仮想通貨(かそうつうか、英語: virtual currency)は、米ドルユーロ日本円などの通貨に対して、特定の国家による価値の保証を持たない貨幣のこと。

2018年現在、ビットコイン等に代表される、暗号理論を用いて電子的に発行される通貨(=暗号通貨)が広く知られている。

電子マネーは特定の信用のある、または法的に信用強制された企業等が管理する代用貨幣であるが、仮想通貨は一定のコミュニティの間で特別な限定なく広く交換される貨幣と言う点で異なる。

目次

定義編集

仮想通貨の代表格である暗号通貨は、中央集権的な管理権威を持たないのが特色であるが、一方で通貨の管理権威である主体による定義付けは以下のようになっている。

  • 2012年、ヨーロッパ中央銀行は「未制御だが、特殊なバーチャルコミュニティで受け入れられた電子マネー」と定義。[1]
  • 2013年、米国財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は「本物のお金」の対義語と位置づけ、どの司法組織においても法定通貨としての価値を持たないものとして、ガイダンスを発表した。[2]
  • 2014年、欧州銀行監督局は仮想通貨を「デジタルな価値の表現で、中央銀行や公権力に発行されたもの(不換紙幣を含む)でないものの、一般の人にも電子的な取引に使えるものとして受け入れられたもの」と定義付けた。[3]

日本では、2016年に成立、2017年4月に施行された改正資金決済法第2条第5項で、「仮想通貨」は、

  • 「物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」又は
  • 「不特定の者を相手方として相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」

と定義された[4]

分類編集

ヨーロッパ中央銀行の定義[1]に基づく分類 物的貨幣 デジタル貨幣
貨幣暗号化なし 貨幣暗号化あり
法的規制[5] 規制なし 集中管理[6] クーポン商品券など) ネットクーポン[7]

電子マネー

地域通貨

地域振興券[8]

証券債券など

集中管理型仮想通貨
分散協調[9] 実物貨幣 Steller、Ripple 分散型暗号通貨
規制あり[10] 銀行券政府紙幣など

硬貨

預金[11]

(背景が緑のセルは(広義の)仮想通貨を示す)

歴史編集

仮想通貨の概念自体はアメリカで1995年には上院で言及されており[12]、1999年には一部の仮想通貨は存在していた[13]。しかしその発達は電子マネーやソーシャルゲームとともにあり、仮想通貨という表現も2009年ごろにできたものである[14]

2017年12月3日、原油確認埋蔵量世界1位[15]で経済危機に陥っているベネズエラニコラス・マドゥロ大統領は石油天然ガスなどの資源で裏付けられた仮想通貨の「ペトロ」を導入することを発表し[16]、1月5日に1億単位が発行された[15]。国家が発行する仮想通貨という点では世界初である[17]


通常の通貨との関係編集

仮想通貨を入手する場合、取引所に口座を開設して、通常の通貨(法定通貨)との交換を行う形になる。

通常、通貨は国家中央銀行)によって発行され価値を保証されているが、国家(中央銀行)の経済政策による価値の変動リスクは常に伴っている。 一方仮想通貨は、利用者による仮想通貨自身への信用によってのみ価値が保証されているので、価値の変動を主導するのは利用者である。

現時点では日本では給与の支払い[18]税金の納付は日本円で行う必要があるので、保有している仮想通貨は日本円に交換する必要がある。

日本では、仮想通貨と法定通貨を交換する取引所について、先述の資金決済法の改正で「仮想通貨交換業」として、金融庁への登録が必要になった[4]

問題点編集

仮想通貨には、日本円や米ドルなどの法定通貨のような手形交換所がないが、登録仮想交換業者は存在している。決済記録に関する義務の規定がないが、ブロックチェーン技術によって衆人環視で誰もが自由に閲覧が可能である。俗に、ブロックチェーンの技術的特徴が法の抜け穴とも言われるが、技術的な知識の欠けた誤解である。

他には以下の様な問題点が指摘されている。[19]ブロックチェーンはこれらの原因になりうる。

  • 利用者に対する価値の保証が無い。
  • 51%攻撃による取引記録の改ざんの恐れがある。(ビザンチン将軍問題)
  • 闇市場を生みやすい。
  • 課税の逃げ道になる。
  • 資金洗浄に利用される。
  • いわゆる「セミナー商法」による、投資詐欺の可能性[20]仮想通貨を否定的に説明する物とは別次元である。詐欺への注意喚起公報
  • 仮想通貨と法定通貨とを交換する取引所の管理体制の甘さ[要出典][21]出典1記事引用のみで断言は根拠不足

種類編集

600種類を超える仮想通貨が存在し、それらの推定時価総額は2016年4月時点で約80億ドルである[22]


