代表なき国家民族機構

少数民族や国際的承認を得られていない国家、独立運動が活発な地域等が加盟する国際組織

代表なき国家民族機構[1][2][3][4][5][6][7](だいひょうなきこっかみんぞくきこう)、又は、代表権をもたない国民・民族機構[8](だいひょうけんをもたないこくみん・みんぞくきこう)、代表のない民族と人々の機構[9](だいひょうのないみんぞくとひとびとのきこう)、代表権のない国家と民族の組織[10](だいひょうけんのないこっかとみんぞくのそしき)(英語: Unrepresented Nations and Peoples Organization、UNPO)は、代表権を持たずに取り残されている世界中の諸国民・諸人民・諸民族の声を促進し、彼らの基本的人権を擁護するために設立された国際的非暴力民主的な会員制の組織[注 1]である[14]

2015年時点のUNPO参加団体の分布。
  かつての参加団体がある国
  事実上独立した参加団体がある国
  参加団体が1つある国
  参加団体が2つある国
  参加団体が3つある国
  参加団体が4つ以上ある国
UNPOの旗
UNPOのロゴ

概要 編集

UNPOは、自分達の政治的・社会的・文化的な権利を防衛し、環境を保全し、自己決定権を促進するために結集した先住民族少数民族非承認国家被占領領域をその会員とする[14]。UNPO内において代表される全ての諸人民・諸民族は、国内的国際的統治制度における平等な代表権を認められていない、という共通の境遇の下で一致している[14]。その結果、彼らは、国内的・国際的な舞台に参加する機会を制限されており、市民的・政治的な参加の権利を完全に実感するために、そして、経済的・社会的・文化的な発展自治するために、苦闘している[14]。多くのケースにおいて彼らは、暴力抑圧の最悪の形態の支配下にある[14]

UNPOは、全ての会員が署名・締約する定款において以下などを掲げている[15]

沿革 編集

1980年代の終わり、共産主義者による弾圧の下にあった人々の亡命指導者である、エストニア会議英語版レナルト・マル英語版世界ウイグル会議エルキン・アルプテキンチベットのための国際キャンペーン英語版ロディ・ギャリ英語版らにより、ダライ・ラマ14世国際法アドバイザーとして知られるマイケル・ヴァン・ウォルト・ヴァン・プラーグと共に、構想された[14]

1991年2月11日、オランダハーグ平和宮にて、オーストラリアン・アボリジナルアルメニア人クリミア・タタール人コルディリェラ人、東トルキスタンウイグル)人、エストニア人ジョージア(旧・グルジア)人アルバニアにおけるギリシャ人英語版クルド人ラトビア人パラオ人チベット人台湾人タタール人パプア人西パプア)の各々に属する運動の代表者たちによって設立され、その数ヶ月後に、アブハズ人アチェ人アチェ)、アッシリア人ジュマ (Jumma peopleチッタゴン丘陵地帯)、南モルッカ人ブーゲンビル人チェチェン人コソボ人ザンジバル人イラクにおけるトルクメン人らからの代表者たちが合流した[14]

会員 編集

本節の出典は[13]

アジア 編集

オセアニア 編集

アフリカ 編集

アメリカ大陸 編集

ヨーロッパ 編集

かつての会員 編集

本節の出典は[13]

