僕達の家」(ぼくたちのいえ、Our House)は、イギリスシンガーソングライターグラハム・ナッシュが書いた、クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの楽曲。

僕達の家
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングシングル
初出アルバム『デジャ・ヴ
B面 デジャ・ヴ
リリース
規格 7インチ・シングル
録音 ロサンゼルス、ウォーリー・ハイダー・スタジオ III(1969年11月5日)[2]
ジャンル バロック・ポップ
ソフト・ロック
フォーク・ロック
時間
レーベル アトランティック・レコード
作詞・作曲 グラハム・ナッシュ
プロデュース クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング
チャート最高順位
クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング シングル 年表
オハイオ
b/w
自由の値
(1970年6月)
僕達の家
b/w
デジャ・ヴ
(1970年9月)
ミュージックビデオ
「Our House」 - YouTube
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概要編集

1970年3月11日発売のアルバム『デジャ・ヴ』に収録された。同年9月、シングルカットされる。B面はデヴィッド・クロスビーが書いた「デジャ・ヴ」。Billboard Hot 100 において30位を記録した[3]

この曲は、「カウンターカルチャー的な家庭の幸福に捧げられた頌歌 (an ode to countercultural domestic bliss)」[4]とされており、ナッシュがジョニ・ミッチェル同棲していた、アルバム『クロスビー、スティルス&ナッシュ』と『デジャ・ヴ』が録音された時期に書かれた作品である。

日本盤のシングル、アルバム『デジャ・ヴ』では「僕達の家」が曲名であるが[5]、その後、日本語では「僕等の家」という曲名も用いられるようになっている[6]

曲の背景編集

この曲は、グラハム・ナッシュジョニ・ミッチェルと(また、彼女の飼っていた2匹の猫たちと[7])、ロサンゼルスローレル・キャニオン英語版同棲していた時期に、ふたりで朝食に出かけ、ベンチュラ・ブルバード英語版で安い花瓶を買って戻ってきた後、彼らの家で起こった出来事がきっかけで書かれた[8]、ナッシュは、ミッチェルのピアノを使って、1時間ほどでこの曲を書き上げた[9]2013年に、ナショナル・パブリック・ラジオ (NPR) の番組『Fresh Air』の中でテリー・グロス英語版のインタビューに応えたナッシュは、次のように語った。

「まあ、ごく普通のひと時だったよ。あのとき、ジョニ(・ミッチェル)と僕は、えーと、君がロサンゼルスのことを知っているかどうか、僕は知らないけど、バレーのベンチュラ・ブルバードにアーツ・デリ (Art's Deli) っていう有名なデリがあるんだよ。僕らはそこで朝食をとった。僕らは、ジョアン (Joan) の車に乗るために骨董屋の前を通った。そしてウインドーに目が行って、彼女はとても美しい花瓶を見つけて、買いたいって言い出した ...  いや、僕がこの花瓶を買おうって彼女を説得したんだ。大して高い値じゃなかったし、僕らはそれを家に持ち帰った。空は灰色で、何かみぞれ混じりのような、しぐれたロサンゼルスの朝だった。僕らはローレル・キャニオンの家に戻り、僕は玄関から入って、言ったんだ、いいかい、暖炉に火を入れるよって。僕は火を点ける。買ってきた花瓶に花を生けたらどう。そう、彼女は庭に花を摘みに行った。つまり、ピアノに座っていたのは彼女じゃなくて僕だった ... 。1時間後「僕達の家」が生まれていたんだよ、とてつもなく沢山の人たちが経験するような、信じられないくらい普通のときの過ごし方からね」[10]

同じインタビューの中で、ナッシュはこの曲のハーモニーについての語っている。

「僕とデヴィッド(・クロスビー)、スティーヴン(スティルス)がベストを尽くした。いつもやっていた通りだよ。まあ、僕らは幸運にも、自分たちがやりたいことは、音楽的には、まあ、何でも出来た。まあ、ふたりは信じられないようなミュージシャンだよ。クロスビーは僕が知る限り誰よりもユニークなミュージシャンだし、スティーヴン・スティルスは、ブルースが根っこにあるアメリカ南部的な感覚が音楽にある。そして僕は、イングランドから来たヘンリー8世みたいな奴だ ... まあ、そんなの上手く行くとは思えないんだけど、何とか、やれてる」[10]

その後編集

ナッシュは、以前、「『僕達の家』は、録音をした翌日には退屈なものと感じるようになった」と認めていたが、「沢山の人たちにとって、いろいろ多くの意味を持った曲になっているから」として、その後もときどき演奏している[11]。この曲は「無垢な優美さ (innocent elegance)[12]」が評価されているが、バーニー・ホスキンスは、この歌を「ありふれた小歌 (trite ditty)」に過ぎないとした上で、プロテストソングオハイオ」をクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングとして1970年6月に録音、リリースしたニール・ヤングが、この曲をどう思ったのだろうか、として、次のように述べた。「『オハイオ』から『僕達の家』への旅路は、ロサンゼルスの音楽シーンが、総じて血の巡りが悪くなっていることを表してるようだ」[13]

ヘレン・レディオニキス英語版ファントム・プラネット英語版シーナ・イーストンKidsongsシャロン、ロイス&ブラム英語版村上ゆき[14]などによるカバー・バージョンがある。2013年ターゲットの住宅・生活雑貨ブランド「"Threshold"」のコマーシャルでもカバーされた[要出典]

1980年代には、エックリッチ英語版ソーセージジングルに使われたため、様々なテレビ番組や映画に登場しており、特にイギリスのテレビ・コメディ『Only Fools and Horses』の1996年のクリスマス特別番組「Time on Our Hands」はよく知られており、放映時にイギリスでは2430万人が視聴したとされている。また、(アメリカ合衆国のシットコム)『ママと恋に落ちるまで』の第108話(第5シーズン第20話)「ピンチは幸せの始まり (Home Wreckers)」でも使用された。

2020年3月29日、新型コロナウイルスの流行により各国で外出禁止の措置がなされる中、ナッシュはニューヨークの自宅からライブ演奏を配信した。「どうか家にいて下さい。手を洗って、コロナウイルスの拡大を防いで下さい」と訴え、「僕達の家」、スティーヴン・スティルスの「4+20」、「ティーチ・ユア・チルドレン」の3曲を演奏した[15]

脚注編集

参考文献編集

  • Bego, Mark (2005). Joni Mitchell. Taylor Trade. ISBN 9781461662020. http://books.google.com/books?id=llGgRhL_WkoC&pg=PA65 
  • Hoskyns, Barney (2009). Waiting for the Sun: A Rock 'n' Roll History of Los Angeles. Backbeat Books. ISBN 9780879309435. http://books.google.com/books?id=w7oB2UKVxgQC&pg=PA204 
  • Lonergan, David F. (2005). Hit Records, 1950-1975. Scarecrow. ISBN 9780810851290. http://books.google.com/books?id=NP6OdDrutyAC&pg=PA169 
  • Perone, James E. (2006). The Words and Music of Carole King. Greenwood. ISBN 9780275990275. http://books.google.com/books?id=e5lgPm5eq40C&pg=PA76 
  • Walker, Michael (2010). Laurel Canyon: The Inside Story of Rock-and-Roll's Legendary Neighborhood. Faber & Faber. ISBN 9781429932936. http://books.google.com/books?id=aYbZZUAOpdAC 
  • Zimmer, Dave (2004). Four Way Street: The Crosby, Stills, Nash & Young Reader. Da Capo. ISBN 9780786748532. http://books.google.com/books?id=dLaQipNSklMC