冠山峠道路
冠山峠道路(かんむりやまとうげどうろ)は、岐阜県揖斐郡揖斐川町塚奥山から福井県今立郡池田町田代に至る、延長7.8 km(キロメートル)の国道417号の道路である。
一般国道 | |
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冠山峠道路 国道417号 | |
路線延長 | 7.8 km |
開通年 | 2023年(令和5年)内(予定) |
起点 | 岐阜県揖斐郡揖斐川町塚奥山 |
終点 | 福井県今立郡池田町田代 |
接続する 主な道路 (記法) |
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開通は2023年(令和5年)内を予定している[1]。なお、中部圏9県3政令市[2]による中部圏開発整備地方協議会は、北陸新幹線の敦賀駅延伸開業に合わせた2022年(令和4年)度の供用を要望していた[3]。
概要編集
2021年(令和3年)4月現在、国道417号の当該区間は7.6 kmが自動車通行不能区間とされ[4]、直線距離で7.1 km(福井側3.2 km、岐阜側3.9 km)にわたって未整備であり、両県の端点を、冠山峠を経由する延長19.4 kmの林道塚線及び林道冠山線を代替路として接続している。しかし両林道とも幅員が狭小で急カーブ・急勾配が連続する線形不良箇所が多く、大型車の通行は困難であり、冬期及び土砂災害時は通行止めとなるので、年間通行止め日数は170日を超える[5]。
そのため、福井・岐阜県境の冠山直下を通る冠山峠2号トンネル(仮称)と岐阜側の冠山峠1号トンネル(仮称)を掘削し、福井側の河内田代バイパス(2002年(平成14年)10月18日供用開始)と岐阜側の徳山バイパス(2006年(平成18年)9月22日供用開始)に接続する計画である。
2003年(平成15年)4月2日に事業化され、トンネルの完成目標は2012年度(平成24年度)とされていたが[6]、事業認定告示は2011年(平成23年)7月19日と遅れ[7]、2014年(平成26年)5月17日に冠山峠2号トンネル(仮称)の福井県側2.5kmの建設に着手[8][9]、2016年(平成28年)7月5日に冠山峠1号トンネル(仮称)の建設に着手した[10]。
ルート案では、冠山周辺が険しい山岳地帯であり、猛禽類が生息する地域でもあるため、計画延長の約8割をトンネルとする。残りの区間も豪雪地帯であることを考慮して、日当たりが良く雪解けの早い南側斜面(揖斐川支流シタ谷沿い)を通過するルートを選んでいる。冠山峠2号トンネル(仮称)は完成すれば全長4,834 mの長大トンネルとなり[11][12]、冠山峠1号トンネル(仮称)も全長1,239 mを予定している[13]。
国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所の試算によると、全通すると福井県鯖江市から岐阜県大垣市への所要時間が国道8号・国道21号経由時の約3時間(林道冠山線経由時は約3時間30分)から約2時間20分に短縮される。また、福井県池田町から岐阜県揖斐川町への所要時間も同様に、高速道路利用時の2時間15分(林道経由時は約2時間35分)から約1時間25分に短縮され、移動距離が82.3 km、所要時間が約50分短縮される。
道路の走行性・安全性・確実性の改善効果として、冠山峠道路整備前は林道内に73箇所あった急カーブが、冠山峠道路整備後は線形不良箇所が解消されて0となり、道路幅員も3.6 m(車道3.0 m)から7.0 m(車道5.5 m)に拡がり、車両のすれ違いも可能となる。また、車両通行規制及び冬期通行規制も解消される予定である。
路線データ編集
沿革編集
- 1989年度(平成元年度) - 岐阜県と合同で概略ルート調査を実施
- 12月 - 「冠山トンネル(国道417号)早期開通促進期成同盟会」設立(大垣市長、揖斐川町長、鯖江市長、池田町長)
- 1995年度(平成 7年度) - 建設省直轄による「幹線道路整備計画調査」を採択し、整備効果調査を着手
- 1997年度(平成 9年度) - 建設省が「直轄国道計画調査」に着手
- 1999年度(平成11年度) - 建設省が「冠山地域環境調査委員会」を開催
- 2000年度(平成12年度) - 建設省が「新規着工準備箇所」として調査に着手
- 2001年度(平成13年度) - 国土交通省が2000年度(平成12年度)に引き続き調査を実施
- 2002年度(平成14年度) - 国土交通省が2001年度(平成13年度)に引き続き調査を実施
- 2003年(平成15年)4月2日 - 国土交通省が新規事業化箇所として採択
- 2007年度(平成19年度) - 用地買収に着手
- 2008年度(平成20年度) - 工事用道路に着手
- 2009年度(平成21年度) - 橋梁下部工事に着手
- 2011年(平成23年)7月19日 - 事業認定告示[7]
- 2014年(平成26年)5月17日 - 冠山峠2号トンネル(仮称)工事に着手
- 2016年(平成28年)7月5日 - 冠山峠1号トンネル(仮称)の掘削に着手
- 2017年(平成29年)7月31日 - 冠山峠1号トンネル(仮称)が貫通[14]
