人間革命(にんげんかくめい)は、新興宗教団体創価学会の第2代会長戸田城聖によって唱えられた宗教思想[注 1]。また、この思想をテーマとして、創価学会の歴史と戸田の生涯を描いた長編小説。創価学会の教学上重要な文献とされ[1]、同名誉会長(第3代会長)池田大作の代表的著作でもある[1]

『人間革命』は1965年に聖教新聞で連載を開始し[2]、続編『新・人間革命』は2018年に同紙で完結した[3]

本項では、戸田城聖が1951年の同紙創刊号で連載を開始し、1954年に完結した同名の小説『人間革命』(後に『小説 人間革命』と改題)についても併せて紹介する。

小説編集

小説としての『人間革命』は、創価学会第2代会長戸田城聖の創価教育学会再建から戸田の死、山本伸一(池田大作)の第3代会長就任までを描いている。全12巻。『新・人間革命』は、山本伸一(池田大作)の創価学会第3代会長就任から宗門であった日蓮正宗との決別までを描いている。全31巻。

戸田城聖による同名の小説人間革命』と、池田大作による同名の小説『人間革命』(英語題:"The Human Revolution")で、いずれも『聖教新聞』に連載された。戸田版は創価学会草創期のエピソードを、池田版は創価学会再建期からのエピソードなどを小説化したものである。

聖教新聞社によれば、池田版『人間革命』とその続編『新・人間革命』(英語題:"The New Human Revolution")は、2018年9月8日の連載終了時点で7978回(『人間革命』1509回、『新・人間革命』6469回)に及んでいる[4]。日本の新聞小説の連載回数としては山岡荘八の『徳川家康』を上回り、史上最長とされた[3]

池田版には川端龍子三芳悌吉による挿絵がある[5]

成立過程編集

戸田城聖は「妙 悟空(みょう ごくう)」という筆名のもと、1951年から『聖教新聞』に『人間革命』を連載して1954年に完結した。1957年に単行本が刊行され[6]、1988年に『戸田城聖全集』の第8巻に収録された[7]。これを引き継ぐ形で、池田大作が「法 悟空(ほう ごくう)」という筆名のもと、1965年から『聖教新聞』に『人間革命』を連載した[1]

戸田版は1951年4月20日(『聖教新聞』創刊号)から1954年8月1日までの3年4カ月、池田版は1965年1月1日から1993年2月11日まで幾度の休筆を挟みながら28年1カ月強連載された。その後、1993年11月18日から2018年9月8日まで続編の『新・人間革命』が24年10カ月弱連載された。戸田版『人間革命』では戸田は主人公の「巌 九十翁(がん くつお)」、創価学会初代会長牧口常三郎は「牧田城三郎(まきた じょうざぶろう)」(後の版では実名に改めている)で登場する。池田版『人間革命』と『新・人間革命』に牧口と戸田は実名で登場するが、池田は「山本伸一」の名で登場する[1]。『新・人間革命』の単行本の最終巻となった第30巻は、上下巻として刊行された[8]ため、単行本は実質的には全31巻となった。これは、単行本の第1巻の前書きで「全30巻を予定している」と記したものの、第30巻が1冊で収まらなくなる程の量となったためである。

創価学会によれば、一部の原稿については池田の直筆原稿ではなく、池田の妻香峯子による口述筆記やテープレコーダーに収録する形式で執筆されていた[9]

戸田には他にまとまった著作がないため、『(戸田版)人間革命』が代作であった可能性を島田裕巳は示唆する[6][10]

現在刊行されている池田版『人間革命』は、『池田大作全集』(全150巻に及ぶ世界最大級の個人全集とされる)に所収(第144~第149巻に収録。全12巻を6巻に再編し、2012年9月から2013年7月まで刊行)される際に、創価学会執行部から『新・人間革命』との齟齬の解消や読みやすさを求められた事を受けて[要出典]池田自らが推敲を重ねた第2版で、宗門関係や歴史の記述を中心に表現・表記の修正が行われている[要出典]。また、この第2版は単行本としては刊行されず、文庫(聖教ワイド文庫)版での刊行とし、全12巻を2012年12月から2013年12月にかけて刊行されている。

受容編集

『人間革命』は創価学会の教学上重要な文献とされ[1]、1977年1月の第9回教学部大会での講演「仏教史観を語る」で、第3代会長池田大作は自らの『人間革命』を日蓮遺文を集めた御書(創価学会が刊行している「新編 日蓮大聖人御書全集」をさす)に匹敵する書物として位置付けた[11]。創価学会で教学部に任用され「講師」となろうとする人には日蓮の遺文に加え、『人間革命』を理解することが求められた[12]

聖教新聞社によれば、2018年時点で、『人間革命』と『新・人間革命』を合わせた累計発行部数は5400万部、『新・人間革命』だけでも2400万部に達する[13]

映画編集

人間革命
監督 舛田利雄
脚本 橋本忍
製作 田中友幸
出演者 丹波哲郎
音楽 伊福部昭
撮影 西垣六郎
配給 東宝
公開 1973年
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 13億円[14]
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続・人間革命
監督 舛田利雄
脚本 橋本忍
製作 田中友幸
出演者 丹波哲郎
音楽 伊部晴美
撮影 西垣六郎
配給 東宝
公開 1976年
製作国 日本
言語 日本語
配給収入   16億700万円
(1976年邦画配給収入1位)[15]
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1973年9月8日、『人間革命』のタイトルで東宝と創価学会系のシナノ企画の共同製作で映画化された。1976年にほぼ同じスタッフ・出演者で『続・人間革命』が公開されている。

