交響曲第6番 (プロコフィエフ)

プロコフィエフ作曲の交響曲

交響曲第6番 変ホ短調 作品111は、セルゲイ・プロコフィエフ1947年に作曲した3楽章から成る6番目の交響曲である。

概要 編集

1945年1月交響曲第5番が初演された翌年の1946年から1947年にかけて、モスクワ西部のニコリーナ・ゴーラという村の別荘で、しだいに重くなる病とたたかいながら作曲した。 初演に際してプロコフィエフはこの曲についてこう解説した。

第1楽章は時に叙情的、時に厳しいが、総体的に動揺興奮している。緩徐楽章はより明るく旋律的。急速な長調の終楽章は第1楽章の厳しい部分の回想を除いては、交響曲第5番の性格に近い。

また、プロコフィエフの伝記を書いたイスラエル・ネスティエフとの談話において、プロコフィエフは戦争の影響をうちあけている。

現在われわれは大勝利に酔っているが、誰しも癒すことのできない傷を負っている。ある人は最も親しい者たちを失い、またある人は健康を害している。こういうことは忘れてはならないのだ。

戦争の悲劇と犠牲を内面的に描き、難解で密度の高い作品となっている。友人のミャスコフスキーはこの曲について、3度聴くまで理解できなかったことを告白している。

初演では成功を収めた本作品だが、1948年になるとジダーノフ批判にさらされることになり、「形式主義的過ちを犯した作品」とのレッテルを貼られ、長い間演奏される機会を失うことになった。

初演 編集

1947年10月11日にレニングラード(現サンクトペテルブルク)でムラヴィンスキーの指揮によって行われた。ムラヴィンスキーがプロコフィエフの新作初演をしたのは、この時が初めてだった。

曲の構成 編集

3楽章から構成され、演奏時間は約40分から45分。

第1楽章 アレグロ・モデラート(Allegro moderato)
変ホ短調、8分の6拍子、ソナタ形式。第1主題は再現しない。
第2楽章 ラルゴ(Largo)
変イ長調、4分の4拍子、ソナタ形式。展開部が推移的中間部の様相を呈しており、再現部では主題が提示部とは逆の順番で再現され、コーダが序奏に基づくのでアーチ状の構造になる。
第3楽章 ヴィヴァーチェ(Vivace)
変ホ長調、4分の2拍子、ソナタ形式。展開部がない代わりに、再現部に展開的発展が含まれる。第2主題再現後、コーダの前に第1楽章第2主題の回想が挿入される。

楽器編成 編集

ピッコロフルート2、オーボエ2、イングリッシュホルン小クラリネット(E♭管)クラリネット2、バスクラリネットファゴット2、コントラファゴットホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバティンパニトライアングルウッドブロックタンバリン小太鼓シンバル大太鼓タムタムピアノハープチェレスタ弦五部

外部リンク 編集