愛知県名古屋市の八幡山古墳は野球場のグラウンドほどの面積がある。
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成

円墳(えんふん)は、古墳の墳丘形式の一種であり、平面が円形の古墳をいう。

目次

概要編集

 
最大の円墳である丸墓山古墳

古墳時代を通じてつくられ、直径数メートルから百メートル前後で、規模は中・小型のものが多い。

墳形が単純なので、時期による形態の変遷は明確でない。墳頂部に墓壙を掘る前・中期のものは墳頂部の平坦面が広いものが多く、後期には土饅頭系が増え、横穴式石室をもつ後期や終末期のものでは墳頂平坦面が狭く、墳高がやや高い傾向にある。

なお、円墳に造出を付けたものを帆立貝形古墳と呼ぶ。前方後円墳の前方部が小さいものと解されることもあるが、造出の規模の小さいものは円墳に分類することが多い。[1][2]

最大の円墳は埼玉古墳群中にある丸墓山古墳であり、墳径105メートル。ちなみに前方後円墳最大の大山古墳の後円部径は250メートルであり、後円部径が100メートルを超える前方後円墳は約50基を数える。[3]

各地の円墳編集

各地の代表的な円墳の名前・読み仮名・所在地・時期・規模・その他など

東北・北海道地方編集

  1. 江釣子古墳群(えつりこ、岩手県北上市上江釣子・北鬼柳・和賀町長沼、4支群があり、直径10メートル前後、高さ1メートルほどの円墳が約120基ほど確認されている。古墳時代後期後半の群集墳。[4]末期古墳、国の史跡)
  2. 高瀬山古墳(たかせやまこふん、山形県寒河江市、7世紀前後、周溝外周径34メートル、周溝内周径23メートル、高さ1.3メートル、山形県史跡)
  3. 小塚古墳(宮城県名取市、直径54メートル、雷神山古墳の後円部の北に接する。国の史跡)
  4. 甲塚古墳(かぶとづかこふん、福島県いわき市、直径37メートル、高さ約8.2メートル、国の史跡)

関東地方編集

  1. 車塚古墳(くるまづかこふん、栃木県下都賀郡壬生町、終末期、直径約44.7メートル[5]、国の史跡)
  2. 埼玉丸墓山古墳(さきたままるはかやまこふん、埼玉県行田市、埼玉古墳群、墳径105メートル、墳高18.9メートル[6]、日本最大、国の史跡)
  3. 甲山古墳(かぶとやまこふん、埼玉県熊谷市、墳径90メートル、墳高11.25メートル、埼玉県史跡)
  4. 芝山古墳群(しばやまこふんぐん、千葉県山武郡横芝光町、群中に13基の円墳、国の史跡)
  5. 車塚古墳(くるまづかこふん、茨城県東茨城郡大洗町、直径約95メートル、茨城県史跡)[7]

北陸地方編集

  1. 城の山古墳(じょうのやまこふん、新潟県胎内市塩津、直径40メートル)
  2. 水科古墳群(みずしなこふんぐん、新潟県上越市水科、群集墳、国の史跡)

中部・東海地方編集

  1. 八幡山古墳(はちまんやまこふん、愛知県名古屋市昭和区山脇町、古墳時代中期(5世紀半ば)、直径約74メートル(現状約85メートル)、東海地方最大、1931年(昭和6年)国の史跡に指定)

近畿地方編集

  1. 文殊院西古墳(もんじゅいんにしこふん、奈良県桜井市阿部金蔵645番中、古墳時代終末期の大型円墳、国の特別史跡)
  2. 牧野古墳(ばくやこふん、奈良県北葛城郡広陵町馬見北八丁目四番、径55メートルの大円墳、被葬者に押坂彦人大兄を当てる説がある。国の史跡)
  3. マルコ山古墳(まるこやまこふん、奈良県高市郡明日香村大字真弓、径15メートル、高さ5.3メートル、二段築成、古墳時代終末期(飛鳥時代後半)、1982年(昭和57年)国の史跡に指定される。)

中国地方編集

  1. スクモ塚古墳(すくもづかこふん、島根県益田市久城町字須久茂塚、大型の円墳として国の史跡に指定されたが、前方後円墳とも考えられている)
  2. 上塩冶築山古墳(かみえんやつきやまこふん、島根県出雲市、今市・塩冶古墳群、6世紀末、国の史跡)
  3. 上塩冶地蔵山古墳(かみえんやじぞうやまこふん、島根県出雲市、今市・塩冶古墳群、6世紀末、国の史跡)
  4. 明神古墳(みょうじんこふん、島根県大田市、6世紀後半、10.8メートルの横穴式石室、副葬品に金メッキの飾りを付けた刀、島根県史跡)
  5. 三明寺古墳(さんみょうじこふん、鳥取県倉吉市、後期、直径18メートル、山陰地方最大級の横穴式石室をもつ、国の史跡)
  6. 岡田山2号墳(おかだやまにごうふん、島根県松江市大草町岡田、6世紀後半、2段築成で径44メートル。国の史跡)

四国地方編集

  1. 段の塚穴 - (だんのつかあな)、徳島県美馬市、古墳時代後期の次の2基の古墳から成る。国の史跡
    • 太鼓塚 - 東西37メートル、南北33メートル、高さ10メートル
    • 棚塚 - 径20メートル、高さ7メートル

九州・沖縄地方編集

  1. 千代丸古墳(ちよまるこふん、大分県大分市大字宮苑字千代丸、7世紀前半、径15メートル、幾何学的文様の線刻のある装飾古墳、国の史跡)
  2. 権現塚古墳(ごんげんづかこふん) - 福岡県久留米市、直径約50メートル、高さ9メートル、周濠が二重に巡る。円筒、人物・家形などの形象埴輪採集されている。築造時期不明。国の史跡 

脚注編集

  1. ^ 『知識ゼロからの古墳入門』70頁 広瀬 和雄 (監修)
  2. ^ 『知識ゼロからの古墳入門』71頁 広瀬 和雄 (監修)
  3. ^ 田中琢・佐原真編『日本考古学事典』白石太一郎の円墳の項を参照した。
  4. ^ 高橋(1991) 28ページ
  5. ^ 直径82メートル(広瀬和雄『前方後円墳の世界』〈岩波新書1264〉2010年8月 166ページ)
  6. ^ 「ガイドブックさきたま」3頁 埼玉県立さきたま史跡の博物館発行 2010年11月
  7. ^ 直径約95メートル(大洗町史編さん委員会『大洗町史(通史編)』1986年3月 182ページ)

参考文献編集

関連項目編集