関連項目編集

外部リンク編集

出典編集

  1. ^ a b European Central Bank (October 2012). “1” (PDF). Virtual Currency Schemes. Frankfurt am Main: European Central Bank. p. 5. ISBN 978-92-899-0862-7. オリジナルの2018-02-04時点によるアーカイブ。. http://www.ecb.europa.eu/pub/pdf/other/virtualcurrencyschemes201210en.pdf. 
  2. ^ FIN-2013-G001: Application of FinCEN's Regulations to Persons Administering, Exchanging, or Using Virtual Currencies”. Financial Crimes Enforcement Network. pp. 6 (2013年3月18日). 2018年2月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年5月29日閲覧。
  3. ^ EBA Opinion on ‘virtual currencies (PDF)”. European Banking Authority. pp. 46 (2014年7月4日). 2018年2月4日閲覧。
  4. ^ a b 林賢治 (2017年1月27日). “現役弁護士による仮想通貨(暗号通貨)に関する資金決済法改正についての概要”. ブロックチェーンビジネス研究会. 2018年2月4日閲覧。
  5. ^ 国家もしくはその地の統治主体などによる価値の保証、および/または強制通用力の有無のことを言う。法的規制の有無ではない。
  6. ^ 発行主体がしばしば法令により限定的な価値の保証について有限責任を負う。
  7. ^ 例えば:iTunesコード、Amazonギフトコードなど
  8. ^ ただし政府保証(交付財源の保証)はあると言う特殊なクーポンだった
  9. ^ 発行、価値の保証のいずれも分散的、相対的であり、責任主体はない。よってその貨幣の価値も相対的となる。
  10. ^ 国家などまたは中央銀行により価値が保証される。しかし失敗国家、失敗経済(ハイパーインフレ)などにより価値を減失する。
  11. ^ 現在、銀行などにおいてもデジタル技術により台帳管理されている。デジタル化以前は通帳も大型で有印証券扱いであった。
  12. ^ SUBCOMMITTEE ON DOMESTIC AND INTERNATIONAL MONETARY POLICY. “The Future of Money”. Congressional Hearing. Internet Archive. 2014年5月27日閲覧。
  13. ^ Samuelson, Kristin (2011年11月13日). “The ins and outs of Bitcoin. Does the latest digital currency have staying power?”. Chicago Tribune. オリジナル2012年1月27日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120127141540/http://articles.chicagotribune.com/2011-11-13/business/ct-biz-1113-outside-opinion-bitcoin-20111113_1_virtual-currency-digital-wallet-second-life 
  14. ^ Sutter, John D. (2009年5月19日). “Virtual currencies power social networks, online games”. CNN. http://www.cnn.com/2009/TECH/05/18/online.currency/index.html?eref=rss_tech 
  15. ^ a b “ベネズエラが仮想通貨発行 「ペトロ」、1億単位”. 産経新聞. (2018年1月6日). http://www.sankei.com/economy/news/180106/ecn1801060017-n1.html 2018年1月6日閲覧。 
  16. ^ “ベネズエラ、原油価格表示を人民元に”. ロイター. (2017年12月3日). https://jp.reuters.com/article/venezuela-crypto-currency-idJPKBN1DY0AL 2018年1月4日閲覧。 
  17. ^ “ベネズエラ政府が独自の仮想通貨「Petro」を法令で発行”. Coin Choice. (2018年1月6日). https://coinchoice.net/venezuela_crypto_petro/ 2018年1月6日閲覧。 
  18. ^ 労働基準法第二十四条 賃金の通貨払いの原則、日本銀行法第四十六条 日本銀行券の発行
  19. ^ クローズアップ現代”. 2015年5月29日閲覧。
  20. ^ “知人からの勧誘、セミナーでの勧誘による仮想通貨の購入トラブルにご注意-「必ず儲(もう)かる」という言葉は信じないで!” (プレスリリース), 国民生活センター, (2013年3月30日), http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170330_1.html 2018年2月5日閲覧。 
  21. ^ “甘い管理体制、流出招く 仮想通貨市場に冷水”. 日本経済新聞. (2018年1月28日). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26239430X20C18A1EA2000/ 2018年2月4日閲覧。 
  22. ^ a b c d e f g 仮想通貨 かそうつうか virtual currencydigital currencycrypto-currency”. 日本大百科全書. 小学館. 2018年1月5日閲覧。
  23. ^ 国税庁 法人番号 : 8010005022989
  24. ^ 国税庁 法人番号 : 1120005017340
  25. ^ 国税庁 法人番号 : 2010405012430
  26. ^ 国税庁 法人番号 : 9010005025074