃シーンは後に『ノストラダムスの大予言』に流用されている。
核ミサイル
連邦国側のICBMで、核弾頭を装備。運搬車のトレーラーはそのまま垂直に直立し、ミサイルの発射台として使用できるほか、C-130による空輸もできる。極東ミサイル基地に6基が配備された後、地下陣地へ格納される。
運搬車の牽引車には、『モスラ』に登場した原子熱線砲の牽引車が流用されている。
連邦国攻撃型潜水艦
連邦国側の潜水艦。涙滴型の艦体上面が平滑になっており、SLBMを搭載していると思われる。北大西洋で行なわれた同盟国陣営の軍事演習に乱入したために追跡され、防潜網に引っかかって拿捕される。

同盟国側編集

モク戦闘機
同盟国陣営の戦闘機。形状はMiG-21をモデルとしているが、主翼が後退翼となっている、機首のピトー管の位置が異なるなどの相違点がある。北極海上空で、連邦国陣営のF-101空対空核ミサイルを交えた空中戦を展開する。
同盟国攻撃型潜水艦
同盟国側の潜水艦。第二次世界大戦時の潜水艦と同様の艦体をしている。軍事演習に乱入した連邦国攻撃型潜水艦を、2隻で追跡する。

スタッフ編集

海外版タイトル編集

逸話編集

  • 日本の映画館における上映分の予告編は現存していない。以前から本作の予告編の所在は不明とされてきたが、デアゴスティーニ・ジャパンの『東宝特撮映画DVDコレクション』において、現存していないことが判明した[4]。そのため、東宝ビデオから発売されたDVDには、現存している海外版の予告編のみが映像特典として収録されている。
  • 併映作品『アワモリ君乾杯!』の劇中には、アワモリ(坂本九)、カバ山(ジェリー藤尾)、ギャング団(田武謙三ダニー飯田とパラダイス・キング)が紛れ込んだ東宝砧撮影所で、本作の撮影現場が映し出されるシーンがある。

映像ソフト編集

VHSLDDVDは発売されたが、BDは2017年現在も発売されていない。

VHS
  • 1991年8月1日[5]
DVD
  • 2004年12月23日 - 監督の松林宗恵によるオーディオコメンタリーが収録されている[6](以降のバージョンも同様)。
  • 2014年2月7日 - 「期間限定プライス版」として再発売された[7]
  • 2015年7月15日 - 「東宝DVD名作セレクション」として再々発売された[8]

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924→2011』キネマ旬報社〈キネマ旬報ムック〉、2012年、180頁。ISBN 9784873767550
  2. ^ 本作のDVDには、公開当時に一部の劇場のみ対応した4ch音声も収録されている。
  3. ^ a b c 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年、58 - 61頁。ISBN 9784864910132 
  4. ^ 『東宝特撮映画DVDコレクション』No.39、デアゴスティーニ・ジャパン、2011年4月12日、 雑誌20692-4/12。DVD収録の「次号作品の予告映像について」より。
  5. ^ ASIN B00005GDVP
  6. ^ DVD 世界大戦争2004/12/23発売 - DVD情報 allcinema
  7. ^ DVD 世界大戦争 <期間限定プライス版>2014/02/07発売 - DVD情報 allcinema
  8. ^ DVD 世界大戦争 <東宝DVD名作セレクション>2015/07/15発売 - DVD情報 allcinema
  9. ^ 奇跡の職人技 素晴らしき特撮世界|作品解説1”. ラピュタ阿佐ケ谷. 2017年4月12日閲覧。
  10. ^ 東映チャンネル9月 東映特撮映画を特集放送!!”. 東映チャンネル (2013年8月28日). 2017年4月12日閲覧。

外部リンク編集