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体脂肪率(たいしぼうりつ、: body fat percentage; BFP)とは、動物の体内に含まれる脂肪の重量の割合のこと。本稿においては、ヒトの場合を扱う。

肥満との関係編集

肥満は「体脂肪が必要以上に増えた状態」を指すが、体脂肪率の測定には困難が伴い、そのためBMIなど簡易的な診断法が広く一般に使われていた。ところが、近年体脂肪計(体組成計)が一般にも普及し始め、体脂肪率によって肥満の判定を行う場合も増えるようになってきている。

適正体脂肪率編集

体脂肪率は、低ければ低いほど良い、というものではなく、低すぎると体温の低下や筋力の低下(筋肉を分解してエネルギーを作り出すため)を招くことがある[1]女性の場合はホルモンバランスの異常から、生理不順や早発性閉経を招くこともある。プロのスポーツ選手の場合、10%以下もめずらしくない。

適正な体脂肪率は、以下のように言われている。世界共通の明確な基準は未だ決められていない。

東京慈恵会医科大学健康医学科の判定基準(1993年度)
分類 29歳以下の男性 30歳以上の男性 29歳以下の女性 30歳以上の女性
適正範囲 14〜20% 17〜23% 17〜24% 20〜27%
肥満 25%以上 25%以上 30%以上 30%以上

上記の基準は1993年度に東京慈恵会医科大学健康医学科で判定基準として使用されている値。昔のタニタのマニュアルなどに記載されている[2]

タニタの基準[3]
分類 18~39歳の男性 40~59歳の男性 60~99歳の男性 18~39歳の女性 40~59歳の女性 60~99歳の女性
やせ 10%以下 11%以下 13%以下 20%以下 21%以下 22%以下
-標準 11~16% 12~17% 14~19% 21~27% 22~28% 23~29%
+標準 17~21% 18~22% 20~24% 28~34% 29~35% 30~36%
軽肥満 22~26% 23~27% 25~29% 35~39% 36~40% 37~41%
肥満 27%以上 28%以上 30%以上 40%以上 41%以上 42%以上

妊娠中、人工透析中、むくみ症状がある方は除く。

オムロンの基準[4]
分類 15歳以上の女性 男性
健康的 20〜29% 10〜19%
軽度肥満 30~34% 20~24%
中等度肥満 35~39% 25~29%
重度肥満 40%以上 30%以上

オムロンの基準では、健康的とされる体脂肪率の目安は、男性は10〜19%、15歳以上の女性は20〜29%であり、体脂肪率がそれ以上になると、肥満とされる。

American Council on Exerciseの基準(2009年)[5]
分類 女性 男性
痩せすぎ 10-13% 2-5%
アスリート 14-20% 6-13%
健康的 21-24% 14-17%
平均的 25-31% 18-24%
肥満 32%以上 25%以上

主な体脂肪率測定法編集

体脂肪率の測定方法はいくつかあり、以下のものが主なものである。

水中体重秤量法(水中体重測定法)編集

アルキメデスの原理を応用したもので、水中に全身を沈めて水中にある体重計で体重を量り、大気中での体重との差から身体密度を計算して測定するもの。比較的正確な測定方法で、他の測定方法の基準とされる方法だが、以下のような問題点がある。なお、一般的に脂肪組織の密度は0.9007g/m³で、脂肪以外の組織の密度は1.1000g/m³とされている[6]

  • 体表面や体内の空気による浮力の影響を排除するため、息を吐ききった状態で測定しなければならない。そのため、測定に苦痛が伴う。
  • どうしても設備が大掛かりとなり、測定も簡単ではない。
  • 設備がある施設が少ない

空気置換法編集

密閉された装置内に入り、空気の圧力変化を測定して身体密度を計測する方法[7]。水中体重秤量法とほぼ同じ原理に基づき、比較的正確な測定方法で、かつ測定が簡便で苦痛を伴わない方法である。大相撲力士がこれによって測定していることが知られている。米Life Measurement, Inc社の「BOD POD」という装置が有名。

二重エネルギーX線吸収法(DXA, DEXA)編集

二種類の異なる波長のX線を全身に照射し、その透過率の差から身体組成を計測する方法[7]。本来骨密度を測定する方法だが、体脂肪量や筋肉量の測定精度も高く、近年は水中体重秤量法に代わって測定方法のゴールドスタンダードとも言われている。なお、DXAまたはDEXAは「Dual Energy X-ray Absorptiometry」の略。

皮下脂肪厚法(キャリパー法)編集

皮下脂肪厚計(キャリパー)を用いて、皮下脂肪の厚さを測定し、その後計算式に測定値を代入して計測する方法[7]。簡便な方法であるが、皮下脂肪の分布には個人差があり、そこで誤差が生じること、計測にある程度技能が必要なこと、内臓脂肪の測定ができないこと、といった欠点がある。

生体インピーダンス法編集

 
生体インピーダンス法による体脂肪計。立って両腕を伸ばし、両手で持って測定する。

体に微弱な電流を流し、生体の電気インピーダンスを測定し、そこから体脂肪率を推定する方法。現在最も簡便で、最も普及している方法であり、市販されている体脂肪計のほとんどはこの方法である[7]。しかし、以下のような問題点から、正確な値を算出するのは難しい。

  • 生体電気インピーダンスは、起床直後や就寝直前などの身体状態による変化が大きく、同じ日でも測定した時間で大きなばらつきがある。
  • 生体電気インピーダンスから体脂肪率を推定するアルゴリズムが、測定機器製造各社によって異なる。そのため、機器によるばらつきが大きい。
  • 筋肉の比率が高い人は、生体電気インピーダンスが一般の人と異なり、正確な測定ができない。
    • この欠点を解消するため「アスリートモード」がある機器もある。
  • 心臓ペースメーカーを使用している場合、電流によってペースメーカーが誤作動を起こす可能性があるため、使用できない。

その他の方法編集

その他の方法としては、以下のようなものがある。

CT法、MRI法 
CTMRIを利用して体の断面画像を撮影し、そこから体脂肪率を計算する方法。精度はかなり高いが装置が大掛かりになるため、あまり利用されない。腹部CT検査により、へその位置で内臓脂肪の面積(断面積)が100Cm²以上ある場合を「内臓脂肪型肥満」としている[4]
体内カリウム測定法
体内のカリウムが脂肪組織には含まれないことに着目した方法で、「ヒューマンカウンター」と呼ばれる大掛かりな装置で体内のカリウムを測定し、そこから体脂肪率を計算する方法[8]
超音波法 
超音波検査と同じ装置を利用するもので、超音波によって体の断面画像を撮影して測定する方法[9]。比較的精度が高い。
近赤外分光法 
上腕二頭筋の中央部に近赤外線を照射し、その光吸収スペクトルを元に体脂肪率を求める方法[9]
六フッ化硫黄希釈法 
空気置換法とほぼ同じ原理に基づくもので、装置内に六フッ化硫黄ガスを一定量入れる方法である。

出典・脚注編集

関連項目編集