メインメニューを開く

十代の出産

現代において未成年者が出産することによって生ずる、教育を受ける機会の逸失とそれによる経済的不利益などをはじめとする種々の社会問題
15歳から19歳の女性1000人あたりの出産数(2000 - 2009年、国連統計部)

十代の出産(10代の出産、じゅうだいのしゅっさん 英:Teenage childbirth)は、10歳以上20歳未満の女性妊娠出産することをあらわす。

男性側が成人年齢に達している場合と、男性も同じく10代である場合とでは異なるとらえ方をされる。男性側が成人の場合は、未成熟な母体が妊娠・出産することに伴う女性の健康問題、女性の教育機会均等を始めとする女性の地位向上などの人権問題として、男性側も同じく10代である場合には、性教育の問題、10代で子供を養育していく経済問題、教育現場において若い両親が子供を養育しながら自らも学業を続けられる教育環境整備の問題などである。

各国編集

日本編集

日本では1900年代後半、十代の妊娠・出産は不良行為と見る風潮だった。[要出典]明治維新以前は十代の妊娠・出産が多く存在した。医療設備が整っていなかったこともあり、若くして命を落とす母親や胎児が多く存在した。現代と比べて平均寿命が短く12-16歳で元服することも一因である。政略結婚の影響からか、戦国・安土桃山時代は特に多かったという。[要出典]

アジア・アフリカ編集

発展途上国では10代の妊娠の発生率が明確に高い。北アメリカおよび西欧のような先進諸国の地域においては10代の親は未婚である傾向があるが、それとは対照的に、発展途上国における10代の親は結婚しているケースがあり(地域によっては10歳未満で結婚する人もいる)、そして彼女たちの妊娠は家族および社会に受け入れられている。

サハラ以南のアフリカでは10代の発生率妊娠が最も高い。概してアフリカの女性は、他の地域の女性よりも低年齢で結婚し、その結果若い年齢での妊娠につながる。

南太平洋の島国では10代の妊娠という問題は頻繁に起きており、ピトケアン諸島では住民のほとんどが12歳から15歳で最初の出産を経験していたことが問題になり、ピトケアン諸島少女性的暴行事件として住民の成人男性全員が性犯罪者となった。ポリネシア文化圏では十代の出産は珍しくないが、イギリス領などが多く住民には欧米法が適用されるため事態が発覚すると住民の大半が性犯罪者という状況が発生している。

インドにおいて婚前性交渉は普通でないが、早婚によって十代で妊娠する女性がいる。早婚の発生率は都市化の進んでいない地域で更に高い傾向にある。日本を含むアジアの他の地域では、双方の性のために結婚年齢を上昇させる傾向を示しているが、韓国およびシンガポールにおいては20歳未満での結婚がほとんど消滅した代わりに、婚前性交の発生率が上昇するという事態[要出典]が起こり、各方面で懸念の声が挙がっている。[要出典]

ヨーロッパ編集

ヨーロッパの全体の傾向としては、1970年以来十代の妊娠は減少している。しかしながら過去のヨーロッパにおける10代の母は結婚後に出産した者であることが多く、社会的に問題視されてはいなかったという一面もある。現代でもギリシアおよびポーランドのように10代後半に結婚した母が子供を生む場合もある。ポルトガルのようなカトリック国は、高い割合で10代女性が妊娠する。

一方、オランダはティーンエージャーの間の出産に関して低率を保っている。10代の妊娠率がより高い諸国と比べると、オランダ人は最初の性交渉の平均年齢が高く、避妊用具の使用が増加している。デンマークおよびスウェーデンのような北欧諸国でも10代の出産率は同様に低く保たれている。イタリアおよびスペインのようないくつかの国における十代の妊娠率が低いのは、宗教的な伝統的価値に起因する可能性を持つ。

医学的側面編集

10代の若者が妊娠・育児することは、妊娠に気づくのが遅く、母体および出生前の健康が特に懸念される[1]未熟児低出生体重児の世界的な発生率は、思春期の母親の間で高い.[2][3][4]。西ベンガルの農村病院では、15〜19歳の10代の母親の方が、20〜24歳の母親よりも、貧血、早産、低出生体重児を産む場合が多かった[5]

