2008年北京オリンピックのソフトボール競技

2008年北京オリンピックソフトボール競技(2008ねんペキンオリンピックのソフトボールきょうぎ)は、豊台ソフトボール場中国語版2008年8月12日から8月21日までの競技日程で実施された。

2008年北京オリンピック
ソフトボール競技
会場豊台ソフトボール場中国語版
開催日2008年8月12日 - 8月21日
参加チーム数8ヵ国
メダリスト
金メダル 
銀メダル 
銅メダル 
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概要 編集

本大会で正式競技となってから4回目の開催となった。世界選手権上位国や大陸予選などを勝ち上がった8ヶ国が参加し、予選リーグ7日間(8月12日 - 8月18日)と決勝トーナメント2日間(8月20日 - 8月21日)の日程で行われた。

2005年7月IOC総会で2012年ロンドンオリンピックで本競技の正式競技からの除外が決まり、2016年以降に復活しなければこの大会が五輪で最後のソフトボール競技ということになった。このため、各国とも「最後の金メダル」を目指して死闘を繰り広げた。

そして決勝では、日本アメリカを降して金メダルを獲得した。アメリカは過去3大会で全て金メダルを獲得しており、今大会でも優勝候補の筆頭で、決勝まで圧倒的な強さで勝ちあがってきていた。そのような状況のなかでの敗戦は、アメリカ本国では衝撃が大きく「北京オリンピック最大の衝撃のひとつ」と報じられた[1]。なお、このアメリカの敗戦でオリンピックにおける公式戦の連勝記録も22でストップした[2]。一方の日本は準決勝3位決定戦決勝戦上野由岐子が3試合通じて1人で投げ抜きその球数は413にも及んだ(そのうちの4球は故意四球によるものである)。日本の一部の新聞紙では、1958年の日本シリーズにおける稲尾和久にちなんだ「神様、仏様、上野様」の見出しが躍った。そして1976年モントリオールオリンピックでのバレーボール以来、32年ぶり3回目の女子団体種目での金メダル獲得となった。

表彰式終了後、日本アメリカオーストラリアの選手たちはボールで「2016」の文字をつくり、肩を組んで「Back softball!!」と何度も声をあげ、2016年のオリンピックでの正式競技復活を願った[3]。しかし、2016年リオデジャネイロオリンピックでは野球とともに復活は叶うことはなかった。

出場チーム 編集

出場国・地域 出場権獲得
  中国 開催国、世界選手権4位
  アメリカ 世界選手権優勝
  日本 世界選手権準優勝
  オーストラリア 世界選手権3位
  カナダ 世界選手権5位
  チャイニーズタイペイ アジア・オセアニア地区最終予選優勝
  オランダ ヨーロッパ・アフリカ地区最終予選優勝
  ベネズエラ 北中南米地区最終予選優勝
日本代表メンバー[4][5]
ポジション 名前 年齢 所属 備考
  日本代表選手
投手 140染谷美佳 25歳 デンソー
160江本奈穂 22歳 豊田自動織機
170上野由岐子 26歳 ルネサス高崎
210坂井寛子 29歳 太陽誘電
捕手 020峰幸代 20歳 ルネサス高崎
230乾絵美 24歳 ルネサス高崎
内野手 030西山麗 24歳 日立ソフトウェア
040三科真澄 26歳 ルネサス高崎
070藤本索子 27歳 レオパレス21
080廣瀬芽 27歳 太陽誘電
100伊藤幸子 32歳 トヨタ自動車
240佐藤理恵 27歳 レオパレス21
外野手 050狩野亜由美 23歳 豊田自動織機
110山田恵里   24歳 日立ソフトウェア
250馬渕智子 26歳 日立ソフトウェア
スタッフ
監督 斎藤春香 38歳 日立ソフトウェア
コーチ 浦野光史 55歳 日本ソフトボール協会
田本博子 34歳 日立ソフトウェア

大会形式 編集

競技は初めに総当りの予選リーグを行い、上位4チームが決勝トーナメントに進む。決勝トーナメントではページシステム方式を採用し、予選リーグ1位と2位による準決勝と予選リーグ3位と4位による準決勝を行い、予選リーグ1位と2位の勝者が決勝へ進出、敗者は予選リーグ3位と4位の勝者と3位決定戦を行う。この3位決定戦の勝者が決勝へ進出し、敗者は3位となる。

試合日程 編集

予選リーグ 編集

8月12日
第1試合(09:30)   チャイニーズタイペイ vs   カナダ
第2試合(12:00)   ベネズエラ vs   アメリカ合衆国
第3試合(17:00)   オランダ vs   中国
第4試合(19:30)   日本 vs   オーストラリア
8月13日
第5試合(09:30)   ベネズエラ vs   中国
第6試合(12:00)   アメリカ合衆国 vs   オーストラリア
第7試合(17:00)   チャイニーズタイペイ vs   日本
第8試合(19:30)   オランダ vs   カナダ
8月14日
第9試合(09:30)   中国 vs   オーストラリア
第10試合(12:00)   カナダ vs   アメリカ合衆国 ※降雨サスペンデッドゲーム
第11試合(17:00)   日本 vs   オランダ
第12試合(19:30)   チャイニーズタイペイ vs   ベネズエラ
8月15日
第13試合(09:30)   中国 vs   カナダ
第14試合(12:00)   日本 vs   アメリカ合衆国
第10試合(14:45)   カナダ vs   アメリカ合衆国
第15試合(17:00)   チャイニーズタイペイ vs   オーストラリア
第16試合(19:30)   ベネズエラ vs   オランダ
8月16日
第17試合(09:30)   中国 vs   日本
第18試合(12:00)   アメリカ合衆国 vs   チャイニーズタイペイ
第19試合(17:00)   オランダ vs   オーストラリア
第20試合(19:30)   カナダ vs   ベネズエラ
8月17日
第21試合(09:30)   中国 vs   チャイニーズタイペイ
第22試合(12:00)   日本 vs   ベネズエラ
第23試合(17:00)   カナダ vs   オーストラリア
第24試合(19:30)   アメリカ合衆国 vs   オランダ
8月18日
第25試合(09:30)   オランダ vs   チャイニーズタイペイ
第26試合(12:00)   アメリカ合衆国 vs   中国
第27試合(17:00)   カナダ vs   日本
第28試合(19:30)   ベネズエラ vs   オーストラリア

