勝田車両センター
勝田車両センター(かつたしゃりょうセンター)は、茨城県ひたちなか市にある東日本旅客鉄道(JR東日本)の車両基地である。JR東日本水戸支社の管轄。常磐線勝田駅の北側に位置する。
勝田車両センター | |
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基本情報 | |
鉄道事業者 | 東日本旅客鉄道 |
帰属組織 | 首都圏本部 |
所属略号 | 水カツ |
車両基地概要 | |
敷地面積 | 42,647 m2 |
配置両数 | |
電車 | 719両 |
貨車 | 8両 |
合計 | 727両 |
備考 |
2023年4月1日現在のデータ 敷地面積は有価証券報告書の値[1] |
概要
編集常磐線に沿うように設けられ、勝田駅から2本の入出区線により繋がっている。本線側より1番線から19番線の着発線が並び、1番線から13番線が車両留置線。14番線から18番線は検修庫内に通じており、交番検査や機能保全は主に14番線を使用し、軽微な修繕などは15・16番線が使用される。17・18番線は架線が張られていない修繕庫で、クレーンや車体を持ち上げるジャッキなどが配備され、車両の修繕や加工などの作業が行われる。E657系前頭部のFRPカバーもここで取り付けられたものである。18番線の検修庫内には車輪転削機が設置されていたが、2006年4月に新設された内原電留線に10両編成対応の車輪転削線が設けられたために転削機を移設し機能を移転した。この車輪転削機は水郡線営業所の車両も使用する。19番線は着発線の中でも最も短く、3両分の長さしかないためE491系や編成から分割された車両が置かれることが多い。かつて443系電車が配置されていた頃は同車が使用することが多かった[2]。
要部検査や全般検査は郡山総合車両センターで行なわれ、車両はその都度、水戸線・東北本線経由で回送される。
歴史
編集配置車両に記される略号
編集旅客車:「都カツ」(都=首都圏本部、カツ=勝田)
なお、今後車両の略号表記は割愛される方向であるため、実際には「都カツ」表記が車両に記載されることは無い。
配置車両
編集2023年9月1日現在の配置車両は以下の通り。編成番号はK○○○で統一されている。
電車 | 気動車 | 機関車 | 客車 | 貨車 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
727両 | 0両 | 0両 | 0両 | 8両 | 735両 |
電車
編集E653系電車(14両)
- 編成番号K70・K71の7両編成2本が配置されている。
- 後述のとおり、2014年までに全車が新潟車両センターへと転出したが、2018年11月7日付でU108編成がK70編成として当区へ再転入[4]。2019年2月2日の「快速E653系おかえり号」運行以降は、団体・臨時列車で運用される[5][6]。塗装は485系などの国鉄特急色に近いものとなっている[7][8]。
- 2023年8月29日には追加でU102編成がK71編成として勝田車両センターへ再転入し[9]、これまでなかった「水色のフレッシュひたち色」として臨時列車や団体専用列車として運用されている[10]。
2014年度までの当区におけるE653系
-
新潟転出前のE653系
E657系電車(190両)
- 編成番号K1 - K19の10両編成19本が配置されている。
- 2012年3月3日に臨時特急「復興いわきフラガール号」で営業運転を開始し、同年3月17日から特急「スーパーひたち」「フレッシュひたち」での定期運用を開始した。
- 2013年3月16日のダイヤ改正から同年9月30日まで、特急「スーパーひたち」「フレッシュひたち」のすべての定期列車が当系列で運転されていた。
- 651系の特急の運用が終了し、2015年3月14日改正より再び特急の定期列車が当系列に統一された。なお同改正より特急の名称がそれぞれ「ひたち」「ときわ」に変更された。
- 導入当初は10両編成16本のみ配置されたが、2015年3月14日ダイヤ改正で上野東京ライン開業に伴い2014年秋に1本(K17編成)が追加で配置された。更に2019年度末に常磐線全線復旧に合わせて、いわき〜仙台間における常磐線特急列車再開用として、2019年秋に2本(K18.K19編成)が追加で配置された。
E501系電車(60両)
- 編成番号K701 - K704の基本編成の10両編成4本(40両)とK751 - K754の付属編成の5両編成4本(20両)が配置されている。