妊娠中の10代の若者は出生前のケアを受ける可能性が低く、仮にあったとしても妊娠3期(妊娠28週から40週までの妊娠末期)に求めることが多い。 Guttmacher Institute英語版は、妊娠している10代の3分の1が出生前のケアが不十分であること、年配の女性から生まれた子供よりも、子供のころに健康問題を抱えているか入院している可能性が高いとの報告がある[6]

米国では、ラテン系アメリカ人や10代の妊娠の場合、ラテンアメリカの人口がアメリカ合衆国で最も保険をかけられていないグループであることから[7]、医療を受けることを妨げる障壁がある。

質の高い出産ケアを受けている若い母親は、受けていない母親よりもかなり健康な子を産んでいる。 10代の母親に関連する健康問題の多くは、適切な医療へのアクセスの欠如から生じるように思われる[8]

多くの10代の妊婦は、体重を減らす試みのダイエット断食(三食食べない)、フードファディズムスナック菓子、およびファストフードの摂取によって、思春期によく見られる貧しい食習慣による栄養欠乏の危険にさらされている[9]

妊娠中の不適切な栄養摂取は、発展途上国の10代の若者の間でさらに顕著な問題である[10][11]。妊娠の合併症は、発展途上国で毎年推定7万人の10代の少女の死をもたらす。 若い母親とその子も、HIVに感染する危険性が高くなる[12]世界保健機関は、妊娠後の死亡リスクは15〜19歳の少女の方が20〜24歳の女性よりも2倍高いと推定している。 妊産婦死亡率は、10歳から14歳の女児では20歳から24歳の女性よりも最大で5倍高くなる可能性がある。 サブサハラアフリカなどの地域では、違法な中絶も10代の少女にとって多くのリスクとなっている[13]

未発達の骨盤は出産時に困難をもたらす可能性があるため、医学的合併症のリスクは15歳未満の女子の方が大きい。 出産時の分娩停止は、通常先進国では帝王切開によって対処される。 しかし、医療サービスが利用できない可能性がある発展途上地域では、子癇フィスチュラObstetric fistula)、乳児死亡率、または妊産婦死亡率につながる可能性がある[12][14]。15歳以上の母親にとって、年齢自体は危険因子ではなく、予後不良は生物学的側面よりもむしろ社会経済的要因と関連している[2]

性教育との関連編集

2004年秋の社団法人全国高等学校PTA連合会と京都大学大学院の木原雅子の調査によれば、対象となった約一万人の高校生の内小学校時代に性体験をした人間は39人いた。日本では、キリスト教イスラームなどに代表されるいかなる場合においても婚前交渉は罪であるとする宗教上の背景は存在しないが、一方で性にまつわる話をタブー視する傾向もあり、性教育は非常に論争の原因になる討論の主題である。いくらかの学校は「開放的」教育を行い、処女性を尊ぶ考えは前近代的な物として排除される。

一方アメリカではこれは逆転しており処女性を守る考えは非常に一般的である。なお、アメリカはユニセフの1995年から1998年のデータでは15歳から19歳の女性の出産率は日本の約12倍となっている。開発途上諸国においてはティーンエージャーに向けられた性のプログラムはしばしば小規模である。ただし、インドネシアおよびスリランカのようないくつかの国は組織的な方針枠組を持っている。ヨーロッパでは就学前から性教育を行う国があり、それらの国では低年齢での妊娠や性病、性犯罪の発生率が低い。

 
全世界における性的同意年齢

ドラッグおよびアルコールは、望まぬ性活動を引き起こす可能性がある。国によっては、10代の少女との性交は承諾に関係なく性的同意年齢の問題から法定強姦犯罪として扱われる。ただしこれは国ごとに大きく異なり、例えば英国においては、16歳未満の少女と性的交渉を持つことは違法であるが、イタリアにおいては女性が14歳未満でない限り違法とならない。日本の承諾年齢は13歳と低い年齢に設定しており、13歳未満なら強姦となる可能性もあるが、それ以外は両性の合意がある限り違法ではない。ただし同意や金銭の授受に関わらず、18歳未満との性行為は児童福祉法やいわゆる淫行条例に違反するとされる判例(特に、自己の性的欲求を満たすことだけを目的とした性行為)も出ており、違法となることもありうる。ただし、上位法である民法に定められる女性の婚姻成立可能年齢が今のところ満16歳以上なので、仮に女性が16~17歳でも法に基づく婚姻が成立している状態であれば、この判例に影響されることはなく合法である。

