分子インプリンティング(ぶんしいんぷりんてぃんぐ、Molecular imprinting)とは、化学で、対象とする鋳型分子を取り込んだ状態で高分子重合させ、鋳型と同じ形と大きさの空隙を形成させて、これを分子認識に利用する手法である。分子インプリント法、分子刷り込みとも呼ばれる。

酵素の基質認識は基本的には「鍵と鍵穴モデル」に基づき、基質分子の形と性質に適した空隙が基質結合部位となり、ここに基質が選択的にはまりこむと考えられているが、これを人工的に行おうとするのが分子インプリンティングである。この方法を、特定分子の検出、クロマトグラフィーによる分離・分析、触媒創薬などに応用する試みが行われている。

具体的には、鋳型分子と相互作用する機能性を持つモノマーを材料として、鋳型分子の周囲に自己集合させながら重合させる。高分子マトリックスが形成された後、鋳型分子を何らかの方法で取り除くと、形と大きさが鋳型分子に一致する空隙が残る。この空隙が鋳型分子を特異的に結合する性質を示す。