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二座席レーシングカー (にざせきレーシングカー、フランス語 voiture de course bi-places, 英語 two-seater racing car) は、1966年から1981年まで国際自動車連盟が規定していた競技に用いる自動車の一類型である。個別レースシリーズでは「スポーツカー」と呼称されることもある。

スポーツカーと同様に並列に2座席を配し、全てのホイールはボディのフェンダー部に覆われているが、公道運用の前提条件は名目すらない完全な競走車である。

カナディアンアメリカン・チャレンジカップや、日本ではそれに加え富士グランチャンピオンシリーズの車両として知られている。

目次

概要編集

 
1973年カンナム第6戦モルソンカップ

1966年、国際自動車連盟 (Fédération Internationale de l'Automobile, 以下、FIA) の国際スポーツ法典が改編されるのに伴い、アメリカ・スポーツカークラブ (Sports Car Club of America, 以下、SCCA) がサーキットロードレース専用スポーツカーとして独自に規定している改造部門を付則J項C部門 (レーシングカー) に第7グループとして加え、スポーツカーとは決別し新定義された。

SCCAが主催する合衆国ロードレース選手権 (United States Road Racing Championship) の最上位クラスであった改造部門は、1965年以前の国際スポーツ法典付則C項のスポーツカー規定を基に、最低重量、最低地上高、燃料タンク最大容積の各規定、ラゲッジ空間確保、エンジン覆い (ボンネットまたはフード) とスペアホイール装備義務、これらを全て撤廃しており、さらにロードスターの場合はウィンドシールドの最少寸度も規定していなかった。このうち最低地上高に制限がないことは、FIAのスポーツカーとは異なり[注釈 1]フォーミュラ・レーシングカーと同じく路面整備されたサーキットロードしか運用前提がない純競走車を意味していた。国際規定化するにあたり夜間灯火[注釈 2]の装備も昼間レースでは自由化された。

助手席を有しており、車体を真上から眺めるとホイールが完全にボディに隠れるなどスポーツカーと共通する要素は保存されている。天蓋の有無に規定はないが、1975年以前にクーペが製造された例はない。ドライバーズレース専用機材と位置づけられているが、技術規定は緩く、多くのレースシリーズはエンジン排気量にも制限がないため、メイクス国際選手権のスポーツカーにエンジン排気量上限が課せられた1968年以降は、それまでのスポーツカー開発の資源を振り向ける形で欧米と日本の自動車製造者が直接関与する事例が多くなった。

SCCAがカナダ自動車スポーツクラブ (Canadian Automobile Sport Clubs, CASC) と共同で1966年から開始したカナディアンアメリカン・チャレンジカップ (Canadian-American Challenge Cup, Can-Am, 以下、カンナム) では、1974年まで参加対象の最上位クラスであった。また日本でも1968年と1969年の日本グランプリ、および1971年から開始された富士グランチャンピオンシリーズでは1978年まで (1972年からエンジン排気量2リットル以下に制限) カンナムと同じく最上位クラスであった[注釈 3]

1976年には前年までB部門であった試験的競技車とそれに属するスポーツカー (第5グループ) が廃止されたため、部門とグループが繰り下がりB部門第6グループとなる。これに伴いスポーツカーレースの参加対象とするためエンジン排気量に応じた最低重量と燃料タンク最大容積の規定が導入された。これにより1976年と1977年のスポーツカー世界選手権、1978年から1980年までの耐久ドライバーズ・ワールドチャレンジ、1981年の世界耐久選手権 (ドライバーズ) にそれぞれ対象となり、欧州自動車製造者の直接関与が強まった。また1981年は翌年の新規定発効を見越したクーペが多く登場した。

1982年に付則J項の改編により廃止され、後継類型としてカテゴリーII (競技車) グループC (スポーツカー) が導入された。ただし、その技術規定はロードスターに利点がなく、[注釈 4]1988年までに製造された車両はすべてクーペであった。

主な車両編集

1966年~1975年 (第7グループ時代)編集

1976年~1981年 (第6グループ時代)編集

日本 (1968年~1969年)編集

主なレースシリーズ編集

注釈編集

  1. ^ スポーツカーはツーリングカーグランドツーリングカーと同じく10センチメートル以上の最低地上高が必要である。
  2. ^ 前照灯尾灯など
  3. ^ ただし1975年までは排気量2リットルエンジンに適したシャシがないため、スポーツカー用シャシを転用していた。
  4. ^ ロードスターにもクーペと同様のウィンドシールド寸度と左右ドアが求められた。

参考文献編集

  • La Fédération Internationale de l'Automobile, Annexe J au Code Sportif International 1966, Paris: Fédération Internationale de l'Automobile, 1966.
  • La Fédération Internationale de l'Automobile, FIA Annuaire du Sport Automobile | Year Book of Automobile Sport 1976, Paris: Fédération Internationale de l'Automobile, 1976.
  • La Fédération Internationale de l'Automobile, Annuaire du Sport Automobile | Year Book of Automobile Sport '82, Paris: Fédération Internationale de l'Automobile, 1982.
  • The Sports Car Club of America, General Competition Rules 1965 edition, Westport, Connecticut: Sports Car Club of America, 1965.