氷餅(凍り餅、こおりもち)とは、に浸して凍らせたものを寒風に晒して乾燥させた保存食[1]。別名は干し餅(ほしもち)、凍み餅(しみもち)、凍み氷(しみごおり)。各地の生産量は減少の一途を辿っている[2]

概要 編集

鎌倉時代の発祥で主に東北地方から信越地方安曇野から諏訪湖畔一帯の中信地方南信地方)にかけての寒冷地で作られ、飢饉に対する備蓄食[3]や日常食として利用されてきた[2]。伝統的に小正月前後に搗いた餅や残った餅を氷餅として加工して田植えの時期やむけ節句6月1日)の際に食する地方が多い。江戸時代の一時期には一般庶民の私的製造が禁止されていた事もあるが明治時代になって再開されたとする研究がある[3]

利用 編集

と同じように水で戻してから加熱し餅として食する他、炒って食したり、乾燥状態のまま細かく砕いて和菓子の原料[4]とする場合もある。

製法 編集

一年のうち最も寒い時期に製造されるが、出来映えには気象条件が大きく影響する。特に炊飯には向かない屑米を粉末状にして牛蒡オヤマボクチなどの粉と混ぜて餅を作ってそれを氷餅とする場合もある。副原料として加えられるゴボウやオヤマボクチは、乾燥時に生じる割れを抑制する目的と考えられている[2]

適当な大きさに切った餅を水に浸けてから寒気に晒し凍結と溶解を繰り返し1ヶ月程度かけて乾燥させる(寒ざらし[5]

また、大豆やゴマを副原料として加える事もある[6]

脚注 編集

  1. ^ 百科事典マイペディアの解説『氷餅』 - コトバンク参照
  2. ^ a b c 永嶋久美子, 小川睦美, 島田淳子「伝統的凍みもちの物理的特性および食味特性の解明」『日本調理科学会誌』第44巻第6号、日本調理科学会、2011年、391-399頁、CRID 1390282680481223552doi:10.11402/cookeryscience.44.391ISSN 13411535NDLJP:10815943 
  3. ^ a b 江間三恵子, 田所忠弘「特許公報からみた乾燥食品の変遷」『日本食生活学会誌』第13巻第4号、日本食生活学会、2003年、256-263頁、CRID 1390282680175296256doi:10.2740/jisdh.13.256ISSN 1346-9770 
  4. ^ 山中「和菓子の作り方」『家事と衛生』第15巻第9号、大阪生活衛生協会、1939年、61-62頁、CRID 1390001205348839424doi:10.11468/seikatsueisei1925.15.9_61ISSN 1883-6615 
  5. ^ 福永淑子, 永嶋久美子, 小川睦美「凍みもちの内部組織構造と食味特性を形成する凍結・乾燥条件の検討」『日本家政学会誌』第66巻第4号、日本家政学会、2015年、147-157頁、CRID 1390282681309516160doi:10.11428/jhej.66.147ISSN 09135227 
  6. ^ 鷹觜テル岩手の郷土食 : そば食地帯を中心として : 私の調査ノートから」『調理科学』第16巻第2号、調理科学研究会、1983年6月、95-98頁、doi:10.11402/cookeryscience1968.16.2_95NDLJP:10812122 

関連項目 編集

外部リンク 編集