宇治駅 (京阪)

日本の京都府宇治市にある京阪電気鉄道の駅
京阪宇治から転送)

宇治駅(うじえき)は、京都府宇治市宇治乙方にある、京阪電気鉄道宇治線。宇治線の終着駅である。駅番号はKH77

宇治駅
駅舎(2007年10月)
うじ
Uji
KH76 三室戸 (0.4 km)
地図
所在地 京都府宇治市宇治乙方18-5
北緯34度53分40.5秒 東経135度48分22.81秒 / 北緯34.894583度 東経135.8063361度 / 34.894583; 135.8063361座標: 北緯34度53分40.5秒 東経135度48分22.81秒 / 北緯34.894583度 東経135.8063361度 / 34.894583; 135.8063361
駅番号 KH  77
所属事業者 京阪電気鉄道
所属路線 宇治線
キロ程 7.6 km(中書島起点)
電報略号 宇(駅名略称方式)
駅構造 地上駅
ホーム 1面2線
乗車人員
-統計年度-
(全日) 1,951人/日(降車客含まず)
-2022年-
乗車人員
-統計年次-
(特定日) 1,962人/日(降車客含まず)
-2021年-
開業年月日 1913年大正2年)6月1日
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西日本旅客鉄道(JR西日本)に同名の駅があることから便宜上、京阪宇治駅と呼ばれることが多い[注 1]。なお、両駅間は宇治川を挟んで、約850 mの距離がある。

休日には観光客で賑わう。また、時期によっては混雑するため駅前ロータリーに臨時の切符売場が設けられる。

歴史 編集

開業時からの駅は大部分が国鉄・JR奈良線の南側に位置しており、改築直前の時点では2線路を凹型に抱き込む形状の6両編成に対応したプラットホームを持つ駅で改札口を出るとすぐ宇治橋、またホームの上を奈良線の鉄橋が跨いでいた。1991年平成3年)12月、駅前を通過している京都府道7号京都宇治線の拡幅[注 2]にともなう用地確保およびバスターミナル整備のため駅の移設工事が開始され、1995年(平成7年)6月に新駅を使用を開始。線路の全てが奈良線の北側に移転したほか、駅舎および駅ビルは奈良線の南北にまたがって設置された(詳細は後述)。

また、1914年(大正3年)から宇治線でも貨物輸送が開始され宇治駅の3番線で貨物の受け渡しがされた[1]が、1960年代に廃止されている。

駅の属する自治体は、宇治郡宇治村東宇治町→宇治市と変わっている[注 3]

かつては京都方面からの直通列車が終日にわたって設定されていた。また、観光シーズンにおける大阪方面からの臨時直通列車として、昭和40年代には6連の列車が設定されていたほか、1998年(平成10年)11月から1999年(平成11年)秋にかけては「宇治快速」が運転されていた。

駅移設および整備状況 編集

現駅舎は1991年(平成3年)12月より移設工事が進められ1995年(平成7年)6月17日に旧駅から切り替えて使用を開始した[2]。円を基調とした駅舎は南海の特急ラピートのデザインも手がけた建築家、若林広幸の設計によるもので、1996年(平成8年)に私鉄の駅としては初めてとなるグッドデザイン賞を受賞している[3]。2005年12月には改修工事が行われ、駅名表示板が従来の銀色から青色に付け替えられた。なお、現駅は旧駅に比べて180 m三室戸方へ後退し、営業キロも変更されている[3]。また、この移設に伴い旧駅跡に駅前ロータリーやバスターミナル・タクシー待機場を備える駅前広場も設けられた。

さらに、駅ビルの建設と駐輪場の設置が進められた[2]。1996年(平成8年)12月、駅前に駅コンコースと商業施設が入る「京阪宇治ビル」の建設が本格的に開始され、翌年(1997年(平成9年))8月5日に開業した。入口には巨大なステンドグラス障壁画「飛翔」が飾られているほか、当初は2階に旧・京阪宇治交通の「リムジンセンターU-ハウス京阪宇治」などが入居していた。同センターは2002年(平成14年)に廃止されたが、その跡地には学習塾の京進が入居している。