- 2019年(令和元年)5月28日 - 冠山峠2号トンネル(仮称)が福井県と岐阜県の県境に到達[15][16]
- 2020年(令和2年)11月4日 - 冠山峠2号トンネル(仮称)が貫通[17]
- 2023年(令和5年)内 - 供用開始予定[1]
主な構造物編集
以下はすべて仮称
- 冠山峠1号トンネル:計画延長1,239 m(NATM、2車線[13])。なお、2017年8月31日以降の資料[18]では全長1,238mに修正されている。
- 冠山峠2号トンネル:計画延長4,834 m(NATM、2車線[11])。
- 第1号橋:75.0m(支間長:73.8 m、単純細幅箱桁橋)
- 第1-2号橋:16.0 m(支間長:15.3 m、PC単純プレテン中空床版橋)
- 第2号橋:74.0 m(支間長:37.35 m+34.35 m、PC2径間連結コンポ橋)
- 第3号橋:39.5 m(鋼単純合成少数鈑桁橋)
- 第4号橋:37.5 m(支間長:35.2 m、PC単純コンポ橋)
- 第5号橋:120.0 m(支間長:38.25 m+38.90 m+38.20 m、PC3径間連結コンポ橋)
- 第6号橋:38.5 m(鋼単純合成少数鈑桁橋)
脚注編集
- ^ a b “国道158号大野油坂道路 令和8年春に全線開通予定 国道417号冠山峠道路 令和5年内に開通予定”. 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所 (2021年4月27日). 2021年4月28日閲覧。
- ^ 中部圏開発整備法に基づき、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県の県知事及び名古屋市、静岡市、浜松市の3政令指定都市の市長等で構成。
- ^ 2020年度 中部圏の開発整備について - ウェイバックマシン(2019年12月27日アーカイブ分)、中部圏開発整備地方協議会、2019年7月、67頁
- ^ 国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所の資料では、冠山の東側に存在した冠越(かんむりごえ)と呼ばれた峠を越えるルートを指している。
- ^ 『一般国道417号 冠山峠道路 【再評価】』、国土交通省近畿地方整備局 事業評価監視委員会、2019年8月、3頁
- ^ 緑ゆたかな安心の農村づくり - ウェイバックマシン(2016年8月22日アーカイブ分)、首相官邸地域再生本部、2009年3月27日、1頁
- ^ a b 平成28年度事業概要 - ウェイバックマシン(2016年8月6日アーカイブ分)、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、19頁
- ^ 国道417号 冠山峠道路 〜福井県・岐阜県をつなぐトンネル工事に着手〜、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、2014年5月14日
- ^ 国道417号・冠山峠道路着工 中京圏とのアクセス大幅向上 福井、産経新聞、2014年5月18日
- ^ 平成28年7月5日 冠山峠1号トンネル(仮称)の掘削が始まりました!、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、2017年7月6日
- ^ a b 「冠山峠道路第2トンネル工事(電子入札対象案件)」『官報』平成25年9月3日付(政府調達第166号)、21頁、2013年9月3日
- ^ 通年で一般車両の通行が可能な道路用トンネルとしては国道194号の寒風山トンネルに次ぐ規模のトンネルとなる。
- ^ a b 「冠山峠道路第1号トンネル工事(電子入札対象案件)」『官報』平成27年8月18日付(政府調達第155号)、28頁、2015年8月18日
- ^ 7月31日に(仮称)冠山峠1号トンネルが貫通しました。、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、2017年8月1日
- ^ (仮称) 冠山峠2号トンネル(福井県今立郡池田町~岐阜県揖斐郡揖斐川町境)の見学会を開催。、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所、2019年5月28日
- ^ “道ならぬ「酷道」、国道の「車両通行不能区間」とは 登山道やけもの道、解消工事進む”. 乗りものニュース (2019年7月20日). 2019年7月20日閲覧。
- ^ “冠山峠道路の(仮称)第2号トンネルが貫通しました”. 国土交通省近畿地方整備局福井河川国道事務所 (2020年11月5日). 2020年11月5日閲覧。
- ^ 冠山第1号トンネル(仮称)の掘削進捗状況(2017年08月31日現在)、国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所
参考文献編集
- 国土交通省近畿地方整備局 福井河川国道事務所
- 国道417号 冠山峠道路、2013年4月(インターネットアーカイブ参照)
- 冠山峠道路 各工事入札公告
- 近畿地方整備局 道路整備は未だ不十分、道路構造物ジャーナルNET、2019年