- 1995年12月1日の営業運転開始当初は、常磐線上野 - 土浦間の普通列車で運用されていたが、2007年2月21日をもって同区間での運用を終了した。
- 2007年3月18日のダイヤ改正以降は常磐線土浦 - 草野間と水戸線の普通列車で運用されている。それに先立って各編成にトイレが設置された上で、付属編成は同年2月27日から水戸線および常磐線友部 - 勝田間で、基本編成は同年3月17日にダイヤ改正後運用の送り込みのため土浦 - いわき間での営業運転を開始した。
- 2019年3月頃、編成番号K701の基本編成とK752の付属編成は、行先表示器が青地白文字の幕式から3色LED式となった。
- 2021年3月のダイヤ改正で水戸線のワンマン運転が開始されたことにより、水戸線へイベント団臨や代走以外での乗り入れが無くなった。また、常磐線も原則水戸~いわき間の運用に就く事になり、定期で土浦まで乗り入れる列車は朝夕1本ずつのみとなった。
E531系電車(460両)
- 0番台は編成番号K401 - K426の基本編成の10両編成26本(260両)とK451 - K483の付属編成の5両編成33本(165両)が配置されている。3000番台はK551 - K557の付属編成の5両編成7本(35両)が配置されている。
- 常磐線上野 - 原ノ町間の普通列車(一部列車は東海道線品川 - 東京・上野東京ライン東京 - 上野間でも運用)と品川 - 土浦間の特別快速、水戸線の普通列車、東北本線 黒磯 - 新白河間(上り列車1本のみ白河発)の普通列車で運用されている。
- 2007年3月18日から上野駅を発着するすべての普通列車が本系列に統一され、2階建てグリーン車も連結された。
- 2006年8月26日から2007年3月17日までは付属編成のみ暫定的に水戸線でも定期運用が設定されていた。
- 2015年2月1日から常磐線高萩 - 竜田間、水戸線での定期運用が開始。
- 2017年10月14日から東北本線黒磯 - 新白河駅間での定期運用が開始。この区間における運用は3000番台に限定され、また送り込みや返却は水戸線経由の定期列車で行う。(※宇都宮線小山 - 黒磯駅間は回送)なお3000番台は同日以降も東京都心への乗り入れは継続。
- 2021年3月26日の踏切事故に伴い、2022年2月9日付でクハE531-17が廃車された[12]。
- 2024年2月にクハE531-17が同番号にて代替新造され、郡山車両センターで更新工事を行われたK409編成9両に組み込み、2024年3月1日に所属の勝田車両センターへ回送された。
E491系電車(3両)
- 電気・軌道総合検測車で「East i-E」の愛称がある。3両編成1本が配置されている。事業用車のため編成番号はなし。
貨車
編集ホキ800形貨車(8両)
- バラスト輸送用ホッパ車。
- 2019年1月に8両が廃車[13]、2021年4月から5月にかけてさらに8両が廃車された[14]。
- 24両配置されていた時期においては、原ノ町駅に8両、西金駅に16両を配備[2]。
過去の配置車両
編集電車
編集- 特急 「スーパーひたち」および「フレッシュひたち」の一部列車で運用されていたが、2013年3月16日のダイヤ改正で定期運用を終了した。その後、E657系の改造のため2013年10月1日から2015年3月13日まで1往復のみ運用に復帰し、2015年3月14日改正をもって「フレッシュひたち」の運用を終了した。
- 2013年度から2014年度にかけて54両(7両編成6本、4両編成3本)が交流機器を使用停止して1000番台となり、大宮総合車両センター へと転出した。
- 特急運用終了後は、交直流両用であることを活かし、急行「ぶらり横浜・鎌倉号 」や、快速「ぶらり高尾散策号 」など、常磐線方面の臨時列車にE653系が復活するまで使用されていた。また2017年7月22日より、常磐線・いわき-竜田間(同年10月21日より富岡)の普通列車2往復に付属編成が復活して2020年3月14日まで運用された。
- 2020年4月1日時点では付属編成2本が配置されていたが、同年4月に1本が廃車、同年6月に最後の1本が郡山総合車両センターへ廃車回送され、配置が無くなった[15]。
- 2007年まではボンネット先頭車を連結する訓練車 (K26) 編成が配置されていた。郡山総合車両センターに回送後、クハ481-17・モハ485-61は解体。モヤ484-2はモハ484-61に復帰改造されクハ481-26と共に整備が行われ、埼玉県さいたま市の鉄道博物館に静態保存された。
- 常磐線方面の臨時列車として運用されていたK40編成・K60編成は、2013年1月に2本とも郡山総合車両センターへ廃車回送された[16][17]。