年表 編集

駅構造 編集

頭端式ホーム1面2線を持つ地上駅[2]、終点には油圧式車止めが設置されている。駅舎および改札口はホーム頭端部にある。改札口は1か所。コンコースは半地下部分にある[2]

のりば 編集

番線 路線 行先
1・2 宇治線 中書島方面[11]
付記事項
  • 当駅からの列車はすべて中書島駅までの運転のため、京阪本線と京都・大阪市内に向かう旅客は同駅で乗り換える必要がある。
  • ホーム有効長は5両。大半の列車は2番線から発車する。なお、1番線は平日の朝ラッシュ時と夜間のみ、土曜・休日は1日1本のみそれぞれ使用される。
  • 発車メロディが使用されているが、列車の設定がなく実際には使用されていない特急用の設定もある[注 4]

利用状況 編集

2009年11月10日の乗降人員は5,353人だった[12]。近年の利用客数は以下の通りである[12][13]

年度 調査日
乗降人員
1日平均
乗車人員
2001年 6,461 3,408
2002年 5,507 2,879
2003年 5,526 2,995
2004年 5,902 3,063
2005年 5,529 2,841
2006年 5,299 2,830
2007年 6,061 2,809
2008年 5,816 3,022
2009年 5,353 2,797
2010年 2,989
2011年 2,773
2012年 2,696
2013年 2,838
2014年 3,578
2015年 3,320
2016年 2,532
2017年 2,800
2018年 2,838
2019年 2,560
2020年 1,685
2021年 1,542
2022年 1,951

駅周辺 編集

 
当駅の南西に国鉄(現:JR西日本)の宇治駅がある(茶色のピンは宇治橋)

国鉄(現:JR西日本)の奈良線にも宇治駅があるが、宇治橋宇治川を渡り、南西に離れた場所にある[注 5]

近隣は民家が多く建つが、教育機関源氏物語博物館がある。仏徳山(大吉山)や朝日山は駅から南東へ離れた所にそびえており、その付近には水力発電所がある。

バス路線 編集

駅前ロータリーとその付近に「京阪宇治駅」停留所があり、京都京阪バスの路線が発着する。観光シーズンは三室戸寺などへ向かう臨時バスを運行することがある。当停留所には宇治徳洲会病院などへ向かう送迎バスも発着する[14]。かつては宇治川沿いを経由して石山駅滋賀県大津市)まで運行する便もあった。

京都京阪バス

(のりば案内:[16]、路線図:[17]

その他 編集

  • 京阪線[注 6]では、路線が通る市である自治体の中心部に位置する駅の名称は「自治体名+市」と表記する法則となっており[注 7]、当駅はこの法則によらない唯一の駅であったが、2019年に八幡市の中心駅も八幡市駅から石清水八幡宮駅に改称されている。現在でも、市をつけずに自治体名のみを表記する駅名としては唯一である[注 8]。なおこの法則は京阪電鉄の系列であった新京阪鉄道が建設した現在の阪急京都本線の大阪府内においても同じことが言える[注 9]
  • 交通新聞社発行の『JR時刻表』や『コンパス時刻表』の巻頭地図では、正式名称ではない「京阪宇治」という表記が2011年1月現在も用いられている。かつては、便宜上、会社名を付記し正式名称ではない駅名を表記する事例が少なくなかった[注 10]が、近年はほぼ全ての駅が正式名称で表記されている中で当駅は数少ない例外である[注 11]
  • 当駅はアニメ[注 12]響け! ユーフォニアム』の舞台となった地の1つであり、同作品と京阪電気鉄道のコラボレーション企画が開催される時は当駅のホーム[18]または駅付近[19]を描いたイラストを使用することがある。

