佐伯 富(さえき とみ、1910年11月6日 - 2006年7月5日)は、日本東洋史学者。専門は、宋代より清代に至る中国近世史。学位は、文学博士京都大学名誉教授。

佐伯 富
人物情報
生誕 1910年11月6日
日本の旗 日本 香川県三豊郡荻原村(現:観音寺市大野原町)
死没 (2006-07-05) 2006年7月5日(95歳没)
国籍 日本の旗 日本
出身校 京都帝国大学文学部史学科
学問
研究分野 東洋史学宋代から清代に至る中国近世史
研究機関 東方文化学院京都研究所
京都大学
山口高等商業学校
大谷大学
博士課程指導教員 宮崎市定
学位 文学博士
称号 京都大学名誉教授
主な受賞歴 勲三等旭日中綬章(1983年)
日本学士院賞恩賜賞(1989年)
脚注
海外の東洋学者との学術交流にも努めた。
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来歴・人物 編集

香川県三豊郡萩原村(現:観音寺市大野原町)出身。旧制香川県立三豊中学校、旧制第六高等学校を経て、京都帝国大学文学部史学科卒業。

第六高等学校に進学後、生涯にわたって薫陶を受ける宮崎市定と出会う。1931年(昭和6年)京都帝国大学文学部に入学、東洋史を専攻する。再び六高から転任していた宮崎の指導を受ける。

1956年(昭和31年)「清代塩政の研究」で学位取得。1957年(昭和32年)京都大学文学部東洋史学第三講座教授に就任。

主たる研究業績は、著書『清代塩政の研究』、『中国史研究』(第1〜第3)、『王安石』をはじめとして、概説書や数多くの論文があり、さらに研究の手引きとなる索引の刊行は20数種類にのぼる。1989年(平成元年)『中国塩政史の研究』により日本学士院賞恩賜賞を授与された[1]。日本学士院恩賜賞のメダル[2]と記念品[3]は母校の香川県立観音寺第一高等学校に寄贈された。

宋代から清代にいたる中国経済や財政の近世史において、とりわけ宋代の茶の専売制度、清代の塩の専売制度の研究は、統制物資を扱う政府と結びついた業者・商人の動向や政府の統制をかいくぐる違法な闇商人の暗躍、秘密結社の存在に着目する。史料には残りにくい歴史の暗部にも迫って、中国史全般に大きな影響を与えた同郷的結合を基とした徽州商人や山西商人の解明に手がかりを求めた[4]

またフランス、西ドイツ、英国、米国での調査活動のほか、台湾大学に客員教授として招聘等、海外の東洋学者との学術交流にも努めた。

略歴 編集

栄典 編集

編著書 編集

  • 『吏学指南索引』(1941年)
  • 宋代茶法研究資料』(1941年)
  • 王安石』(支那歴史地理叢書 11)(1941年)(改訂版 中公文庫、1990年)
  • 『宋代の坐倉』(1948年)
  • 明律国字解索引』(1949年)
  • 福恵全書語彙解』(1952年)
  • 唐律疏議釈文索引』(1955年)
  • 代塩政の研究』(東洋史研究叢刊 2)(1956年)
  • 『職源撮要索引』(東洋史研究資料叢刊 2)(1956年)
  • 蘇東坡全集索引』(1958年)
  • 『宋名臣言行録輯釈索引』(1959年)
  • 『中国随筆雑著索引』(東洋史研究叢刊 7)(1960年)
  • 資治通鑑索引』(東洋史研究資料叢刊 3)(1961年)
  • 『宋と元』(世界の歴史 6)(1961年)(宮崎市定共著、新版 中公文庫、1975年)
  • 宋史職官志索引』(東洋史研究叢刊 11)(1963年)
  • 『宋の新文化』(東洋の歴史 6)(1967年)(責任編集・共著、改訂版「中国文明の歴史6」 中公文庫、2000年)
  • 中国史研究 第1・2・3』(東洋史研究叢刊 21(3分冊))(1969年-1977年)
  • 『宋代文集索引』(東洋史研究叢刊 24)(1970年)
  • 『古今類書纂要 附索引』(1972年)
  • 『雅俗漢語訳解』(1976年)
  • 『宋史刑法志索引』(1977年)
  • 『宋史兵志索引』(檢索叢刊 甲種1)(1978年)
  • 『宋史河渠志索引』(1979年)
  • 『宋史選挙志索引』(東洋史研究資料叢刊)(1982年)
  • 『中国塩政史の研究』(1987年) ISBN 4589013371
  • 『事物異名録索引』(1995年) ISBN 4892810436
  • 『類説索引』(2004年)

脚注 編集

参考文献 編集