交響曲第69番 ハ長調 Hob. I:69 は、フランツ・ヨーゼフ・ハイドン1775年から76年頃に作曲した交響曲。『ラウドン将軍』(あるいは『ラウドン』、Laudon)の愛称で知られる。

交響曲第69番の愛称の由来となったエルンスト・ギデオン・フォン・ラウドン将軍の肖像画

愛称の由来 編集

愛称の『ラウドン将軍』とは、七年戦争オーストリアを優勢に導いたエルンスト・ギデオン・フォン・ラウドン将軍を指す。この愛称はウィーンの出版社であるアルタリア社が、1784年にヴァイオリン・クラヴィーア用の編曲譜を出版したときに加えたものであるが、ハイドンはこの愛称を承認していた[1]。ハイドンはアルタリア社宛ての手紙の中で「フィナーレの第4楽章はピアノでは演奏不可能で、楽譜に含める必要はないと思います。“ラウドン”の名は10のフィナーレよりも販売に役立つでしょう」と書いている[2]

楽器編成 編集

オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ティンパニ弦五部

曲の構成 編集

全4楽章、演奏時間は約25分。トランペットとティンパニを含む明るく賑やかな作品であり、ハイドンの交響曲の中では比較的単純である。

  • 第3楽章 メヌエット - トリオ
    ハ長調、4分の3拍子。
     
     
    曲の途中で3拍目にアクセントが置かれる箇所がある。トリオはオーボエとヴァイオリンがユニゾンで旋律を奏でる。
  • 第4楽章 フィナーレ:プレスト
    ハ長調、4分の2拍子、ロンドソナタ形式[3]
     
    弦楽器で始まり、トランペットとティンパニが軍楽風の音楽を加える。途中で短調に転じ、激しく展開する。

脚注 編集

  1. ^ 大宮真琴『新版 ハイドン』音楽之友社〈大作曲家 人と作品〉、1981年、179頁。ISBN 4276220025 
  2. ^ H.C. Robbins Landon (1959). The Collected Correspondence and London Notebooks of Joseph Haydn. London: Barrie and Lockliff. p. 41 
  3. ^ デッカ・レコードのハイドン交響曲全集第9巻、ジェームズ・ウェブスター英語版による解説。1999年

外部リンク 編集