中国哲学書電子化計画

中国哲学書電子化計画(ちゅうごくてつがくしょでんしかけいかく、英語: Chinese Text Project)は、インターネット上の電子図書館(デジタルライブラリ)。名前の通り、中国哲学の分野を軸に、中国古典の原典文献(漢籍)を集積・翻刻している。対応言語は英語中国語繁体字および簡体字)。略称として、CTPctextなどがある。

Chinese Text Project
URL ctext.org
言語 英語中国語
タイプ 電子図書館
運営者 Donald Sturgeon
設立者 Donald Sturgeon
アレクサ
ランキング
ポジティブな減少 38,208 (November 2016)[1]
営利性 非営利
登録 任意
開始 2006
現在 随時更新
中国哲学書電子化計画
繁体字 中國哲學書電子化計劃
簡体字 中国哲学书电子化计划

概要編集

Donald Sturgeon(ハーバード大学東アジア言語文明学部・ダラム大学計算機科学部などを歴任)によって開発・運営されている[2]。その特徴として、インターネット上で誰でもアクセス可能でありながら豊富な文献が読めること、文献学の観点から複数の底本の集積を目指していることなどが挙げられ、専門の研究者からみても有用な電子図書館として、国際的・学界的に周知されている[3][4][5][6]

対応言語は英語と中国語のみで、日本語には現状対応していない。しかしながら、Sturgeonは過去に来日講演しており[7][8][9]チュートリアルの日本語版を用意するなどの配慮がなされている[10][11]

文献の配架方法としては、「先秦漢代」("Pre-Qin and Han"〈先秦兩漢〉)と、「漢代より後」("Post-Han"〈漢代之後〉)の両者に大別した上で、前者は各諸子百家・学問分野などの分類順に、後者は時代順に配架している。文献の総量としては、前者は累計500万字以上、後者は2000万字以上に及んでいる[12]。また、ユーザーが編集可能なウィキ形式のページ("Wiki"〈維基〉)も用意されており、そちらは50億字以上に及んでいる[12]

利点として、英語と現代中国語による翻訳文が、主要な文献にのみではあるが用意されており、段落ごとに区切って対訳で読めるよう設計されている。そのおかげで、古典中国語の知識が乏しい初学者や非専門家であっても研究ツールとして活用しやすい[13]。なお、翻訳文はジェームズ・レッグドイフェンダックによる著作権切れのもののほか、転載承諾済みの現代の学者のものを使用している[14]

さらなる利点として、豊富なデータベース機能が搭載されているという点がある。例えば、カスタム検索機能[15][16]中国学者にとって必須な字書の機能("Dictionary"〈字典〉)、近似文字列の検出機能[17]、全文献を通じてのコーパス機能[18]メタデータ機能、注釈の閲覧機能[19]、などが搭載されている[20]

原典文献の閲覧以外にも、現代の参考文献先行研究の情報("Resources"〈相關資料〉)を閲覧したり、スレッド形式掲示板("Discussion"〈討論區〉)で会話したりできる。

"Library"〈圖書館〉では、原典文献の写真(影印本)を閲覧できる。影印本の総量は2500万頁以上に及び[12]、大半は光学文字認識(OCR)の使用によって、翻刻が自動生成されている[21]。自動生成された翻刻は多かれ少なかれ誤字を伴うため、クラウドソーシング・ウィキ形式のもと、ユーザーによる校正編集が許可・奨励されている[22][23]

文献データとメタデータは、API経由での抽出が可能であり、他のオンラインツールとの統合や、テキストマイニング人文情報学(デジタル・ヒューマニティーズ)関連の研究での二次的利用が許可されている[11][24]

関連項目編集

出典編集

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  1. ^ Ctext.org Site Info”. Alexa Internet. 2016年11月7日閲覧。
  2. ^ Donald Sturgeon”. ハーバード大学Webサイト. 2020年4月19日閲覧。
  3. ^ ベンジャミン・エルマン. “Classical Historiography for Chinese History: Databases & electronic texts”. Princeton University. 2016年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年6月3日閲覧。
  4. ^ Association of Chinese Philosophers in North America (北美中国哲学学者协会)”. 2010年12月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年9月25日閲覧。
  5. ^ Chris Fraser, Department of Philosophy, University of Hong Kong 2021年2月3日閲覧。
  6. ^ Fraser, Chris. “Support the Chinese Text Project! – Warp, Weft, and Way” (英語). 2021年2月3日閲覧。
  7. ^ ctextワークショップ2017”. 東京大学 次世代人文学開発センター 人文情報学拠点. 2020年4月19日閲覧。
  8. ^ E1980 - 日本のデジタル人文学の国際学会JADH2017<報告>”. 所:同志社大学国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル. 2020年5月2日閲覧。
  9. ^ 世界漢語教育史研究学会・KU-ORCAS「デジタル化時代におけるグローバル中国語教育史国際シンポジウム 2018年10月20日・21日」”. 関西大学 アジアオープンリサーチセンター. 2020年5月2日閲覧。
  10. ^ ctext.orgへの実践的ガイド(日本語)”. Donald Sturgeon. 2020年4月19日閲覧。
  11. ^ a b ctext.org テキスト・ツールズ(日本語)”. Donald Sturgeon. 2020年4月19日閲覧。
  12. ^ a b c http://ctext.org/system-statistics
  13. ^ Connolly, Tim (2012). “Learning Chinese Philosophy with Commentaries”. Teaching Philosophy (Philosophy Documentation Center) 35 (1): 1–18. doi:10.5840/teachphil20123511. 
  14. ^ Frequently Asked Questions - Chinese Text Project” (英語). ctext.org. 2020年8月24日閲覧。
  15. ^ http://ctext.org/instructions/advanced-search
  16. ^ http://ctext.org/faq/normalization
  17. ^ Sturgeon, Donald (2017). “Unsupervised identification of text reuse in early Chinese literature”. Digital Scholarship in the Humanities (Oxford University Press). https://dsturgeon.net/text-reuse-chinese-literature/ 2017年11月21日閲覧。. 
  18. ^ Xu, Jiajin (2015). “Corpus-based Chinese studies: A historical review from the 1920s to the present”. Chinese Language and Discourse (John Benjamins Publishing Company) 6 (2): 218–244. doi:10.1075/cld.6.2.06xu. 
  19. ^ Adkins, Martha A. (2016). “Web Review: Online Resources for the Study of Chinese Religion and Philosophy”. Theological Librarianship (American Theological Library Association) 9 (2): 5–8. doi:10.31046/tl.v9i2.435. 
  20. ^ Holger Schneider and Jeff Tharsen, http://dissertationreviews.org/archives/9213
  21. ^ Sturgeon, Donald (2017). “Unsupervised Extraction of Training Data for Pre-Modern Chinese OCR.”. The Thirtieth International Flairs Conference. AAAI. https://aaai.org/ocs/index.php/FLAIRS/FLAIRS17/paper/view/15490/15011 2017年11月21日閲覧。 
  22. ^ https://cpianalysis.org/2016/06/08/crowdsourcing-apis-and-a-digital-library-of-chinese/, China Policy Institute, University of Nottingham
  23. ^ http://ctext.org/instructions/ocr
  24. ^ http://ctext.org/tools/api
  25. ^ Publications | Donald Sturgeon”. ハーバード大学Webサイト. 2020年7月15日閲覧。

外部リンク編集