冷たい肉そば(つめたいにくそば)は、山形県河北町谷地(旧谷地町[1][2]名物料理[3]つったい肉そばとも呼ばれる[4][5]。蕎麦の替りに中華麺を使用したものは肉中華と呼ばれる[6]

冷たい肉そば

概要 編集

昨今、「山形名物」として出している店舗が見受けられるが、冷たい肉そばは河北町の名物であり山形名物ではない。

山形県河北町におけるそばの食べ方の一つ。「冷たい」といっても冷やしラーメンのように、つゆに氷を入れるのではなく、常温で提供される[7]。2018年8月時点では、河北町内で13店が提供している[8]

具は鶏肉(歯ごたえのある親鶏が中心)とネギがメインで、つゆは鶏骨だしで冷たくしてある[3][4]。使用する鶏肉は若鳥ではなく、堅めの鶏肉が良いとされる[5]

冷たい肉そばがどのようにして誕生したのかは定かではないが、以下のような説がある。

  • 育ち切ってしまった鶏の有効活用のため[5]
  • 賄い料理として鶏そばが、冷えても脂が固まらずに美味であったため、冷たくして提供するようにした[5]
  • 大正時代に酒が飲める場所はそば店のみであり、馬肉の煮込みで酒を飲んで、締めにそばを食べていたが、ある客が残った馬肉をそばに入れて食べたところ、思いのほか美味であったために、この食べ方が広まった。戦後、調達のしやすさから、鶏肉を用いるようになった[2]
  • 温かい汁だと具の肉を食べているうちにそばが伸びてしまうため、つゆを常温で提供するようにした[2]
  • 客をもてなすのに出前でそばを取る習慣があり、そばが伸びないようにつゆを冷たくした[2]

河北町のNPOである「かほく冷たい肉そば研究会」が主体となり第6回(2011年B-1グランプリに出展したことから、日本全国に知られるようになり、河北町(谷地)に冷たい肉そばを食べに来る観光客も急増している[2]サクランボ狩り目的の観光客と合わせて、例年6月から7月にピークを迎える[2]2018年にはPR大使を務める最上川司が歌うテーマソング『司の冷たい肉そば音頭』が発売されると共に、常温保存できる土産用肉そばを研究会が開発、発売した[8]。商品パッケージのイラストは最上川司が手掛けている[8]

関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ 野瀬泰申「食文化は、「ケンミン」単位では語れない」『食は「県民性」では語れない』角川書店、2017年。ISBN 978-4040821429 
  2. ^ a b c d e f 高橋敬治 (2013年6月22日). “そば王国、山形 「冷たい肉そば」驚きのコクとコシ”. NIKKEI STYLE. p. 3. 2017年12月12日閲覧。
  3. ^ a b 『るるぶドライブ東北ベストコース’16』JTBパブリッシング、2015年、89頁。ISBN 9784533104411 
  4. ^ a b 『立ち食いそば手帳 名店120 首都圏編』学研プラス、2015年、27頁。ISBN 9784059149132 
  5. ^ a b c d 『南東北蕎麦と温泉めぐり: 福島・宮城・山形』幹書房、2008年、94頁。ISBN 9784902615371 
  6. ^ 福瀧智子 (2022年1月31日). “山形県寒河江市の秘密基地「さがえベース」をフル活! 関東から訪れたワーケーション体験 前編”. real local. 2022年3月1日閲覧。
  7. ^ 高橋敬治 (2013年6月22日). “そば王国、山形 「冷たい肉そば」驚きのコクとコシ”. NIKKEI STYLE. p. 1. 2017年12月12日閲覧。
  8. ^ a b c <冷たい肉そば>ご当地音頭でPR 地元出身のビジュアル系演歌歌手・最上川さん』(プレスリリース)河北新報、2018年8月18日https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201808/20180818_52002.html2018年10月9日閲覧 
  9. ^ ビジュアル系演歌歌手 最上川 司さん”. 山形県庁 (2015年11月6日). 2017年12月12日閲覧。

外部リンク 編集