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Cold Cathode Fluorescent Lamp.JPG

冷陰極管(れいいんきょくかん)とは陰極からの電子の放出に外部からの加熱用エネルギーの供給を必要としない電子管の総称である。代表例としては、古くはクルックス管ガイスラー管ニキシー管計数放電管ネオン管光電管、最初期のブラウン管などがある。冷陰極を使用した小型蛍光管液晶バックライト用の光源として急速に発展し、発光ダイオードが一般的になるまでは多くの液晶パネルに搭載されていた。以下特に冷陰極蛍光管について述べる。

冷陰極蛍光管の特徴編集

最も重要な特徴は容易に調光(輝度調節)できる点である。2010年以前は小型のバックライトに主要な技術であり 調光できる光源として多く生産されてきた。しかし2011年以降は輝度、消費電力、長期間の劣化特性、耐衝撃、製品の形状とサイズの自由度、コストが発光ダイオードより劣るため、日本では新発売の液晶に搭載されなくなった。調光には特殊な調光回路(冷陰極管インバーター)が必要となる。調光方法には

  • 管電流調光方式 - 冷陰極管の管電流を増減して明るさを変える
  • バースト調光方式 - 間欠的に点灯・消灯を繰り返して平均輝度を増減する

がある。

電極の電子放出原理編集

一般の蛍光管が熱陰極蛍光管 (HCFL:Hot Cathode Fluorescent Lamp) である、すなわち電極を加熱して積極的に熱電子を放出するのに対して、冷陰極蛍光管 (CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp) は陰極を加熱せずに電子を放出する。

このために、熱陰極管に比べて冷陰極管は陰極降下電圧が大きい。陰極降下電圧は蛍光管の発光に寄与せず、そのまま熱的な損失となる。このため冷陰極管は熱陰極管に比べて発光効率が若干悪く、「日中の部屋においては冷陰極管のバックライト液晶を最大の明るさにしても光っているのかわからない」ということがよくあった。しかし陰極材料が改善され、陰極降下電圧が下がる目処がついたため、冷陰極管の発光効率は大幅に改善し、発光効率が疑似白色発光ダイオードの半分を超えるに至った。しかしながら青黄色系の疑似白色の発光に適する蛍光体がないため、発光効率の競争では発光ダイオードに引き離されている。

冷陰極蛍光管の点灯用インバータ回路編集

 
ノートパソコン用のインバータ回路例

冷陰極管の点灯用のインバータは、ノートパソコン液晶テレビ用バックライトの点灯回路として、液晶技術の発展に伴い独自の発展を遂げている。小型化と効率改善のために、比較的細長い形状の共振変圧器を使うようになった。共振変圧器は同一形状の一般用変圧器と比較して体積率にして1/3以下の大きさであり、また信頼性が高い。

インバータ回路の出力は高電圧(概ね1000V前後)で、高周波のため比較的電撃を感じにくい一方、不用意に分解して触れると高周波火傷を負う危険がある。

今後の見通し編集

必要な要素のすべてで発光ダイオードの方が優れているため、発光ダイオードを光源とする器具への移行が進んでいて、メーカーでは冷陰極管を使用した部品が生産中止となっている場合も多い。しかし日本も含め世界中には冷陰極管の需要と在庫があるので、光り方の近い蛍光灯の代わりや後進国の新製品などで用いる可能性はある。

近年では蛍光体の選択による植物の生育に適した波長特性[1]と耐久性、省電力により植物工場での人工光源として活路を見出しつつある[2][3]。植物育成で特に必要な赤色波長の領域において、発光ダイオードは冷陰極管と比較してそれほど効率が良いとは言えず[4]、赤色波長を改善した高演色白色発光ダイオードは冷陰極管よりも発光効率が低くなる。また発光ダイオードには硫化ガスとエレクトロマイグレーションによる劣化という特有の問題があるが、冷陰極管はこのような劣化はないとされる[5][6]

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ 発光ダイオードでも波長特製を植物の生育に適するよう変えられるが、蛍光体の方が変更が容易で自由度が高い
  2. ^ LEDに代わる第3の節電省エネ蛍光灯「CCFL」環境にやさしいエコな省エネ照明(CCFL/LED)
  3. ^ 液晶画面バックライトに利用するCCFL(冷陰極管)に空気中の浮遊菌・付着菌を滅菌する機能を/植物工場や電照キク専用ライトも開発中
  4. ^ 東芝(高演色)キレイ色の例では540lm/8.8W=63lm/Wとなっており、高演色白色発光ダイオードの発光効率はそれほど高くない。
  5. ^ 森康裕, 高辻正基 & 石原隆司 2015, pp. 50-69.
  6. ^ ただし蛍光体の経年劣化による波長の遷移はある。

特許編集

外部リンク編集