485系電車「リゾートエクスプレスゆう」
- 臨時列車用のお座敷列車で6両編成1本が配置されていた。2018年9月5日に長野総合車両センターへ廃車回送され[18]、本センターから485系の配置が無くなった。
- モハ483・482-12 - 15が、1985年に仙台運転所から転入し1990年に廃車になるまで特急「ひたち」「あいづ」などで使用された。
- サロ183-1051・1054とサロ189-51 - 53が、1989年に特急「ひたち」のモノクラス化の際に必要となるサハ481形300番台への改造種車として転入。実際は、書類上のみの転入で郡山工場(現・郡山総合車両センター)で改造後に配置された。2000年までに全車廃車。
- 急行(準急)「ときわ」「つくばね」「ひたち」に使用された。1963年10月1日の仙台運転所(現・仙台車両センター)開設前までは東北本線系統の急行・準急列車(「みやぎの」「青葉」「松島」「あぶくま」)も担当。1966年10月からは常磐線平駅と伊豆急行線の伊豆急下田駅を結ぶ急行「常磐伊豆」にも当車両が使用された。1968年1月からは伊豆箱根鉄道の修善寺発着編成も併結されたが、1972年11月に列車は廃止された。
401系・403系電車
- 401系は取手 - 勝田間の交流電化時、403系は水戸線電化時に合わせ投入された。2008年7月14日に最後の1両であるクハ401-51が廃車され、401系・403系列は消滅。
- 2008年3月の時点では、普通鋼製車両(403系・415系)が、7両編成20本(140両)と4両編成20本(80両)の計220両配置されていた。これらは2007年3月17日をもって定期列車としての運転を終了し、同月23日の水戸 - いわき間での「さよなら運転」をもって旅客営業運転を終了した。営業運転終了後は解体まで大宮総合車両センター東大宮センター(東大宮操車場)・高萩駅・勿来駅・草野駅などの電留線に留置されていた。
- 1978年に量産先行車が廃車された後、両編成の功績をたたえ区内に「401系交直流電車発祥の区」と刻まれた記念碑が建立された[19]。
- 普通鋼製とステンレス鋼製車体の車両が配置され、前述の401・403系と共に常磐線・水戸線の主力車両として運用されていた。
- 2009年3月には、普通鋼製500番台4両編成2本とステンレス製1500番台4両編成1本の計12両が九州旅客鉄道(JR九州)へ譲渡された。
- 2014年度からE531系付属編成への置き換えが進められ、2016年3月25日をもって運用を終了。2017年11月16日付で最後の1編成が廃車となり、配置が無くなった[20]。
- 運用終了時にはステンレス製車体の1500番台4両編成のみが配置され、常磐線友部 - 竜田間と水戸線の普通列車で運用されていた。
- 1000番台2両編成3本(6両)が原ノ町駅(原ノ町運輸区)に常駐していた。
- 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)・福島第一原子力発電所事故の影響で運休となっていた常磐線小高 - 相馬間の運行が再開されたことに伴い、同区間用の車両として配置された。同区間は水戸支社管轄であるが、この区間を走る交流電車は地理的に近い仙台車両センターの所属車が担当していた。701系1000番台6両は同区間運転再開時に仙台車両センターから勝田車両センターへ一時転属した。
- 終日2両編成で運用されトイレは閉鎖されていた。
- 区間運転のため使用された編成は4編成で以下のとおり[21][22]。
- F2-18編成(2011年12月13日転入)→ K618編成。検査期限のため2016年11月6日付で仙台車両センターへ再転属。代替としてF2-22編成が転入。
- F2-20編成(2011年12月15日転入)→ K620編成。
- F2-22編成(2016年11月6日転入)編成番号変更なしで使用。
- F2-25編成(2011年12月15日転入)→ K625編成。
- 2016年12月10日のダイヤ改正で仙台方面との線路がつながったことにより、K620編成、K625編成、F2-22編成も仙台車両センターに再転属した。
- 回送車両などの牽引車および伴走車としてクモヤ441-2と-5が2両配置されていた。2003年に廃車。
- 1975年に登場した交直両用電気検測車。クモヤ443-1とクモヤ442-1の2両で編成を組み、架線検測・信号検測を行なう。E491系に置き換えられ2003年に廃車となった。
493系電車
