充電(じゅうでん)とは、二次電池電流を流し化学的にエネルギーを蓄積したり、コンデンサ電圧を印加して電荷を蓄積することである。対義語放電である。

車への充電

また、送配電においては電線路や設備あるいは機器に電圧が印加された状態(送電中)、電気電子回路において配線部品電極あるいは端子感電の恐れがあるレベルの電圧が印加されている、または回路が閉じて通電している状態を充電ということがある。この時の対義語は非充電である。

電池の充電 編集

 
ソニーのニッケル水素蓄電池用充電器(単三型、単四型兼用)

電池(蓄電池、二次電池)を充電するには、電極にそれより高い電圧の電源(装置)を接続して放電とは逆の方向に電流を流す。この目的に特化した電源装置を充電器という。電池には様々な種類があるので多くの場合、適切かつ安全に充電できるよう専用の充電器が用意されている。また、電池や充電回路、さらには太陽電池発電機などが製品の中にあらかじめ組み込まれたものもある。

過充電 編集

二次電池を充電しすぎることを過充電という。最大充電電圧を越えて充電しようとすると、電池が劣化したり破壊に至ったりする危険性もある。

充電制御 編集

多くの場合、電池の種類や構成に合わせて専用の充電器が用意されるが、適正値が異なるので以下の方法がある。

  • 定電圧充電
  • 定電流充電
  • 定電流定電圧充電 (CC-CV)
  • -ΔV検出充電(マイナス・デルタ・ブイ:ニッケル水素蓄電池などでは満充電を過ぎると電池電圧がわずかに低下するのでそれを検出)
  • 電池温度上昇検出充電
  • 電池温度上昇微分値検出充電
  • 充電電流付加 - ストップ(測定)充電
  • パルス充電
  • トリクル充電 - 負荷と蓄電池を別回路として電源に接続して、蓄電池に微小電流を常時供給しておき、満充電の状態を保つ。停電時には回路を切り替えて、蓄電池から負荷回路へ電力を供給する。
  • 浮動充電 - 負荷と蓄電池を電源に並列で接続して、蓄電池の自己放電を補うための定電圧を常時掛けておき、満充電の状態を保つ。停電時には蓄電池から負荷回路へ電力が供給される。

発火事故 編集

二次電池の初期不良、経年劣化などにより、しばしば電池の発火事故が発生する。

2020年代の中国では電動バイク電動自転車)の充電中に発火する事故が続出。2020年には上海市だけでも380件を超える火災事故が起き、20人が死亡している[1]。このため政府は屋内で電動バイクに充電することを禁止している[2]

また、2020年頃には、アメリカのゼネラルモータース電気自動車シボレー・ボルトでも充電中の事故が続発。周囲の車や建物も火災に巻き込む危険があることから夜間や屋内での充電を避けるよう周知がなされた[3]

コンデンサの充電 編集

コンデンサの電極間に電圧を印加することにより、充電が行われる。蓄電池と違い、充電において化学変化を伴わず、誘電分極によって電荷が蓄えられる。

電路の充電 編集

低圧高圧の電路に送電がなされ、対地間・相間に電圧が生じていることを充電しているという。電気分野において、保安や安全に関わる文脈で多用される。電気・電子技術の学術用語ではない。

電路の充電の有無を確かめるには、検電器を用いるのが一般的である。また低圧電路の場合には電圧測定も兼ね、テスターを用いることもある。

高圧電路の場合、断路器開閉器遮断器などで給電を断ったあとも残留電荷が残っている場合がある。残留電荷による感電事故防止のため、短絡アース線などで対接地間(A種接地など)を結び残留電荷をなくすことが必要である。この操作のことを放電接地という。

派生した表現 編集

静養や保養に専念する、留学や芸術活動を休止するなど、復帰に備えて本来の活動を一時的に控えることを指す慣用句として用いられる例がある。

脚注 編集

  1. ^ 宅配支える電動バイク快走 効率的充電と発火防止が課題”. SANKEI.Biz (2021年2月25日). 2021年10月18日閲覧。
  2. ^ 中国でまた電動バイク発火 深夜に29台炎上”. テレビ朝日 (2021年10月18日). 2021年10月18日閲覧。
  3. ^ シボレー・ボルトEV、立駐では他車両から離れて駐車を=GM”. ロイター (2021年9月16日). 2021年10月18日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集