メインメニューを開く

全裸監督

日本のドラマ作品

概要編集

バブル景気にわく1980年代の日本を舞台に、“アダルトビデオの帝王”と称された村西とおるを、本橋信宏「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)を原作[2]としながら、虚実交えて描いたドラマ作品[3]。制作期間に2年半をかけ、ストーリーとしてはアダルトビデオの誕生と警察との対立。村西の破天荒でエネルギッシュな生きざま、村西の人生を変えることとなる黒木香の立志を描く。

「いまの時代のフィルターを通した80年代」を描くため、それに至るまでの1960年代から1970年代、1980年代の小物はもちろん、歌舞伎町の街ごとセットとして制作。実際にはなかった起伏ある歌舞伎町の街を「当時の新宿のいかがわしさを集約した街」として“再現”した[4]

脚本は日本でなじみの薄いチームライティングを採用し、原作本をもとに撮るべき各シーンをピックアップ。4人の話し合いによって決まったプロットを、シーンが一番見えている部分を脚本家に割り当てる、登場人物によって担当の脚本家を変えるなど独自の分担手法を行った。分担することで個性やとげがなくなる危険性もあったが、3話のAV撮影シーンを内田が執筆したことで、キャラクターやドラマの全体像が見え、脚本チームのコンセンサスが取れたという[5]

具体的には山田(能)が伏線回収、仁志がバランス調整、山田(佳)が女性的な目線と隙間の視点を担当した[6]。Netflix側からの世界的を意識した物語、アンダードッグな視点という依頼を生かすために、原作を活かしつつも登場人物や時間軸など大幅に脚色している[7]。内田は「いよいよ来たか。日本のドラマが変わるときが」と全身全霊で取り組み、本作のチームライティングは画期的な手法で書かれたことを強調したいと言っており、この手法で日本の脚本の作り方が変わる原動力になると主張している。それを受けて仁志は、今回のチームライティングの手法がうまくいったかどうかは、世界中の人に観ていただいた上で、判断してもらえればと思います、と答えている。作品の評価が良ければ、今回のチームライティングの手法は成功したことになると示している[8]

総監督である武正晴はシナリオや構想がある程度進んでからの参加となった。複数話担当、加えて重要な回の担当に決まり、それならトータルで見たいと総監督の役職になった。武は元アダルトビデオ店員でリアルタイムで黒木香のいた時代を体感。また黒木が出ていた『朝まで生テレビ!』に観客として訪れたことがあり、スタッフの中で数少ない黒木香を直接見た人物である[9]。オンとオフを見た印象は脚本チームにも話し、演出に反映している[9]

全8話から構成。2019年8月16日にシーズン2の制作が発表された[10]

登場人物編集

サファイア映像/チーム村西編集

村西とおる
演 - 山田孝之(幼少期:阿久津慶人[11]
AV監督。放送禁止のパイオニア。英語教材のセールスマンをしていたが、妻の不倫が原因で離婚し二人の子供とも別れ失意の中、「ビニ本」流通・販売業「北大神田書店」を経て、アダルトビデオメーカー「サファイア映像」を立ち上げる[12]
荒井トシ
演 - 満島真之介
村西の相棒的存在。セールスマンだった村西をアダルトの世界に誘う。モデルは山田光俊
川田研二
演 - 玉山鉄二
元出版社社長。村西とはビニ本時代に出会い、その営業力から手を組む。サファイア映像以降はプロデューサー的立ち位置となる。
モデルはクリスタル映像時代を支えた西村忠治やダイヤモンド映像で制作にかかわった本橋信宏
三田村康介
演 - 柄本時生
黒澤映画に憧れ、なぜかアダルトビデオ制作にかかわる。おもに音声を担当。モデルは日比野正明など複数人のAV監督。
小瀬田順子
演 - 伊藤沙莉
メイク担当。女優の気持ちを汲む紅一点の存在。
ラグビー後藤
演 - 後藤剛範
カメラマン担当。ラグビー出身で男優もこなす。モデルは監督兼男優であったターザン八木