- クモハ51形を改造した架線試験車。車両の詳細は国鉄51系電車#クモハ51形を交直流試験車493系に改造を参照。
- 1994年に登場した試験電車。TRY-Zの愛称が付けられ各種試験を行い1999年に廃車。同車の試験のため区内では「TRY-Zプロジェクト」チームを発足し、技術開発支援を行なった。
機関車
編集- 平駅(現・いわき駅)電化に際して1963年に新設計の交流機関車であるED75形が投入された。後に内郷機関区へ転属。
貨車
編集参考文献
編集- 鉄道ファン 1995年5月号など
- (国鉄型車両の系譜シリーズ)形式455系 (イカロス出版)
- (国鉄型車両の系譜シリーズ)形式415系 (イカロス出版)
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ 第35期有価証券報告書 41頁 (PDF) - 東日本旅客鉄道
- ^ a b c 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2016年3月号「シリーズ車両基地2016 vol.28」
- ^ 「JR年表」『JR気動車客車編成表 '04年版』ジェー・アール・アール、2004年7月1日、187頁。ISBN 4-88283-125-2。
- ^ 「JR東日本車両のうごき(平成30年11月分)」、『鉄道ファン』59巻(通巻695号(2019年3月号))、交友社 p. 172
- ^ “快速“E653系おかえり号”運転”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2019年2月3日). 2019年3月5日閲覧。
- ^ 『E653 系車両が水戸支社管内に帰ってきます』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2018年10月19日 。2019年3月5日閲覧。
- ^ “国鉄特急色のE653系K70編成が試運転を実施”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年12月16日). 2019年3月5日閲覧。
- ^ a b “【JR東】E653系K70編成 試運転”. 鉄道ホビダス. ネコ・パブリッシング (2018年12月18日). 2019年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月5日閲覧。
- ^ 『鉄道ファン』(通巻754号)交友社、2024年2月1日、158頁。
- ^ 『新色のE653系電車が運行を開始します!』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道水戸支社、2023年8月4日 。2023年8月5日閲覧。
- ^ 交通新聞社『JR電車編成表』2015夏
- ^ 『JR電車編成表2022夏』交通新聞社、2022年、p358頁。ISBN 978-4-330-02822-4。
- ^ a b 交友社『鉄道ファン』2019年7月号 「JR旅客会社の車両配置表」
- ^ 交友社『鉄道ファン』2022年7月号 「JR旅客会社の車両配置表」
- ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2021冬 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2020年、p.358。ISBN 9784330082202。
- ^ 485系K40編成が郡山総合車両センターへ - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2013年1月17日
- ^ 485系K60編成が郡山総合車両センターへ - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2013年1月23日
- ^ リゾートエクスプレスゆうが長野へ - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2018年9月6日
- ^ 福原俊一『415系物語』JTBパブリッシング、2015年
- ^ ジェー・アール・アール編『JR電車編成表』2018夏 ジェー・アール・アール、交通新聞社、2018年、p.356。ISBN 9784330884189。
- ^ 『JR電車編成表2013冬』(交通新聞社)ジェー・アール・アール編
- ^ 『j-train』2017春 Vol.65(イカロス出版)