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北洋材(ほくようざい)とは、ロシアシベリア地方で産出され輸出される木材のこと。2000年代からは経済発展がめざましい中華人民共和国への輸出が急増。材価が上昇する傾向にある。長らく日本の木材需要を支えてきた存在だが、2010年以降は日本への輸出は激減している。

目次

概要編集

語源は、日本において南洋材と対比する意味で用いられたことから。アカマツカラマツエゾマツなどの針葉樹からなる。30cm程度の小径木が主体で、日本では製材や合板製紙の原材料に用いられる。

日本への輸入編集

1920年から輸入が始まり、第二次世界大戦時に輸出が中断。1954年に輸入が再開し現在に至る。輸入量は、過酷な気象条件や経済的事情など生産地側の制約により左右されることが多く、日本の需給に合わせて増減してきたわけではない(日本の需要が伸びたバブル景気時は、先方はソビエト連邦の解体期にあたり生産が低迷した)。1990年代以降は400万から600万立方メートルという状況。2000年代からは、丸太状態の輸出から合板などへの加工品の輸出も増加しており、輸入量の10%程度を占めるようになってきた。ロシア政府は木材加工業の振興を支援しており、2007年には6.5%であった丸太の関税を20%へ、さらに2009年1月までには80%への引き上げを発表(その後、2021年に延長された)。丸太の輸出から付加価値をつけた製品への輸出へ切り替えようとしている[1]

一方、2000年代に入ると中華人民共和国や大韓民国など近隣諸国の木材需要が増加していたため、北洋材の価格は上昇傾向にあった[2]。2000年代末にかけて関税措置の強化がとどめを刺す形で北洋材の日本への輸入量は激減。このため北洋材を多く取り扱ってきた富山県などでは木材取扱業の廃業や事業変更を強いられる業者が多く見られた[3]

2019年現在のロシア側の関税は、北洋カラマツ、エゾマツ、トドマツの丸太で40%。ただし製材やチップなど木材加工品を輸入する大規模業者には比率に応じて6.5%の減免措置がある。2021年には予定通り80%まで引き上げられる予定[4]

将来性編集

長年、原生林の切りやすい場所から切り、植林を行わないという収奪的な森林経営を繰り返してきたため、特に沿海州地方を中心に森林資源の減少が著しい。現在では、適地を求めて内陸部へ伐採地が拡大している状況にある。シベリア地方のタイガでは、森林の形成に非常に長い時間を有するため、将来的には資源の枯渇が懸念され、伐採規制の強化が実施されている(近年の北洋材の供給減少はこれが原因)。

伐採の現場編集

伐採の現場は、僻地かつ酷寒の厳しい環境にある。1967年、旧ソ連は数万人規模の外国人労働者北朝鮮労働者)を受け入れ、森林伐採の一部に従事させ始めた[5]。ソ連崩壊後も外国人労働者の受け入れは続いたが、2017年、国連安全保障理事会が北朝鮮による核実験ミサイル発射実験に対して制裁決議を可決すると、ロシア当局は全ての北朝鮮労働者を帰国させる方針を打ち出した[6]

出典編集

  1. ^ ロシアに翻弄される木材事業-資源ナショナリズムで廃業の憂き目も(ブルームバーグ2009年4月14日)2012年3月24日閲覧
  2. ^ 輸入材激減、需要高まるロシアの北洋材、中国、韓国へ 十勝毎日新聞(2006年8月30日)2017年12月10日閲覧
  3. ^ 北洋材輸入税高騰の影響 北日本放送・中川木材産業株式会社(2008年2月14日)2017年12月10日
  4. ^ 木材新聞 「丸太輸出税40%へ」 2019年1月8日付 1面
  5. ^ 動く極東 外貨を獲得せよ! 北朝鮮「人力輸出」ビジネス”. 朝日新聞社 (2013年4月5日). 2018年2月24日閲覧。
  6. ^ ロシア、2019年末までに全北朝鮮労働者を送還=インタファクス”. ロイター通信社 (2018年1月31日). 2018年2月24日閲覧。

関連項目編集