その他主要人物編集

佐原恵美(黒木香
演 - 森田望智
村西に影響を与える厳格な家で育った女子大生。留学費を稼ぐためにAV女優を志し、のちに「黒木香」の芸名でデビュー[13]
奈緒子
演 - 冨手麻妙
村西のデビュー作に出演するAV女優。引退後は一般業に就職する。モデルはクリスタル映像作品に出演した複数人の女優。一般業に就職後にスタッフと再会、裏ビデオ流出などは卑弥呼のエピソードである[14]
中井寛司
演 - 吉田鋼太郎
村西とおるがセールスに訪れるヤクザ。
小野貞己
演 - 板尾創路
村西とおるのセールスマン時代の先輩。
佐原加代
演 - 小雪
恵美の母。娘への厳格な教育を施す。
武井道郎
演 - リリー・フランキー
不気味な存在の警視庁警部。
池沢
演 - 石橋凌
AV業界最大手、ポセイドン企画の社長[15]
宇宙企画・山崎紀雄、自主規制団体を立ち上げた西村忠治など複数の人物をモデルにした架空の人物。
古谷伊織
演 - 國村隼
歌舞伎町の落ちぶれたヤクザ[15]

おもなゲスト編集

配信リスト編集

放送回 配信日 タイトル 配信時間
#1 2019年

8月8日

裏の世界 47分
#2 8月8日 無修正 54分
#3 8月8日 ひっくり返すんだよ 52分
#4 8月8日 本物 49分
#5 8月8日 開花 50分
#6 8月8日 誇大妄想 39分
#7 8月8日 終わっちゃいない 41分
#8 8月8日 性革命 52分

スタッフ編集

  • 総監督:武正晴[17]
  • 監督:武正晴(1話、3話、5話)、河合勇人(6話、7話、8話)、内田英治(2話、4話)
  • 原作:本橋信宏「全裸監督 村西とおる伝」(太田出版)
  • 脚本:山田能龍内田英治、仁志光佑、山田佳奈(1話、2話)
  • プロデューサー:橘康仁、阿久根裕行
  • 美術監督:中西梨花
  • 音楽:岩崎太整
  • 撮影:山本英夫
  • 美術:清水剛
  • 照明:小野晃
  • 録音:竹内久史
  • 装飾:竹原丈二、星田和昭
  • 衣装デザイナー:小川久美子
  • 編集:細野優理子
  • 監督補:後藤孝太郎
  • VFXスーパーバイザー:村上優悦
  • 音響効果:大河原将
  • 整音:石坂紘行 
  • スクリプター:菅谷雪乃
  • キャスティング:木暮こずえ
  • ラインプロデューサー:ワダシンスケ
  • 衣装統括:細谷恵子
  • 衣装:谷村未来
  • ヘアメイク:宮内三千代、中山有紀
  • アシスタントプロデューサー:石川翔一
  • 脚本協力:山田佳奈
  • 脚本アシスタント:関口海音、李奈媛
  • VFXディレクター:小林敬裕
  • VFXディレクター:島﨑章
  • CGディレクター:笹倉秀信
  • VFXシニアスーパーバイザー:鹿角剛

評価編集

2019年8月8日に世界同時配信されると、ネット上の口コミで評判が広まり、多くの著名人もSNSで絶賛のコメントを残している[18]ハフポストにおいてライターの松谷創一郎は本作を「傑作」と評価し、「黎明期のAV業界の状況をしっかりと描いている」としている[7]。また、米国映画評論サイトであるRotten Tomatoesによれば、日本時間2019年10月25日時点で、一般視聴者からの80件の評論のうち、支持率は98%となっている[19]

一方で批判意見も聞かれる。作中で描かれる村西とおるは実際の本人の言動とは乖離があり、ヒーローとして立役者のように理想化されているという指摘もある[20]。また、製作において当時AV女優だった黒木香本人へのコンタクトもなく、作中に実名で登場させていることに関して、AV業界で問題となっている忘れられる権利への配慮が不足しているのではという声もある[20]