1973年の観客動員数では、『日本沈没』に次ぐ第2位となった。2006年にシナノ企画からDVDが発売されている。

2018年10月〜11月にかけ、スカパー!日本映画専門チャンネルでテレビ初放送された[16]

人間革命(1973年)編集

スタッフ
キャスト

続・人間革命(1976年)編集

スタッフ
  • 製作:田中友幸
  • 監督:舛田利雄
  • 脚本:橋本忍
  • 原作:池田大作
  • 撮影:西垣六郎
  • 音楽:伊部晴美
  • サントラ盤音楽指揮:岩城宏之
  • 演奏:東京交響楽団、日本プロ合唱団連合
  • 特技監督:中野昭慶
キャスト

劇画編集

劇画・人間革命
ジャンル 劇画
漫画
作者 石井いさみ(原作・池田大作)
出版社 聖教新聞社
掲載誌 聖教新聞
発表期間 1988年 - 2002年
巻数 56冊
テンプレート - ノート

1988年から2002年まで14年間にわたり、『聖教新聞』日曜に『劇画・人間革命』が連載された。

作者は『750ライダー』などの作品で知られる漫画家・石井いさみで、同紙の『ざくろの花』『走れ!!美穂』、小学生文化新聞の『明日に向かって投げろ!!』などで長くコンビを組んでいた聖教新聞社社会部記者、渡辺紀大が「渡あきら」名義で漫画原作を担当している[注 2]

内容は上記の池田大作の小説『人間革命』全12巻を、ほぼ原作通りに劇画化している[注 3]。単行本にすると20ページ分の内容を、『聖教新聞』の1ページ全面に縮刷して掲載していた。

聖教新聞社より全56巻で単行本が刊行されている。

2020年4月24日より、聖教ワイド文庫の第2版に合わせる形で再編集した『劇画・人間革命』第2版を聖教電子版にて配信開始。週2回。

アニメ編集

アニメ人間革命
ジャンル OVA
OVA
監督 勝間田具治
キャラクターデザイン 石井いさみ(原画原案)
アニメーション制作 東映アニメーション
製作 シナノ企画
発表期間 1995年 - 2004年
その他 全20巻
テンプレート - ノート

アニメ人間革命』は、1995年から2004年にかけてOVAとして発表された。全20巻。池田の原作に加え、キャラクターデザインやストーリー展開などは、主に上記の石井いさみの劇画に基づいている。

スタッフ
声の出演
ほか

サブタイトル編集

  1. 黎明(1995年5月)
  2. 地湧(1995年10月)
  3. 新生(1996年5月)
  4. 生命の庭(1996年11月)
  5. 疾風・怒涛(1997年5月)
  6. 烈日(1997年12月)
  7. 驀進(1998年5月)
  8. 飛翔(1998年11月)
  9. 水滸の誓い(1999年5月)
  10. 推進(1999年11月)
  11. 多事(2000年4月)
  12. 展開(2000年11月)
  13. 上げ潮(2001年5月)
  14. 脈動(2001年11月)
  15. 跳躍(2002年5月)
  16. 険路(2002年11月)
  17. 転機(2003年5月)
  18. 夕張(2003年11月)
  19. 大阪・宣言(2004年5月)
  20. 後継(2004年11月)

脚注編集

[脚注の使い方]

脚注編集

  1. ^ 創価学会は「仏法の実践を通して各人が人間革命を成就し、真の幸福境涯を確立する」ことを教義・理念の一環として掲げる(https://www.sokanet.jp/info/kyougi_rinen.html)
  2. ^ 石井は創価学会の会員ではないが、『走れ!!美穂』などを連載していた聖教新聞の記者から贈られた『人間革命』を読んで魅了され、「もし『人間革命』を劇画化するなら絶対に自分がやりたい」と考えていたという[要出典]
  3. ^ 池田名誉会長の原作の第12巻の最終章「新・黎明」のみ劇画では省略されている。

出典編集

  1. ^ a b c d e 島田裕巳 2004, pp. 120-122.
  2. ^ 高橋 篤史 世界的イベントを3月11日に控えた創価学会の「秘史」を明かそう 2018.03.09
  3. ^ a b 日本最長の新聞小説「新・人間革命」完結 作者・池田大作氏の近況は? 2018年09月15日08時00分 J-CAST
  4. ^ 小説「人間革命」「新・人間革命」が連載7000回
  5. ^ 央忠邦 『日本の潮流 創価学会発展の歩み』、1968年1月31日、149頁。 
  6. ^ a b 島田裕巳 2004, p. 45.
  7. ^ 沼田 健哉 創価学会の研究 : 宗教と科学の関係を中心として 総合研究所紀要 22(2), 1-13, 1997-01-31
  8. ^ きょう「2・11」 戸田城聖先生生誕の日 小説「新・人間革命」第30巻を発刊 上・下2分冊 - 2018年2月11日付け聖教新聞1面記事
  9. ^ 執筆開始50周年記念企画 人間革命 - VTR『~恩師の「真実」を後世に~ 小説『人間革命』の執筆』の予告動画付き
  10. ^ 島田裕巳 2004, p. 48.
  11. ^ 島田裕巳 2004, p. 105.
  12. ^ 島田裕巳 2004, pp. 142-146.
  13. ^ 『新・人間革命』第30巻で完結へ/上巻6月、下巻11月刊行/聖教新聞社、出版・書店業界 NEWS、2018年5月2日 18時51分49秒。
  14. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)312頁
  15. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002』キネマ旬報社、2003年、214-215頁。ISBN 4-87376-595-1
  16. ^ 追悼・橋本忍「人間革命」 70年代の日本大作映画の傑作として名高いが、観る機会が限られてきた幻の一作をテレビ初放送(archive版)

参考文献編集

関連項目編集