隣の駅 編集

京阪電気鉄道
宇治線
三室戸駅 (KH76) - 宇治駅 (KH77)
  • 括弧内は駅番号を示す。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 同様に、JRの駅はJR宇治駅と呼ばれることがある。
  2. ^ 宇治橋の移設架け替えなどを含む。
  3. ^ 奈良線宇治駅の所在地は、宇治市発足以前は久世郡宇治町だった。
  4. ^ 『京阪電車 発車メロディ collection』に収録されている。
  5. ^ 1951年(昭和26年)の宇治市発足以前、当駅の立地する自治体が宇治郡宇治村(後の東宇治町)であったのに対し、国鉄(現:JR西日本)の宇治駅は久世郡宇治町であった。
  6. ^ 京阪本線および鴨東線・宇治線・交野線中之島線の総称。詳しくは、京阪本線を参照。
  7. ^ 例:守口市駅枚方市駅など。
  8. ^ 京都市・大阪市および現存しない自治体を除く。
  9. ^ 例:茨木市駅高槻市駅など。阪急のほかの路線では見られない。
  10. ^ 周遊指定地接続駅の表記と合わせたり、国鉄との連絡運輸において国鉄の同名駅と区別するといった理由であったとされる。
  11. ^ ほかには阪急電鉄宝塚駅が「阪急宝塚」と表記されている。
  12. ^ (同作品の原作は小説であるが、それにも当駅が登場する)

出典 編集

  1. ^ a b 参考文献:『鉄道ピクトリアル』2009年8月増刊号のP145-147より、他にも「宇治・御陵前(桃山南口)・中書島に設備があった」との記事あり。『京阪百年のあゆみ』資料編184頁の年表「大正3年9月5日宇治線で貨物輸送を開始」と記述
  2. ^ a b c d e “京阪が一部区間値下げ 宇治駅移転で17日から”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1995年6月13日) 
  3. ^ a b c 開業90年記念誌 120-121頁
  4. ^ a b c 出典・『京阪百年のあゆみ』資料編146頁
  5. ^ 開業90年記念誌 222頁
  6. ^ 出典・「くらしの中の京阪」1996年2月号[出典無効]
  7. ^ 宇治線開業100周年記念イベントを開催京阪公式ホームページより
  8. ^ 出典・駅置きの広報誌「K PRESS」2016年10月号の16頁『くらしのなかの京阪』より
  9. ^ 出典・駅置きの広報誌「K PRESS」2017年10月号の16頁『くらしのなかの京阪』500号より
  10. ^ 京阪電車 4駅に 外貨両替機設置 楽天infoseekニュース 12月30日閲覧 
  11. ^ 中書島駅|駅構内図”. 京阪電気鉄道. 2022年9月19日閲覧。
  12. ^ a b 『京阪百年のあゆみ』資料編104頁「駅別乗降人員の推移」
  13. ^ 第10章 運輸・情報通信・観光 10-1.鉄道乗車人員」『京都府統計書https://data.bodik.jp/dataset/260002_tokeisyo1001 
  14. ^ 無料送迎バス(京阪宇治駅・JR宇治駅方面)”. 宇治徳洲会病院. 2023年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月15日閲覧。 “(※アーカイブ出典は2023年8月時点の運行時刻)”
  15. ^ a b お茶の京都エリアの観光名所を巡るバスの旅 『お茶の京都 宇治やんたんライナー』を運行します” (PDF). NEWS RELEASE. 京都京阪バス (2023年9月19日). 2023年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月15日閲覧。
  16. ^ 京阪宇治駅”. のりば案内. 京都京阪バス. 2023年12月15日閲覧。
  17. ^ 京都京阪バス路線図 京阪バス(六地蔵地区)路線図” (PDF). 京阪バス. 2023年12月15日閲覧。
  18. ^ 京阪電気鉄道広報部 (2023年2月28日). “〜宇治が舞台のアニメ「響け!ユーフォニアム」とのコラボレーション企画〜 「宇治市×京阪電車 響け!ユーフォニアム コラボレーションフェスタ 2023」を お茶と宇治のまち歴史公園にて3月19日(日)に開催します” (PDF). 京阪電気鉄道. 2023年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月15日閲覧。
  19. ^ 京阪電車×響け!ユーフォニアム 2023”. 京阪電気鉄道 (2023年). 2023年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月15日閲覧。

参考文献 編集

  • 『開業90周年記念 街をつなぐ、心をむすぶ』京阪電気鉄道株式会社、2000年10月1日。 

関連項目 編集

外部リンク 編集