中湧別駅

日本の北海道紋別郡上湧別町にあった北海道旅客鉄道の駅(廃駅)

中湧別駅(なかゆうべつえき)は、北海道網走支庁紋別郡上湧別町字中湧別中町(現・湧別町中湧別中町)にあった北海道旅客鉄道(JR北海道)名寄本線廃駅)である。事務管理コードは▲122124[2]。名寄本線は当駅で本線と湧別支線が分岐し、加えて1987年昭和62年)までは湧網線の分岐駅であった。

中湧別駅
駅舎(1993年2月)
なかゆうべつ
Naka-Yūbetsu
地図
所在地 北海道紋別郡上湧別町字中湧別中町
北緯44度11分7.4秒 東経143度35分45.2秒 / 北緯44.185389度 東経143.595889度 / 44.185389; 143.595889
所属事業者 北海道旅客鉄道(JR北海道)
日本国有鉄道(国鉄)
電報略号 ナユ
駅構造 地上駅
ホーム 2面3線
開業年月日 1916年大正5年)11月21日[1]
廃止年月日 1989年平成元年)5月1日[1]
乗入路線 3 路線
所属路線 名寄本線
キロ程 121.9 km(名寄起点)
川西 (2.6 km)
(3.1 km) 北湧
所属路線 名寄本線(支線)
キロ程 0.0 km(中湧別起点)
(3.0 km) 四号線
所属路線 湧網線
キロ程 0.0 km(中湧別起点)
(9.9 km) 芭露*
備考 名寄本線廃線に伴い廃駅
*この間に五鹿山仮乗降場(当駅より2.6km先)および福島仮乗降場(当駅より4.3km先)が存在。
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歴史 編集

 
1977年の中湧別駅と周囲約500m×750m範囲。上は左が名寄本線紋別方面、中央が湧別支線湧別方面、右が湧網線網走方面。下が名寄本線遠軽方面。大きな駅舎を持ち、千鳥型にずれた形の国鉄型配線の2面3線と駅舎横の貨物ホームへ引込み線、駅裏には多くの側線を有する。湧網線、湧別支線の起点駅として小さな機関区を持っていて、駅舎正面に整備用車庫が設置されている他、南側には転車台を含めて蒸気機関車時代の古い施設がそのまま残されている。ストックヤードは分散しており、駅舎横の貨物ホーム側には木材、駅裏北側には石炭、駅構外南側には白い鉱物質(不明)がそれぞれ野積みされている。構外南側のヤードへは引込み線が伸び、無蓋のホッパー車が認められる。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成

1980年昭和55年)まで運行されていた急行「天都」の停車駅であった。

年表 編集

駅名の由来 編集

所在地名より。地名は、湧別川の中流に位置していたために「湧別」に「中」を冠する[3][8]

駅構造 編集

廃止時点で、単式ホーム島式ホーム複合型2面3線を有する地上駅で、列車交換可能な交換駅であった[9]。互いのホームは駅舎側ホーム北側と島式ホーム南側を結んだ跨線橋で連絡した[9]1983年(昭和58年)時点では、駅舎側(西側)が上下共用の1番線、島式ホーム駅舎側が名寄本線下りの2番線、外側が湧網線発着用の上下共用の3番線となっていた。また島式ホーム北側は切欠きとなっていたが側線扱いとなっていた。3番線の外側に多数の側線を有し、そのほか1番線の名寄方から分岐し駅舎北側の貨物ホームへの貨物側線を2線有していた[9]。名寄本線湧別支線と湧網線の合流地点にはシーサス・クロッシングが設置されていた[9]

職員配置駅となっており、駅舎は構内の北側に位置し単式ホームから少し離れた場所に存在していた[9]。コンクリート製の駅舎であった。

利用状況 編集

  • 1981年度(昭和56年度)の1日乗降客数は686人[9]

駅周辺 編集

駅跡 編集

旧駅構内は1993年(平成5年)4月1日から上湧別町(当時)により「中湧別鉄道資料館」として整備され[11]、さらに資料館を包含する形で「道の駅中湧別」として整備された[11]。その後道の駅は「道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯」としてリニューアルされ、鉄道資料館は「上湧別百年記念公園 中湧別駅記念館」となった。また「湧別町文化センターTOM」が開設された。

道の駅 編集

 
かみゆうべつ温泉チューリップの湯

道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯を参照。

上湧別百年記念公園 中湧別駅記念館 編集

駅舎は撤去されたが、開業当時からの木造跨線橋及びレールとホームが保存・展示されている[11]。車輌は旧1番線と旧2番線上に横付けする形で除雪用モーターカー(番号無し。形状からTMC200CSと思われる)1両と、ヨ3500形車掌車ヨ 4407、ヨ 4421、ヨ 4430、ヨ 4433の4両[11][12]静態保存・展示されている。車掌車内にはダイヤグラム[12]ダルマストーブ[11]などの古い備品類、また「文化センターTOM」内にも駅名標や制服、改札鋏などの名寄本線関連の備品などが保存・展示されている[12]。ホームの湧別方には腕木式信号機が設置保存され、遠軽方には「国有鉄道 中湧別保線区之碑」という石碑が建立されている[12]