いくらかの社会においては、早婚および伝統的な性役割は10代の妊娠の発生率における重要な要素である。青春期の結婚が普通でない社会において若い頃の最初の性交においては、避妊具・避妊薬が使われないことがままある。先進国における大部分の10代の妊娠はそれらの理由から計画されない妊娠である事がある。経験が乏しい青年はコンドームの使い方に慣れていない。十代の妊娠にたいしてはティーンエージャーの間での性的関係を受け入れ、そして性に関する包括的でバランスのとれた情報を提供することが重要である。なお1997年の日本産婦人科学会の報告では、平均初潮年齢は12.3歳とされている。統計上の日本における15~19歳の出産率は大韓民国とともに世界最低レベルである[15]

10歳以下での出産編集

最も若く出産した例としては、1939年に5歳で男の子を生んだリナ・メディナが知られている。以前はギネスブックに記録されていたが、現在は項目そのものがなく、ギネス世界記録とはみなされていないため、公称の扱いとなる。なお、10歳以下の女性はほとんど月経を経験しておらず、また思春期が始まったばかりの者がほとんどで、十分に妊娠や出産ができる状態になることはほとんどない。

出典編集

  1. ^ 三宅婦人科内科医院“思春期" 10代の妊娠 - ウェイバックマシン(2015年12月8日アーカイブ分)
  2. ^ a b Makinson C (1985). “The health consequences of teenage fertility”. Family Planning Perspectives 17 (3): 132–139. doi:10.2307/2135024. JSTOR 2135024. PMID 2431924. 
  3. ^ Not Just Another Single Issue: Teen Pregnancy Prevention's Link to Other Critical Social Issues(The National Campaign to Prevent Teen Pregnancy. (2002)) - ウェイバックマシン(2007年9月28日アーカイブ分)
  4. ^ “Prenatal care and maternal health during adolescent pregnancy: A review and meta-analysis”. The Journal of Adolescent Health 15 (6): 444–456. (1994). doi:10.1016/1054-139X(94)90491-K. PMID 7811676. 
  5. ^ “Teenage pregnancy: A socially inflicted health hazard”. Indian Journal of Community Medicine 34 (3): 227–231. (2009). doi:10.4103/0970-0218.55289. PMC: 2800903. PMID 20049301. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2800903/. 
  6. ^ Guttmacher Institute. (1999, September).Teen Sex and Pregnancy Archived 2005-04-03 at the Wayback Machine.. Retrieved May 29, 2006.
  7. ^ Sterling, Sandra P. (2009). “Contraceptive Use Among Adolescent Latinas Living in the United States: The Impact of Culture and Acculturation”. Journal of Pediatric Health Care 23: 4. 
  8. ^ “Good outcome of teenage pregnancies in high-quality maternity care”. The European Journal of Public Health 16 (2): 157–161. (2005). doi:10.1093/eurpub/cki158. PMID 16141302. 
  9. ^ “Nutrition during teenage pregnancy”. Pediatric Annals 22 (2): 99–108. (1993). doi:10.3928/0090-4481-19930201-07. PMID 8493060. 
  10. ^ “Calcium and vitamin D status of pregnant teenagers in Maiduguri, Nigeria”. Journal of the National Medical Association 89 (12): 805–811. (1997). PMC: 2608295. PMID 9433060. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2608295/. 
  11. ^ “Profile of nutritional risk in pregnant adolescents”. Archivos Latinoamericanos de Nutricion 53 (2): 141–149. (2003). PMID 14528603. 
  12. ^ a b Mayor S (2004). “Pregnancy and childbirth are leading causes of death in teenage girls in developing countries”. BMJ 328 (7449): 1152. doi:10.1136/bmj.328.7449.1152-a. PMC: 411126. PMID 15142897. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC411126/. 
  13. ^ Locoh, Therese (1999). “Early Marriage And Motherhood In Sub-Saharan Africa”. African Environment 3–4 (39–40): 31–42. doi:10.4314/ae.v10i3.22558. http://www.ajol.info/index.php/ae/article/view/22558. 
  14. ^ Adolescent pregnancy - UNFPA - United Nations Population Fund”. UNFPA. 2019年7月24日閲覧。
  15. ^ "Teenage birth rate (most recent) by country" NationMaster, 2010年6月10日閲覧

関連項目編集

外部リンク編集