分電盤(ぶんでんばん)とは、幹線により送られてきた電気を負荷回路へと分岐する部分に設置される、配線用遮断器漏電遮断器などが集合して取り付けられた電気設備である。金属製や合成樹脂製の筐体に収められていることが多いが、木板に取り付けただけの簡素なものもある。 大型の分電盤の場合には、漏電遮断器や配線用遮断器のほかに電力量計や制御用のリレー照明リモコンで制御するための制御ユニットなどが組み込まれている場合もある。

業務用電灯分電盤(埋込型)の例

住宅用分電盤では、これらの他に電流制限器(アンペアブレーカー)を取付けられるように設置スペース(「リミッタスペース」と呼ばれている)を設けてある製品と設けてない製品が販売されている。屋内配線が危険な状態になると、自動的に回路が切れるブレーカーが設けられている。

分電盤設置の法律的な根拠 編集

電気設備技術基準」第56条「配線の感電または火災の防止」や第63条「過電流等からの低圧幹線等の保護措置」にもとづき分電盤は設置する必要がある。また「電気設備技術基準の解釈」第165条「低圧屋内電路の引込口における開閉器の施設」は上記第56条や第63条にのっとり、どのような場所に分電盤を設置するとよいかを述べている。住宅用分電盤は玄関や廊下の壁面上部(同時に電力計に最も近い場所)、新築マンションなどの場合にはクローゼットの内側に、業務用分電盤は建物内のEPS(電気パイプスペースまたは電気パイプシャフト)に設置される事が多い。

住宅用分電盤の規格 編集

一般社団法人日本配線システム工業会の自主規格であるJWDS0007「住宅用分電盤」に適合していれば、住宅用分電盤を製造するメーカーは日本配線システム工業会が発行する規格適合認定ステッカーを貼ることができる。

JWDS0007「住宅用分電盤」には、スタンダード規格と高機能規格という2種類の規格がある。

スタンダード規格適合品
  • 電源コードが短絡(ショート)した時に発生する短絡電流を検知して瞬時に遮断する短絡保護機能をもった分電盤。
  • 高遮断機能をもった分電盤(定格遮断電流が高く設定され、短絡時の保護範囲を拡大したもの)。
高機能規格適合品
  • 電気を使いすぎている時に音声で知らせる過電流警報機能をもった分電盤。
  • 地震を感知し震度5以上であればランプ、ブザー、または音声などで警報を発し、3分間の警報後、主幹漏電遮断器を遮断。警報発令中に停電が発生した場合、復電と同時に主幹漏電遮断器を遮断する。
  • による誘導雷サージをカットする機能を持った分電盤。

なお、いずれの高機能機器もいわゆる「後付け」(ユーザーが機器を購入して分電盤に組み込む)での性能を担保しているものではなく、あくまで工場出荷時に組み込んだ状態で所定の機能を果たすように設計・製造されたものである。

その他の住宅用分電盤 編集

 
オール電化住宅対応分電盤

これらの規格以外にも、様々な機能を持ち合わせた住宅用分電盤が分電盤製造メーカーにより製造・販売されている。

  • あかり対応分電盤…ブレーカーが切れ部屋内が暗くなった時に、保安灯が自動的に点灯する機能をもった分電盤。
  • オール電化住宅対応分電盤…オール電化住宅に用いられる機器(例:電磁調理器や電気給湯器)を接続するためのブレーカーを内蔵した分電盤。
  • 太陽光発電システム対応分電盤…太陽光発電を系統連系させるためのブレーカーを内蔵した分電盤。
  • ガス発電・燃料電池システム対応分電盤…エコウィルエネファームを接続するためのブレーカーを内蔵した分電盤。
  • 電力測定対応分電盤…使用電力を計測する機能を持った分電盤。HEMSに対応している機種も存在する。

参考資料 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集