2011年(平成23年)時点でも同様で、ホームには本物の駅名標も保存されていた[13]

湧別町文化センターTOM 編集

 
湧別町文化センターTOM

文化ホールと公民館、図書館、漫画美術館、湧別町役場中湧別出張所等がある複合施設。鉄道資料館の管理も行っている。

名称の「TOM」には、

T:チューリップ (Tulipa)
O:オホーツク (Okhotsk)
M:漫画(まんが、Manga)、ミュージアム (Museum)

などの意味合いが込められている。

バス路線 編集

 
廃止された北海道北見バス中湧別案内所

かつては文化センターTOMの一角に北海道北見バス中湧別案内所が設置されていたが、1992年(平成4年)5月1日の網走バス中湧別営業所廃止以来乗車券販売を受託していた網走バスの路線が2010年(平成22年)10月1日に廃止されたことから、同日付で廃止されている。北海道北見バスの乗車券は文化センターTOM内の上湧別町商工会で取り扱う[14]

2007年(平成19年)4月1日より札幌行高速えんがる号が乗り入れていたが、2012年(平成24年)4月1日に遠軽 - 札幌間に短縮となり中湧別乗り入れは廃止された。乗車券の発売は上湧別商工会などで引き続き取り扱う[15]

隣の駅 編集

北海道旅客鉄道(JR北海道)
名寄本線
川西駅 - 中湧別駅 - 北湧駅
名寄本線(支線)
中湧別駅 - 四号線駅
日本国有鉄道
湧網線
中湧別駅 - 五鹿山仮乗降場 - 福島仮乗降場 - 芭露駅

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f 石野 1998, p. 912.
  2. ^ 日本国有鉄道営業局総務課 編『停車場一覧 昭和41年3月現在』日本国有鉄道、1966年、242頁。doi:10.11501/1873236https://doi.org/10.11501/18732362023年3月21日閲覧 
  3. ^ a b 『北海道 駅名の起源』(第1版)日本国有鉄道北海道総局、札幌市、1973年3月25日、198頁。ASIN B000J9RBUY 
  4. ^ a b 湧別町百年史 昭和57年12月発行。
  5. ^ 地形図 (Map). 1:50,000. 内務省地理調査所. 1947. § 「中湧別」「遠軽」.。地図中「木材運搬馬車軌道」と記述。湧別町芭露の芭露川支流ポン川上流より山裾に沿って北上した後(後の湧網線の軌道とは重ならない)東7号線(現・国道238号)上を通って当駅裏土場まで森林軌道が敷かれている。当初は福島との境界に当たるテイネ川岸の土場から敷かれていたが、大正12年頃にポン川上流へ延長された。昭和5年頃に軌道が廃止されて馬橇に戻り、湧網西線開通後は伐採地に近い芭露駅や計呂地駅へ送られた。
  6. ^ a b 石野 1998, p. 914.
  7. ^ 上湧別町史 昭和54年11月発行。
  8. ^ 太田幸夫『北海道の駅878ものがたり 駅名のルーツ探究』富士コンテム、2004年2月、188頁。ISBN 978-4893915498 
  9. ^ a b c d e f 宮脇俊三 編『国鉄全線各駅停車1 北海道690駅』原田勝正小学館、1983年7月、212頁。ISBN 978-4093951012 
  10. ^ a b c 『北海道道路地図 改訂版』地勢堂、1980年3月、18頁。 
  11. ^ a b c d e 白川淳 編『全国保存鉄道III 東日本編』JTBパブリッシングJTBキャンブックス〉、1998年10月、52頁。ISBN 978-4533030963 
  12. ^ a b c d 『秘境駅を旅する』(テレビ番組)旅チャンネル、2011年10月。 
  13. ^ 本久公洋『北海道の鉄道廃線跡』北海道新聞社、2011年9月、116頁。ISBN 978-4894536128 
  14. ^ 中湧別バスターミナル乗車券販売等窓口が上湧別町商工会になります」(PDF)『かわらばん』第23号、湧別町、2010年9月10日。 
  15. ^ 高速えんがる号が、ますます便利に! 遠軽-札幌 2012年4月1日(日)ダイヤ改正!” (PDF). 楽得バス13. 2012年4月1日閲覧。

参考文献 編集

  • 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日。ISBN 978-4-533-02980-6 

関連項目 編集

外部リンク 編集