決勝トーナメント 編集

8月20日(準決勝・3位決定戦)
第29試合(09:30)   アメリカ合衆国(予選1位) vs   日本(予選2位)
第30試合(12:00)   オーストラリア(予選3位) vs   カナダ(予選4位)
第31試合(17:00)   日本(第29試合の敗者) vs   オーストラリア(第30試合の勝者)
8月21日(決勝)
第32試合(18:30)   アメリカ合衆国(第29試合の勝者) vs   日本(第31試合の勝者)

競技結果 編集

予選リーグ 編集

上位4チームが決勝トーナメントに進出。

順位 国・地域                 勝敗 得点 失点 勝率
1   アメリカ合衆国 -
7-0

3-0

8-1

7-0

9-0

11-0

8-0
7勝0敗 53 1 1.000
2   日本
0-7
-
4-3

6-0

2-1

3-0

5-2

3-0
6勝1敗 23 13 .857
3   オーストラリア
0-3

3-4
-
4-0

3-1

3-1

9-2

8-0
5勝2敗 30 11 .714
4   カナダ
1-8

0-6

0-4
-
6-1

1-0

0-2

9-2
3勝4敗 17 23 .571
5   チャイニーズタイペイ
0-7

1-2

1-3

1-6
-
2-1

3-0

2-4
2勝5敗 10 23 .286
6   中国
0-9

0-3

1-3

0-1

1-2
-
7-1

10-2
2勝5敗 19 21 .286
7   ベネズエラ
0-11

2-5

2-9

2-0

0-3

1-7
-
8-0
2勝5敗 15 35 .286
8   オランダ
0-8

0-3

0-8

2-9

4-2

2-10

0-8
- 1勝6敗 8 48 .143

決勝トーナメント 編集

ページシステムチャート 編集

準決勝3位決定戦決勝戦
      
 予選1位  アメリカ合衆国4
 
   アメリカ合衆国1
   
予選2位  日本1 
  
 
     日本
予選3位  オーストラリア5  
  
   オーストラリア3
   
予選4位  カナダ3 
   日本3
    
 
  日本4
  

準決勝 編集

  • 第1試合(第29試合):8月20日
国・地域 1 2 3 4 5 6 7 8 9 R H E
  アメリカ合衆国 0 0 0 0 0 0 0 0 4 4 6 0
  日本 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 3 0
  1. 延長9回
  • 第2試合(第30試合):8月20日
国・地域 1 2 3 4 5 6 7 R H E
  オーストラリア 0 1 1 1 0 2 0 5 5 2
  カナダ 0 0 3 0 0 0 0 3 4 2

3位決定戦 編集

  • 実施日:8月20日
国・地域 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 R H E
  オーストラリア 1 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 3 7 2
  日本 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 1 1x 4 11 1
  1. 延長12回サヨナラ

決勝 編集

  • 実施日:8月21日
国・地域 1 2 3 4 5 6 7 R H E
  日本 0 0 1 1 0 0 1 3 5 0
  アメリカ合衆国 0 0 0 1 0 0 0 1 5 2

最終順位 編集

順位 国・地域
1   日本
2   アメリカ
3   オーストラリア
4   カナダ
5   チャイニーズタイペイ
6   中国
7   ベネズエラ
8   オランダ

メダリスト 編集

種目
女子   日本 (JPN)
峰幸代
西山麗
三科真澄
狩野亜由美
藤本索子
廣瀬芽
伊藤幸子
山田恵里
染谷美佳
江本奈穂
上野由岐子
坂井寛子
乾絵美
佐藤理恵
馬渕智子
  アメリカ合衆国 (USA)
ジェシカ・メンドーサ
ラビアン・ジュン
クリストル・ブストス
キャット・オスターマン
テイリア・フラワーズ
ケリー・クレッチマン
モニカ・アボット
ヴィクトリア・ガリンドー
ケイトリン・ロウ
ジェニー・フィンチ
アンドレア・デュラン
ナターシャ・ワトリー
ステイシー・ヌーブマン
ローレン・ラピン
ローラ・バーグ
  オーストラリア (AUS)
ダニエル・スチュワート
メラニー・ロッシュ
ナタリー・ウォード
ターニャ・ハーディング
サンディー・ルイス
トレイシー・モズリー
ジャスティン・スメサルト
ケリー・ワイボーン
ステイシー・ポーター
カイリー・クロンク
ナタリー・ティトキューム
ケリー・ハーディー
ブリンダ・ライト
シモーヌ・モロー
ジョディー・ボワリング

国・地域別のメダル獲得数 編集

国・地域
1   日本 1 0 0 1
2   アメリカ 0 1 0 1
3   オーストラリア 0 0 1 1
合計 1 1 1 3

脚注 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集