出典編集

[ヘルプ]
  1. ^ 「全裸監督」山田孝之が“こっそりAV観る感覚”推奨「ぜひアンダー18にも」”. 映画ナタリー (2019年7月24日). 2019年8月11日閲覧。
  2. ^ 野田義治と共に一時代を築いた村西とおるの半生がドラマ化|野田義治「新・巨乳バカ一代」” (日本語). 日刊ゲンダイDIGITAL (2019年8月14日). 2019年8月14日閲覧。
  3. ^ 「全裸監督」山田孝之キャノン砲発射!? 村西とおると'80年代への思い語る” (日本語). AV Watch (2019年7月25日). 2019年8月2日閲覧。
  4. ^ 制作期間2年半、『全裸監督』で挑んだ新しいクリエイティブのかたち”. Netflix|note (2019年8月7日). 2019年8月11日閲覧。
  5. ^ 2019年9月25日発行、マガジンハウス「BRUTUS」特別編集「合本危険な読書」142頁
  6. ^ 2019年9月25日発行、マガジンハウス「BRUTUS」特別編集「合本危険な読書」143頁
  7. ^ a b c 松谷創一郎 (2019年8月18日). “Netflix『全裸監督』が傑作である理由。女性が搾取される構図、AV業界の負の側面も描いていた”. ハフポスト. https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d57a697e4b056fafd0c3c37 2019年8月18日閲覧。 
  8. ^ 2019年9月25日発行、マガジンハウス「BRUTUS」特別編集「合本危険な読書」143頁
  9. ^ a b 2019年9月25日発行、マガジンハウス「BRUTUS」特別編集「合本危険な読書」144頁
  10. ^ “Netflix「全裸監督」、次はシーズン2”. IT Media (アイティメディア). (2019年8月16日). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1908/16/news087.html 2019年8月17日閲覧。 
  11. ^ 2019年8月7日 阿久津慶人Twitter
  12. ^ 株式会社つみき. “『全裸監督』山田孝之×満島真之介×玉山鉄二、ギリギリトーク!「やばいものができるって、みんな思ってた」【ロングインタビュー】 | FILMAGA(フィルマガ)” (日本語). filmaga.filmarks.com. 2019年8月14日閲覧。
  13. ^ Kashima, Yui. “伝説のAV女優・黒木香を演じて――『全裸監督』で見いだされた若手女優は何を見たのか?” (日本語). BuzzFeed. 2019年8月14日閲覧。
  14. ^ 卑弥呼の裏ビデオが流出しないよう警視総監に手紙を書いた|野田義治「新・巨乳バカ一代」” (日本語). 日刊ゲンダイDIGITAL (2019年6月7日). 2019年8月14日閲覧。
  15. ^ a b 山田孝之「これからは“ムラニシ!”と呼ばれたい」|TVLIFE web - テレビがもっと楽しくなる!” (日本語). TV LIFE. 2019年8月10日閲覧。
  16. ^ 【アイドルSEXY列伝】川上奈々美、ここまでとは…ドラマ「全裸監督」での演技力に感服!” (日本語). zakzak (2019年8月15日). 2019年8月17日閲覧。
  17. ^ 【レポート】山田孝之主演、Netflix『全裸監督』7/24実施ワールドプレミアに総勢13名の超豪華キャスト&監督が大集結! | anemo” (日本語). www.anemo.co.jp. 2019年8月10日閲覧。
  18. ^ ラリー遠田 (2019年8月17日). “山田孝之主演「全裸監督」ヒットの深み “無垢な汗と欲望”は時代を超える”. AERA dot.. https://dot.asahi.com/dot/2019081600040.html 2019年8月18日閲覧。 
  19. ^ The Naked Director: Season 1” (英語). Rotten Tomatoes. 2019年10月25日閲覧。
  20. ^ a b 大ヒットドラマ「全裸監督」の重要論点〜AV産業は昭和を引きずり…(井戸 まさえ)”. 現代ビジネス. 2019年9月10日閲覧。

外部リンク編集