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公文書等の管理に関する法律

公文書等の管理に関する法律(こうぶんしょとうのかんりにかんするほうりつ、平成21年7月1日法律66号)は、日本の行政機関(府・省・庁・独立行政法人等)における公文書の管理方法を定めた法律である。通称は公文書管理法

公文書等の管理に関する法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 公文書管理法
法令番号 平成21年7月1日法律66号
種類 行政手続法
効力 現行法
主な内容 公文書の管理など
関連法令 公文書館法国立公文書館法特定秘密保護法
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概要編集

2009年6月24日に成立(2011年4月1日施行)した当法律は「公文書」を「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録」「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置づけると共に、 国民主権の理念に則り、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにすることを目的とする(第1条)

公文書の作成・保存に関する各省庁共通規則を定めており、この法律に従い行政機関の長は毎年度内閣総理大臣に管理の状況を報告し、その内容は公表される。

さらに歴史的に重要とされる公文書は国立公文書館に保存され、行政文書管理規則の制定・変更等の重要な行為については公文書管理委員会に諮問が必須である(第29条)

成立経緯編集

※肩書きは全て当時のもの

1995年から1999年にかけて、アメリカ情報公開法ビル・クリントン政権下で大幅に改正された。1998年から2000年にかけて我部政明アメリカ国立公文書記録管理局[注釈 1]に秘密文書の開示請求を続け、沖縄財政密約の全容が解明された。日本でも行政機関の保有する情報の公開に関する法律による開示請求ができそうになると、外務省アメリカ局長・吉野文六は口止めをされ、外務省は1200トンの秘密文書を破棄したという(西山事件#米国の公文書公開以降の動き)。[1]

1999年に情報公開法が制定されたものの、公文書管理法は制定されなかったため、情報公開請求において文書不存在を理由とする不開示処分が多発し、文書保存期間満了前の誤破棄(2007年 海上自衛隊補給艦「とわだ」の航泊日誌誤破棄事案)、文書の未作成 (装備審査会議の議事録)、文書の不適切管理(年金記録問題)等の、ずさんな公文書管理が問題視されていた。 また民間団体(情報公開クリアリングハウス、自由人権協会、日弁連など)からも、情報公開法の制定以来、十分な公文書管理を強く求められてきた。 情報公開法に関する民主党PTプロジェクト・チーム座長の枝野幸男[2]「日弁連等の情報公開法の利用者からヒアリングしても話を聞けば聞くほど、これはダメだとなりました」「霞が関からヒアリングしても全く問題意識を持っていないという印象」と述べている。

上記経緯から2003年内閣府大臣官房長(当時 福田康夫)の研究会として「歴史資料として重要な公文書等の適切な保護、利用等のための研究会」(座長高山正也・慶応大学教授)が設置され、同年12月に内閣官房長官主宰の「公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会」(同座長) と発展させた。 福田官房長官の年金未納問題に由来する突然の退任により、棚上げとなっていたが、2008年の福田が内閣総理大臣に就任し、その指示により同内閣の重要施策となり、公文書管理のあり方に関する有識者会議(座長尾崎護・元大蔵省事務次官) が設置され、法制化された。

鳩山政権の発足後、外務大臣岡田克也は早速、核持ち込みや沖縄返還をめぐる日米間の密約の資料調査を命じた。ただ、役所に不都合な文書の保存や公開には官僚の抵抗も予想される為、作成中の公文書管理の統一ルールが「骨抜き」にされないよう注視し、定期的な見直しについての検討が必要とされた[3]

2012年1月27日野田内閣菅内閣東日本大震災に関する15組織のうち10組織が議事録を未作成、そのうち5組織では議事概要も未作成または一部作成であったとする調査結果を発表。野田佳彦内閣総理大臣は午前の参議院本会議で「文書で随時記録されなかったのは遺憾。会議の意志決定過程を把握できる文書作成は国民への説明責任を果たすため極めて重要。」と答弁した。副総理行政刷新担当大臣・公文書管理担当大臣も兼務)の岡田克也は5組織出席者から聞き取り調査のうえ、2月中に議事概要の作成を関係閣僚に求めた[4][5][6]。3月9日初めて公表され、原子力災害対策本部と政府・東電統合対策室の各議事録概要は12月までで合計約1400ページ、3月分は100ページ未満であった。当時内閣官房長官だった枝野幸男は3月9日の記者会見で「有事の際は録音し混乱のなかでも事後的な記録作成に役立つように備えるべきだった」と述べている[7]

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 文書管理の先進国であるアメリカの国立公文書館の職員が2500人であるのに比して、日本は僅かに42人となっている。今後、新たな文書保存施設の整備や職員の大幅な増員、文書管理の専門家育成などが急務となる。

出典編集

  1. ^ 西山太吉の記事。 田島康彦・清水勉 『秘密保全法批判-脅かされる知る権利』 日本評論社 2013年3月 pp.163-164.
  2. ^ 仙谷由人、枝野幸男、簗瀬進 他「誌上鼎談 情報公開法改正案について」(自由と正義59(7), 41, 2008-07)
  3. ^ 出典:「朝日キーワード2011」(版:朝日新聞社)
  4. ^ 読売新聞2012年1月27日夕刊3版1面及び翌28日朝刊13S版1,2,3,4面、震災関連会議、10組織で議事録作らず(2013年1月11日時点のアーカイブ
  5. ^ 原発事故の議事録ほとんどなし 枝野長官「多分、記憶に基づく証言求められる」(2011年5月12日時点のアーカイブ)産経ニュース2011年5月11日
  6. ^ 平成24年1月27日(金)午前 .閣議の概要について(斎藤勁内閣官房副長官)、平成24年1月27日(金)午前-内閣官房長官記者会見(斎藤勁内閣官房副長官)
  7. ^ 読売新聞2012年3月10日13S版「スキャナー」3面、13版特別面11面5組織の議事録概要

関連文献編集

  • 加藤陽子「何のための記録保存か : 組織の証拠と記録」『レコード・マネジメント』第50巻、記録管理学会、2005年、 80-86頁、 doi:10.20704/rmsj.50.0_80
  • 小谷允志「国際標準から見た日本の文書管理の課題 : ISO15489の意味するもの(イノベーションとしての記録管理)」『レコード・マネジメント』第45巻、記録管理学会、2002年、 26-33頁、 doi:10.20704/rmsj.45.0_26
  • 村岡正司「公文書管理法への対応に向けた適正な公文書管理のあり方 : 今後の自治体の文書管理改善の課題とその方策」『レコード・マネジメント』第62巻、記録管理学会、2012年、 39-56頁、 doi:10.20704/rmsj.62.0_39
  • ARMA International 東京支部、記録管理学会、日本アーカイブズ学会、学習院大学人文科学研究所共同研究プロジェクト「情報基盤としてのアーカイブズ制度を構築する戦略的研究」「「公文書等の管理に関する法律」施行後5年見直しに関する共同提言書」『レコード・マネジメント』第70巻、記録管理学会、2016年、 75-94頁、 doi:10.20704/rmsj.70.0_75

関連項目編集

外部リンク編集