独立国家として国際連合に加盟 編集

アジア 編集

オセアニア 編集

アフリカ 編集

アメリカ大陸 編集

ヨーロッパ 編集

現在のロシア領 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 一般に「国際組織(国際機関)」と呼ぶと、一義的に国際連合(UN)東南アジア諸国連合(ASEAN)などのような政府間組織(複数の国家・各国の政府の連合体)を指す[11]一方、場合・文脈により、国際非政府組織(国際NGO)国際非営利組織(国際NPO)、すなわち、国際オリンピック委員会赤十字国際委員会国境なき医師団世界自然保護基金アムネスティ・インターナショナルグリーンピースなどのような個人がメンバーとして参加する国際的に活動する非政府組織(NGO)非営利団体(NPO)、或いは、国際赤十字赤新月社連盟国際人権連盟国際学術会議などのような(国際的ないし各国内で活動する)複数のNGO・NPOの国際的な連合体[12]の意味で使用されることもある。
    が、UNPOは、
    1. ガンデンポタンのような、自国領を脱出した亡命政府
    2. 世界ウイグル会議のような、ディアスポラ状態にある民族グローバルな代表団体(Category:ディアスポラ代表団体英語版も参照)。
    3. アチェ・スマトラ民族解放戦線オガデン民族解放戦線オゴニ民族生存運動のような、かつて武装闘争も経験した武装勢力だった組織も含む、民族解放運動先住民族権団体英語版先住民族権英語版)。
    4. ソマリランド共和国政府やアブハジア共和国政府のような、事実上の独立を達成しているものの、国際的な国家の承認が不十分で、国際連合にも未加盟政府
    5. 台湾民主基金会のような、上述と同様の政府(中華民国台湾)が設立した、非党派・非営利団体・財団法人・シンクタンク
    6. アメリカ合衆国議会に投票権のある議員の選出を認められていないアメリカ合衆国首都アメリカ合衆国下院の投票権のないメンバー英語版も参照)である、ワシントンD.C.市政府も後援する、州昇格運動英語版
    など様々な異なる地位の会員から構成される[13]
  2. ^ 自主(自主性)・自律(自律性)・自立(自立性)・自治そのもの、或いは、その権利である自主権・自律権・自治権自己決定権などを指す、広範かつ多義的な概念であることから、出典の英文に従う。
  3. ^ 典型的な事例として、イギリスにおける権限委譲を参照。
  4. ^ 「権力共有」、「権力分有」、「権力分掌」、「権力分担」、「権限分割」などの日本語訳がある。
  5. ^ アイデンティティ政治も参照。

出典 編集

  1. ^ 国際会議:596実験から50年:「東トルキスタンにおける中国の核計画とその今日への衝撃」”. 世界ウイグル会議 (2012年2月22日). 2019年10月7日閲覧。
  2. ^ マルコ・レスピンティ (2019年8月3日). “中国が国連の人権機構を脅し、妨害する手法”. BITTER WINTER. 2019年10月7日閲覧。
  3. ^ 「番外編」世界旗章図鑑”. 彩流社. 2019年10月7日閲覧。
  4. ^ 英国内務省(法務省入国管理局訳) (2017年11月). “国別方針及び指針書 エチオピア:オロモ人、「オロモの抗議」など”. p. 17. 2019年10月7日閲覧。
  5. ^ 国家なき民族”. TBSラジオ (2019年10月31日). 2020年5月11日閲覧。
  6. ^ トーチョグ・エンフバト (2015年7月). “南モンゴルに関する決議案 UNPO総会で提案”. SMHRIC. 2020年5月11日閲覧。
  7. ^ 大林一広、飯田連太郎、ルイス ジョナサン「政治的暴力と語り : 内戦、議会、自動内容分析」『一橋法学』第14巻第2号、一橋大学大学院法学研究科、2015年7月、845-869頁、doi:10.15057/27408ISSN 1347-0388NAID 120005646665 
  8. ^ Lucy Westcott「民族消滅に近づくイラクの少数派」『ニューズウィークニューズウィークCCCメディアハウス、2016年7月6日。2020年5月25日閲覧。
  9. ^ 酒井啓子「論文 イラクにおけるトルコマン民族 -- 民族性に基づく政党化か,政党の脱民族化か」『アジア経済』第48巻第5号、日本貿易振興機構アジア経済研究所、2007年5月、21-48頁、ISSN 00022942NAID 120006225904 
  10. ^ 荒川麻里「カメルーン共和国の教育制度と開発援助の現状」『教育制度研究紀要』第8号、筑波大学教育制度研究室、2013年2月、1-12頁、NAID 120005246607 
  11. ^ Appel, Benjamin J. (January 2018). “Intergovernmental Organizations and Democratic Victory in International Crises”. The Journal of Politics 80 (1): 274-287. doi:10.1086/694256. 
  12. ^ Ahmed, Shamima; Potter, David M. (2006). NGOs in international politics. Bloomfield, CT: Kumarian Press. ISBN 9781565493469. OCLC 732955747 
  13. ^ a b c "Members". Unrepresented Nations and Peoples Organization (英語). 2020年5月11日閲覧
  14. ^ a b c d e f g unpo About UNPO”. UNPO. 2020年5月24日閲覧。
  15. ^ a b c d e f g unpo UNPO Covenant”. UNPO. 2020年5月24日閲覧。
  16. ^ unpo Taiwan”. UNPO (2018年7月19日). 2020年6月1日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集